9月定例議会が一昨日(10月6日)23時近くに、すべての審議を終えて閉会しました。
いつもは、全議員の賛否一覧を作成して公表していますが、昨日も朝9時から広報広聴委員会に参加し、午後も急ぎの懸案を片付けていたためにまだ出来上がっていません。
先に、この議会の最大のヤマだった「萩山小学校複合施設化の契約議案」について報告します。
これまでお伝えしてきた通り、築60年の萩山小学校の建替えに伴い、敷地内にある児童クラブ2つと、近隣にある萩山図書館、萩山公民館、萩山憩の家、萩山集会所を一つの建物に集約する複合施設化計画について、その設計、施工、維持管理を一体として複数の事業体によるコンソーシアムに発注するための契約議案。
その後、6月議会に再提案される見込みでしたが、5月7日の報道で6社によるコンソーシアムで最大企業だった前田建設工業が熊本県八代市の庁舎建設に絡んで贈収賄事件を起こしていたことが発覚。東村山市はそのまま進めることは「社会通念上、市民や議会の理解は得られない」と判断して、断念。
その後、7月に入ってコンソーシアム側から「前田を外して、残る5社で取り組む」旨の申し出があり、8月に改めてプロポーザル審査委員会を開催。市長は適格性ありと判断して今議会に再提案しました。
9月議会の初日には、予算の限度額を設定するための債務負担行為議案が議論され、賛成多数で可決しており、本丸の「契約議案」について審議し、賛否を決めるのが最終日だった、という流れです。

トップバッターの石橋光明議員(公明)が14時半頃に質疑に立ち、その後10会派すべてが行い、21:35から討論を行い、議決へ。
110名を超える方が傍聴にお越しくださったため本会議場の席が足りず、10年ぶり以上で第2会場が作られていました。
結果は14:9の賛成多数で可決です。
私は6分間の討論の上、賛成としました。
◇採決結果◇
【賛成14】公明党6人(横尾たかお、伊藤真一、村山じゅん子、駒崎高行、石橋光明、渡辺英子)/自民党5人(小町明夫、熊木利己、小林美緒、下沢ゆきお、木村隆)/日本維新の会1人(かくたかづほ)/会派に属さない議員(鈴木たつお)/対話で行こう!東村山(佐藤まさたか)
【反対10】共産党4人(浅見みどり、渡辺みのる、さとう直子、山田たか子)/立憲民主党2人(かみまち弓子、清水健文)/草の根市民クラブ1人(子安じゅん)/東村山・生活者ネットワーク1人(白石えつ子)/がんばろう東村山(わたなべたかし)
私がおこなった質疑と市側の答弁の要旨は以下の通りです。音声起こしをした全文は後半に掲載します。
【質疑と答弁のポイント】
Q 審査を一貫して非公開としてきたのはなぜか。公開している自治体との違いは?
A 担当部長 不当な働きかけの排除と民間ノウハウ保護のため非公開とした。一方、公開している自治体では、誓約書や録画禁止、審査委員への接触禁止などのルールを設けている。
Q 前田建設離脱後の5社体制で、金額の妥当性をどう確認したのか?
A 担当部長 総額と各業務の内訳を改めて提出させ、物価上昇分を除いて当初提案から変更がないことを確認。市の試算とも過度な乖離がなく、妥当と判断した。
Q 前田建設が、再委託や技術支援など別の形で事業に関与する可能性はないのか?
A 担当部長 FBSを含む全構成企業から、前田建設を再委託先とせず、技術支援、資材調達その他の方法でも関与させないことを確認した。今後も実施体制を継続的に確認する。
Q この間の問題を踏まえ、契約内容や履行確保策を強化したのか?
A 担当部長 契約内容自体に特段の変更はない。ただし、市が履行状況を継続的に確認・監督し、改善されなければ対価減額や契約解除も可能。各構成企業から法令違反等に関与していない旨の誓約書も提出させた。
Q 運営方針の決定が設計より後になり、「運営が設計の後追い」にならないか?
