萩山小学校等複合施設化事業に関する債務負担行為(80億円余)は賛成手数で可決~9月議会が始まりました

昨日(8月31日・月)から9月定例議会が始まりました。会期は10月6日までの37日間の予定です。市長から提出された議案は9件と少なめで、3件が常任委員会に、5件は7年度決算に関するものなので決算特別委員会に付託されました。

そして萩山小学校等複合施設化事業について改めて約80億円の債務負担行為を設定する一般会計補正予算(第2号)だけが本会議で審議されました。

全10会派中、大きい順に9会派が質疑に立ち、私は8番目。質疑、討論の上、賛成をしました。

以下、昨日の録音から書き起こした内容をブログ用に整理しました。

◆萩山小学校等複合施設――約80億円の価格は、どうつくられ、どう検証されたのか

今回、私が質疑で確認したかったのは、約80億円という大きな公金支出の前提となる価格が、どのような過程で形成され、市がその妥当性をどこまで検証してきたのか。そして、3月議会後に前田建設工業が八代市での不正事案に関係したことからコンソーシアムから離脱し、施工体制が変わった後も、従前の提案価格を維持することについて、どのような確認を行ったのか。この点を中心に質しました。

前田建設工業が抜けても、価格は変えない

従来、建設業務は前田建設工業、菊池建設、相羽建設の3社で担うことになっていましたが、前田建設工業が離脱し、その業務は菊池建設が引き継ぐことになりました。

市は、今回の契約について「構成企業の数や配置する人員数に対して対価を支払うものではなく、要求水準を満たし、提案された業務内容や成果を履行することに対して支払うもの」と説明。

前田建設工業が抜けても要求水準や提案内容は変わらないことから、「価格を変更する必要はないと判断した」と答えました。

私は、値下げすべきだと決めつけて質問したわけではありません。

3社から2社へ施工体制が変われば、施工分担だけでなく、現場管理、事業者間調整、一般管理などの間接経費にも変化が生じる可能性があります。そこで、新たな見積書や積算資料などによって、市自身が従前価格の妥当性を確認したのかを尋ねました。

これに対する答弁は、「特段、資料等による検証などは行っておりません」というものでした。

仮契約を締結する段階では見積書が提出される予定とのことです。

この点は、今後予定されている契約議案を審査する際にも、改めて確認する必要があると考えています。

◆「市の積算」とは、どのようにつくられたものなのか

次に確認したのが、令和7年6月に市が設定した「80億円」という提案上限額の形成過程です。

市はこれまで「市の積算」と説明してきましたが、今回の答弁で、その具体的な役割分担が明らかになりました。

80億円の基礎となる約69億円の概算事業費については、アドバイザリー業務の受託者が専門的知見に基づいて数量や単価に関する資料を収集し、積算支援や技術的助言を実施。

市は、それらの資料や積算結果について、要求水準、対象数量、単価の出典、算定方法、事業全体との整合性などを確認し、最終的な責任を持って決定した、という説明でした。

つまり「市の積算」とは、市職員だけで一から積算したものではなく、専門事業者の技術支援を受けながら、市が検証して決定したものだということです。

◆11億円の「市場性補正」は、市自身の判断

さらに重要なのが、当初の積算に約11億円を上乗せした「市場性を反映した補正」です。

市の説明によれば、この11億円はアドバイザーからの提案ではなく、市自身の判断で調査、算定、提案したものとのこと。

都内の類似工事を調査した結果、1平方メートル当たり80万円以内では契約不調となる事例が多く、90万円以上では落札実績が比較的多かったことから、必要な建設費を約94万円/㎡と想定し、当初積算との差額約11億円を加えた、と説明しました。

