徹底して住民と向き合う2つの議会 その① 犬山市議会

先週末、議会運営委員会の視察で愛知県犬山市議会(24日・木)と兵庫県西脇市議会(25日・近)に学びに伺いました。

犬山市議会は昨年のマニフェスト大賞で全国2,242の実践から栄えあるグランプリに輝いた議会です。★詳細★

そして西脇市議会は日経新聞社が昨年行った「議会活力度調査」において全国815の市区議会の中で堂々1位。 ★詳細★ ★関連する日経記事★

いずれも、一昨年&昨年のマニフェスト大賞プレゼン大会や全国規模の勉強会などで議長さんに直接お会いし、一献傾け、その熱い熱い思いとビジョンに深い感銘を受けたことがきっかけで、「ぜひ一度、東村山市議会としてお邪魔して学ばせていただきたい」とお願いしていたことが今回の実現につながりました。

大変なお忙しさの中でお受けくださったことに、心よりの感謝の念をお伝えしてきました。

その上で、どのような点に特にビビッと来たのか。要点を絞ってご報告します。

【犬山市議会の場合】

対応くださった方:三浦知里議運委員長、岡覚委員、吉田鋭夫委員、ビアンキ・アンソニー前議長、事務局職員 

まず、つとに有名になった「市民フリースピーチ制度」は…

本会議場に一般の市民の方が登壇(事前希望制)し、市政について言いたいことを発言し、議員たちがその意見を聴いて、議論し、議会としてのアクションにつなげる、という全国初の制度です。 ★詳細★

素晴らしいのは、多くの議会が得意な「聴きっぱなし」にはしないということ。5分間の発言を受けて、全員協議会で必ず議論し、議会としてどう取り扱うかを決めて実行に移しています。

三浦委員長)6人、7人が発言されたことを、このあとどうするのか、が大変。アンサーとして返さないといけない。スピーチしっぱなしでなく、作業するからこそ、答えをくれるという期待がある。

岡委員) フリースピーチは本会議場で行うので、陳情よりもはるかに何かしないといけないという意識が議員側に生まれている

ビアンキ議員)市民にとって政治や議会は遠い存在なので、我々と接する場がない。議場も市民のものであり、民主主義の教会だと思っている。私たちの作業は多くなるけれど、使命だと思っている。 アメリカの制度よりもはるかに真摯にやっている。アメリカに帰って教えようと思う(笑)

続いて「市民との意見交換会」について

これは東村山市議会でも議会報告会の後半の時間を使って様々な手法を取り入れておこなっているわけですが…

犬山市議会では、「報告」は議会だより「議会の手帳」やホームページを通じて十分にやっているという前提で、「住民の意見を聴く」ために開催しています。地域で出向いて、あるいは様々な市内団体とテーマごとに、多様なチャンネルを設けておられました。

三浦議員) 私たちは市長部局ではないし、それぞれ会派で考え方も違いますよ、と先に言っている。どぶ板的な話をすることは、参加者が自然に押さえてくれることが多い。順調に続けているが、テーマがけはなかなか難しい。

そして、大変活発な議会活動を支えている根幹は「全員協議会」での議員間の徹底した議論だということがわかりました。

これについては、以前は会派代表者会議で一部の議員によって話し合われて物事が決まっていたが、平成22年以降、殆どの場合、議員全員が参加する全員協議会で議論することに変えた。本会議場での議案総括質疑や一般質問の後にも必ず開いて、「どうだったか」という議論と、議会として掘り下げるには「どうするのか」の議論をしている、とのこと。

ビアンキ議員)たとえば、その議案や請願に賛成している人と反対している人でも、同じように気になる点があることがある。それが気になっているから賛成できない、という意見と、気になっているが全部NOとするのはどうか?という意見がある時には、附帯決議をつけたり、委員長報告の中に入れたりすることで議会としての意思を示すことができる。しかし、それを議員同士が話さなければ、可能性はゼロです。

最後に、印象に残ったお話をもう少しだけ…

三浦委員長)全員協議会の進行は議長です。全員協議会も含めて会議は全部公開で行っています。youtubeで流してはまずいと思う時は、議長も委員長も休憩を取るタイミング考えてマイク切っている。最初は、行政がいろいろと心配していたが、大きな問題はない。

岡委員)議会出身の現在の市長になって、いろいろな問題があっても議会全体として前に進めていこうという雰囲気になった。議会改革に合わせ、市民からの要望を前へ進めたいという空気が議会全体として生まれている。

ビアンキ議員)議員間討議は22年に始まった。うまくいくまで時間はかかった。だいぶフラットになり、お互いを理解できるようになった。意見が違う相手には最初から聞きたくない、という姿勢だったが、今はそれはなくなった。もっと温かい議会になった気がする。

ちなみに、三浦委員長は公明党(5期目)、岡委員は共産党(10期目)、吉田委員は国民民主党(4期目)、ビアンキ議員は無所属(5期目)でしたが、ご説明も私たちの質問へのお答えも、どなたも明快で率直な姿勢が極めて印象的でした。これは、政治的な立場を超えた人間としての信頼関係が築かれ、言うは易く行うは難しの「チーム議会」を見事につくり上げてこられた証なのだと感じました。

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