A 担当部長 設計に関わる事項は運営検討会で先行して議論する。基本設計への反映は令和9年6月までに判断し、実施設計での変更も同年10月頃には原則困難になるため、設計者とも共有しながら進める。
Q 「公共施設の総量は減らしても機能は残す」という、その「機能」とは何か?
A 市長 建物や部屋そのものではなく、行政サービスの目的・内容と地域で果たしてきた役割。萩山憩いの家の「1人でふらっと来られる」良さも重要な機能であり、多世代が集い、学び、地域の課題を解決する主体として交流できる場を目指す。
続いて、賛成討論の要旨です。2,500文字ほどになった全文は後半に掲載します。できればお目通しいただけると嬉しいです。
【賛成討論で述べた10のポイント】
① 3月は判断材料が足りず反対した
約80億円・19年間という大型契約に対し、複合施設の運営像などが十分に見えない段階では認められないと判断した。
② 半年間の議論を踏まえて改めて判断した
3月以降に示された新たな材料や議会での議論を一つひとつ検討し、今回は賛成するとの結論に至った。
③ 約80億円の契約額には、なお検証が必要
絶対的な適正額と証明することは容易ではない。一方、資材・人件費高騰や各地の入札不調の中、昨年来の事業費の範囲で契約に至ったことも判断材料とした。
④ 事業者への不信感と、契約を否決する理由は分けて考える
前田建設をめぐる問題や事業者側の対応には疑問が残るが、それだけで契約を否決すべき客観的理由になるのかは別に判断した。
⑤ 市には19年間にわたる重い監督責任がある
新たな5社体制で再審査した以上、事業者任せにせず、市が高い緊張感を持って履行を監督し続けることが不可欠。
⑥ 複合化で各施設の専門性を失わせてはならない
公民館としての位置づけ、市が運営の舵取りを担うこと、各施設を「むすぶ」コーディネーターの検討など、3月以降の具体化を評価した。
⑦ 「一緒になるからこそ」の価値を生み出す施設に
学校、公民館、図書館、児童クラブ、地域の居場所を単に同居させるのではなく、複合化による新しい価値を生み出す施設を目指すべき。
⑧ 「総量を減らしても機能は残す」を具体化する
建物や部屋を統合するだけでは「機能を残した」ことにはならない。それぞれが地域で果たしてきた役割を丁寧に捉える必要がある。
⑨ 萩山集会所・図書館など、具体的な機能を守る
萩山集会所という地域の拠点、図書館の閉架書庫や直営による公共性・専門性など、失ってはならない機能を今後も確保するよう求めた。
⑩ 契約成立はゴールではなく、ここからが本番
今後の運営検討を追認の場にせず、市民や専門家の知恵を生かし、地域とともに育つ公共施設にしていくことを求めた。
【以下、質疑と答弁の全文です】
Q.プロポーザル審査を非公開としてきた理由について
佐藤まさたか
7年度の初回から一貫して非公開としてきています。その理由を伺います。先ほど一部出ましたが、経過を公開している自治体もあります。当市とは何が違うのか伺います。
経営政策部担当部長
非公表の理由ですが、本プロポーザルについては、複合化という多くの民間ノウハウの活用が想定される大規模事業であったことから、審査過程への不当な働きかけ等を排除しつつ、事業者のノウハウを保護するという観点により、非公開の判断を行い、実施したものです。
その上で、公募時の個別対応の記録や審査基準、配点、審査結果の概要について公表するなど、民間ノウハウの保護を踏まえた上で、必要な範囲での透明性を確保してまいりました。
また、プレゼンテーション審査等を公開している自治体については、各自治体の判断の下、公募要件の設定の際に誓約書の提出や録画の禁止、審査委員への接触禁止など、民間ノウハウの保護等に関する適切な規定を定めた上で公開しているものと捉えております。
Q.5社体制となった後の最終見積りについて
佐藤まさたか
5社体制になった後の最終見積りについてです。
8月の債務負担行為の議案では、前田建設離脱による価格への影響について、特段、資料による検証を行っていない一方で、仮契約締結時には見積書の提出を予定しているという答弁でした。
16日に仮契約を締結した際の5社体制となった見積書には、各社の業務分担と金額がどこまで示され、市は何をどのように検証したのか伺います。また、検証を経て金額を妥当と判断した根拠を確認します。