80億円という上限額がどのような考え方で形成されたのかについて、一歩踏み込んだ答弁が得られたと受け止めています。

◆上限80億円に対して、提案価格は99.998%

一方で、引き続き確認が必要だと感じている点もあります。

市が設定した提案上限額は80億円。それに対して、優先交渉権者の提案額は79億9,982万7,000円でした。

差はわずか17万3,000円。上限額の約99.998%です。

この価格自体をどのように検証したのか尋ねたところ、市は「債務負担行為の範囲内であること」「市の積算から過度に乖離していないこと」を確認し、妥当と判断したと答えました。

さらに、市の概算と事業者の見積りでは、建設費、外構整備費、屋内運動場改修費、解体費など、個々の費目には相当の差があります。

市は、両者は積算の目的やプロセスが異なるため、個々の費目に差が生じるのは必然と説明。その上で、プロポーザル審査委員会において、提案内容が要求水準を満たしていること、各費目の総額も市の概算から大きく乖離していないことを確認したと答えました。

◆今回の議決と、次の契約議案は分けて考える

今回の補正予算は、約80億円の契約そのものを議決したものではありません。今後の契約手続を進めるため、予算上の限度額を設定したものです。

今回の質疑では、「要求水準や提案内容が変わらなければ、施工体制が変わっても価格を変更する必要はない」という市の考え方が明確になりました。同時に、体制変更後の価格について、新たな積算資料等による検証は現段階では行っていないことも明らかになりました。

「価格を変更する必要がない」ということと、「価格の妥当性を改めて検証する必要がない」ということは、果たして同じなのか。ここは私自身、今回の質疑を通じて最も気になった点です。

私は以下のような討論の上、この議案に賛成しました。


議案第59号、令和8年度一般会計補正予算(第2号)について、賛成の立場から討論します。 

平成24年に専門部署を設けて以来進めてきたと説明のあった本市の公共施設再生の取組みについて、その歩みを当初から見てきた者として、公共施設マネジメントの方向性については一貫して大筋において是としてきました。本日の質疑を通じても、3月議会での契約議案否決やその後の事業者の体制変更を受け、手続や法的な整理を含め、緊張感をもって取り組まれているものと受け止めています。 

今回の債務負担行為は、約80億円の支出や契約内容そのものを確定させるものではなく、今後の契約手続を進めるための予算上の限度額を設定するものです。契約については改めて議会の審査、議決に付されることから、現段階で次の手続へ進めることは妥当と判断し、本議案に賛成します。 

一方、私が以前から最も問題意識を持ってきたのは、公共施設マネジメントの手法そのものよりも、学校教育と社会教育を所掌する教育委員会が、今回の複合施設化を内容面でどう捉え、当事者や市民を巻き込みながら、どこまで踏み込んだ検討をしてきたのかという点です。3月議会で契約議案に反対した大きな理由の一つも、学校以外の公共施設部分がどのように運営され、市民福祉の向上にどうつながるのかが十分に見えなかったことにありました。この点については、その後、市として具体化、改善を図ってきたものと認識しています。複合化総体をどう考えるか、という点は来週月曜日の一般質問でもしっかり議論したいと考えています。 

10月に予定される契約議案では、体制変更後の履行能力と責任体制、約80億円という価格の妥当性と検証過程、将来の財政的リスクに加え、3月議会後に具体化された施設運営の考え方が、当時の疑義に十分応え、市民福祉の向上に資するものとなっているのかを重要な判断材料とします。 本日の答弁と開示資料、さらに今後の議論を踏まえ、契約議案については改めてその内容に即して判断することを申し上げ、賛成討論とします。


9月議会最終日(10月6日)に予定される契約議案では、体制変更後の履行能力と責任体制、約80億円という価格の妥当性と検証過程、将来の財政的リスクに加え、3月議会後に具体化された施設運営の考え方が、当時の疑義に十分応え、市民福祉の向上に資するものとなっているのかが重要な判断材料となると考えています。

昨日の答弁、開示資料、さらに今後の議論を踏まえ、8月4日に行われたとされる第4回審査委員会の記録開示を求めると共に、国のガイドラインや他自治体の事例なども調べながら、ギリギリまでしっかり考え抜きたいと思います。