経営政策部担当部長
体制変更後の見積書については、コンソーシアムの体制変更後に、改めて総額の見積書及び各業務の内訳を提出いただきました。
各社の業務分担については特段の記載はありませんが、この間のコンソーシアムとの協議やプロポーザル審査委員会において、建設業務については前田建設の業務を菊池建設が引き継ぐ形で実施していくこと、その他の業務分担については変更がないことを確認しております。
また、金額の内訳については、設計、工事監理、建設工事、維持管理それぞれの費用や、建設工事における建設、電気、機械設備等の工種内訳について示されており、物価スライド上昇分を除き、プロポーザル提案時に提出いただいた内容から変更がないことも確認しております。
見積額の妥当性については、優先交渉権者を選定した審査委員会において、見積額が提案上限額内であること、また、各業務の内訳についても市が試算していた金額と過度な乖離がないことから、妥当であると判断しております。
Q.前田建設離脱後の関係及び前田建設・乃村工藝社・FBSをめぐる責任関係について
(1)前田建設の今後の関与について
佐藤まさたか
前田建設は離脱しましたが、下請け、再委託、技術支援、資材調達その他の形で、本事業に直接・間接に関与する可能性はないのか。
特に、同社との資本関係を有するFBSが構成企業として残る中、市として前田建設との関係を契約上どこまで整理、確認しているのか、今一度伺います。
経営政策部担当部長
維持管理業務を担う構成企業として参画するFBSを含め、本事業のコンソーシアムの構成企業からは、前田建設工業を本事業の再委託先とせず、技術支援、資材調達その他の方法によっても本事業に関与させない旨を確認しております。
また、業務に着手した際には、契約に基づく再委託先に関する届出や、各業務の報告及び提出される書類等を通じて、実施体制を市においてしっかり把握するとともに、必要に応じて説明を求めるなど、履行状況を継続的に確認してまいります。
(2)契約内容及び履行確保策について
佐藤まさたか
この間の経過を踏まえると、コンソーシアムとは高い緊張感を持って臨むことが必須となると思います。
今回の仮契約及び今後締結する本契約の内容で、前回の仮契約から変更した点はあるのか。この間の経過を踏まえて付加したルール、条件、その他の履行確保策があれば確認します。
経営政策部担当部長
初めに、先の議員への答弁でも申し上げましたが、今回のコンソーシアムからの誓約書に基づく報告について、他市において指名停止が、今回は事故により起きたということで、信用失墜行為による指名停止ではないことから、議会への説明をしてこなかったことについてお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
その上で、昨年度締結した仮契約と今回締結した仮契約、そして議案を可決いただいた場合に締結を予定している本契約の内容については、現状、特段の変更はございません。
一方で、本事業は長期にわたることから、コンソーシアムと相互に協力して事業を進めることが重要である一方、単に相手方を信頼して任せるということではなく、市が発注者として事業者の実施体制や履行状況を継続的に確認・監督し、必要な場合には是正を求めることが肝要であると認識しております。
本契約では、これらの対応が実効性を持つよう、市が工程管理、工事の履行状況の確認及び各業務の状況確認等を行うこと、そして適宜、要求水準等に基づく改善を求めるとともに、適切な改善がなされない場合には、内容に応じ、対価の減額や事業契約の解除などが行える内容としております。
また、前田建設工業株式会社の信用失墜行為を受け、改めてコンソーシアムの各構成企業に対し、現時点で捜査機関による捜査または行政機関による調査の対象となっていないこと、公序良俗に反する行為、贈収賄、談合その他の法令違反や、社会的信用を著しく失墜させる行為等に関与していないことについて、誓約書の提出を求めたところです。
Q.運営の具体化を設計にどう反映させるのか
佐藤まさたか
3月議会以降、運営面について新たな方針が示されました。私としては、指摘したことに答えてもらっていると思っています。
一方、基本設計は来年6月に終了するのに対して、運営方針の確定は令和9年度末とされています。
運営検討会、公民館運営審議会、図書館協議会、さらに子どもや地域住民から出された意見のうち、施設設計に関わるものについては、いつまでなら基本設計に反映でき、いつから実施設計での対応となり、どの段階を過ぎたら対応困難となるのか。
その境界を明確にした上で、運営が設計の後追いにならない仕組みをどう担保するのか伺います。
経営政策部担当部長
先の議会にも答弁申し上げてきたとおり、運営検討会や市民の皆様からいただくご意見については、施設規模や構造に関わるものなどは要求水準等を大きく変更するため、反映が難しいと考えております。
一方、利用者の動線に関する工夫や、諸室及びオープンスペースの使い方等については、その必要性や施設機能への影響などを総合的に検討した上で、設計変更に向けた協議を進めていくことを想定しております。
設計変更の境界としては、設計の基礎となる内容については、令和9年6月の基本設計取りまとめまでに反映の可否を判断する必要があるものと考えております。
また、実施設計期間には、前段の基本設計を前提に、設備や建材、収納計画などの具体化を進めていく想定であり、これらに関わる範囲での設計変更については対応可能な想定ですが、確認申請に向けた準備等から、令和9年10月頃には設計変更への対応は原則として困難になるものと捉えております。
なお、ご指摘のとおり、運営方針は令和9年度末の確定を予定しておりますが、運営検討会においては、設計に関わる可能性がある検討事項は先行して議論を行うなど、いただいたご意見を設計者と共有しつつ、必要性や予算上の検討とともに、基本設計、実施設計、運用のどの段階で対応していくのかも整理し、運営が設計の後追いとならないよう進めてまいります。
Q.「総量は減らしても機能は残す」の「機能」とは何か
(1)既存施設が担ってきた機能の継承について
佐藤まさたか
「総量は減らしても機能は残す」としてきたので、この「機能」とは何かを確認します。
図書館の閉架書庫、憩いの家の気軽に立ち寄れる居場所としての役割、生活圏の異なる1丁目の萩山集会所など、単に新施設の中に同種のスペースを設ければ、機能を引き継いだということにはならないと思います。
地域住民や長年の利用者が抱く不安に改めて丁寧に向き合うべきと考えています。新施設の供用開始までに機能をどう保証していくのか、いつまでに方向性を決めるのか確認します。
経営政策部担当部長
「機能を残す」とは、現在の建物や部屋をそのまま維持することではなく、各施設において提供されてきたサービスや活動、利用の機会、地域における役割を、将来にわたり持続的な形で確保することであると捉えております。
また、施設再生を進めるに当たっては、新施設を楽しみにされている方々がいる一方で、現在の利用環境や機能がどのように引き継がれるか、不安を抱いている方々がいらっしゃることも認識しております。
そのため、新たな施設の運営に当たっては、利用者や地域住民のご意見を伺うとともに、運営検討会、公民館運営審議会、図書館協議会等のご意見をいただき、同時に市の関連する各所管の職員も庁内検討等において積極的に関わりながら整理していくことで、その保証がなされるものと捉えております。
この方向性については、基本設計、実施設計、運営の各段階で反映すべき内容を整理しつつ、利用方法や管理方法を含む運営の方向性について、令和9年度までに運営方針として市が責任を持って提示してまいります。
(2)公共施設再編・再生において守り、引き継ぐべき「機能」について
佐藤まさたか
そうだと思います。公共施設マネジメント以外の、現場をよく知っているはずのセクションをしっかり巻き込んで進めていただくことが大事なのだと思います。
最後に市長に伺います。
市はこれまで、公共施設の総量は縮減しても、それぞれの施設が担ってきた機能は引き継ぐという考え方を示してきました。
しかし、本件を通じて、実際にはその「機能」という内実が多様であって、「総量は減らしても機能を残す」という、その「機能」とは何かということを改めて問われているのではないかと、ずっと考えています。
公共施設の再編・再生において、守られ、引き継がれるべき機能とは何なのか。どのように捉えているのか伺います。
市長
当市では、公共施設の再生問題、つまり箱物の施設の老朽化により維持管理経費が増大しつつ、一方で人口動態及び社会保障費の増大により必要な更新費用が賄えないといった問題について、この間10年以上にわたって、私たちとしてもいろいろ知恵を絞り、局面、局面で議会にも報告したり、市民の皆さんのところに出向いて議論を積み重ねてきたと考えております。
こうした中で、公共施設の再生・再編における「機能」とは、その施設を通じて提供してきた行政サービスの目的、内容及び地域の中で果たしてきた役割を指すものと考えております。
その具体的な内容や提供方法は、全ての施設において一律に固定するものではなく、法令上の位置づけや設置目的、市民ニーズ、利用実態、安全性、利便性、将来の人口動態、財政面を含む持続可能性など、多岐にわたる状況を踏まえ、何を確保すべき機能とするのか、その機能をどのような方法で提供することが最も適切であるのかを、市民の皆様や利用者の皆さんとの対話を重ねながら、施設ごとに丁寧に判断していくものと考えております。
萩山については、これまでもご質問、ご指摘をいただいてきたように、特に先ほどおっしゃっていた萩山憩いの家の問題は非常に重要です。
今回、100%機能を移管しているわけではなく、入浴施設については明確に移管しないこととしています。憩いの家において入浴施設が本来的な機能ではないと思っているわけではありませんが、一方で安全管理の問題や、利用している実数がかなり限定的なところもあり、今回、入浴施設の機能を新たな施設に持っていくことについては見送らせていただいたところです。
一方で、先ほど佐藤議員からもお話があったように、1人でふらっと来られる、その良さは最大限残していかなければならない。高齢者の居場所をきちんと確保するという点からすると、機能として重要なことだと考えています。
逆に、高齢者だけで集うのではなく、多世代が集い、学んだり、憩ったり、あるいはつながっていくということが、これからの公共施設においては非常に重要なことだと考えております。
1人での個人の自由な利用については、基本的にはオープンスペース等で機能は確保できていると申し上げたつもりです。また、居室についても、団体利用で予約が入っていない場合の利用の仕方について今後検討し、できるだけ多くの方に自由に使っていただけるような仕組みも、今後、検討会の中で議論していただきたいと考えております。
これまでの利用の仕方に即しつつ、新たな時代を迎えて、高齢者だけ、子どもだけではなく、いろいろな世代が交流しながら共に学び、共に地域の課題を解決する主体者として交流できるような場を提供していくということが、今日的な公共施設の本当の意味での機能、役割だと考えております。
それについては、今回の萩山小学校等複合施設においても必ず実現していきたいと考えておりますので、今後、有識者や学校の校長先生、学芸員、社会教育委員の皆さんにお入りいただく中で、詳細について議論し、決めていければと考えております。
【続いて討論の全文です】
【第65号「萩山小学校等複合施設整備事業に係る設計・施工・維持管理一括契約」討論全文】
議案65号に、賛成の立場で討論をいたします。
私は今年3月、「本契約を可決することが、議会としてどこまで何を認めることになるのかがはっきりしないことに尽きる」と申し上げ、反対をしました。約80億円、19年間に及ぶ契約でありながら、判断するには不十分な点が多かったからです。
それから半年。様々な角度から議論が重ねられ、私の中では晴らすべき霧は評価できる水準まで晴れてきたと受け止めています。一方で示されてきた懸念には共感、共有するものもあります。それらも含めてどう判断したのか、以下申し述べます。
第一に、約80億円という契約金額です。今日も検証を求める質疑を行いましたが、これを分解し、絶対的に適正だと証明することはほぼ困難です。しかし資材価格や人件費が上昇し、全国の自治体で入札不調や事業費増が続出している中、昨年来の事業費の範囲内で仮契約に至ったことは、価格を判断する上での一定の合理性を認めるものです。
第二に、事業者への信頼の問題です。前田建設の不祥事に端を発した乃村工藝やFBSへの不信感は私にもあります。包括施設管理の委託先でもあるので、モヤモヤ感も残ります。しかし契約を否決すべきか否かは法規や各種基準に照らさなければならず、本件について客観的理由があるとは言えないと判断します。問うべきは、市が事業者任せにせず19年間高い緊張感を保って監督責任を果たせるか、だと考えます。
ここで一つ指摘をします。民間事業者は重要なパートナーですが、その利益やノウハウへの配慮を理由に、選定や契約のプロセスまで必要以上に見えにくくしてよいわけではありません。公共事業の主体はあくまで市であり、市民です。守るべき企業情報には配慮しながら審査過程を公開している自治体もあります。説明責任と透明性を確保し、もっと言うべきことは言い、求めるべきことは求める。そのような公民連携へ歩を進めていただきたい。
第三に、複合施設の将来像への評価です。
3月に私が反対し、改善を求めた最大の要素です。その後、社会教育法上の公民館として位置づける、市が責任をもって運営の舵取りを担う、各施設を「むすぶ」専門職たるコーディネーターを配置するなど、具体化が進んだことを率直に評価しています。そこでカギになるのは運営検討会です。先日の私の一般質問に市長は「社会教育・公民館が、次の時代の東村山を築いていく基盤となる方向で、施設再生や管理運営のあり方を教育委員会と協議していきたい」と答弁されました。検討会の学識にそれぞれの第一人者を招聘したことを評価しつつ、縦割りを超えて取り組む覚悟を市が示すか否かで結果は大きく変わってくると思っています。知見を十分に生かし、多様な施設が一緒になるからこそ生み出せる、全国に発信できるような価値創造を目指すべきですし、「新しい公民館、を掲げたのであれば、本気を見せてもらおうじゃないか」と思っています。当市で重視されてきたとは言い難い社会教育に光を当て、みんなのものにする千載一遇のチャンスです。
第四に、「総量は減らしても機能は残す」というときの「機能」です。
萩山集会所は地域密着の最たる施設であり、高齢者や障害のある方などの徒歩圏からその場を奪い、1丁目に住民自治の拠点となる公共施設が無くなることは避けるべきです。3月にも申し上げた通り、残すための方策を地域住民とともに考え、実現していただきたい。
萩山図書館は閉架書庫を市内で確保し、今まで維持してきた直営による公共性と専門性を堅持すること。児童クラブは、大規模化への対応を的確に行った過去の経過、実績を無にすることのないよう、今後も子どもたちが安心して「ただいま」と言える第2の家であり続けること。憩の家は、予約も団体所属も必要なく、ふらっと立ち寄れる居場所であり続けることを繰り返し求めます。
そして第五に、公共施設の総量をどう考えるかです。
人口減少、施設老朽化、将来の維持更新負担を考えれば、すべてを現在と同じ数、規模、形で維持し続けることは困難です。「次世代にツケ回さない」と共に、スマートシュリンク、「賢く縮む」という考え方に立つことが、当市にとっても不可欠だと考えています。
だからこそ、「賢く」の中身こそが重要です。
複合化の結果、地域の居場所、学び、子どもの生活、人と人とのつながり、住民自治まで失わせるのであれば、それは「賢く縮む」ことではなく、単なる縮小です。
2014年以来、市が公共施設再生についての専門部署を設け、当時の若手、中堅の職員たちが未知の領域に対して自主的・積極的に学びや調査を重ね、苦労してグランドデザインを描いてきたプロセスを一貫して見てきました。住民・市民との対話が不十分だという声もあり、確かに100点ではなかったかもしれない。けれど、歴代の担当は逃げることなく向き合ってきた、向き合っている、と私は受け止めています。これまでの取組みを踏まえ、私は今回の事業をその第1号として進めることを是としたいと思います。
同時に、それは2例目以降を今回と同レベルの発想、手法で進めればよいという意味ではありません。むしろ今回の長い議論によって、これまで十分に捉えられていなかったもの、見落としてきたものが明らかになったのではないでしょうか?
全体計画の前提となった状況に変化も生まれています。面積を減らす複合化から、公共的価値を増やす複合化へ、今回の経過を踏まえ、本市の公共施設再生の進め方を改めて整理し、いわゆる14校プランについても見直しを不断に行うことを提起します。これから始まる設計と運営の検討に、子ども、地域住民、利用者の声を可能な限り反映していただきたい。
最後に…。この間の緊張感を決して忘れず、竣工まで誠実に責任を果たすこと。そして竣工後は、すべての世代に学び舎として愛され、手垢にまみれるほど使われ、住民に育まれ、ともに育つ施設となるよう取り組んでいただきたい。私もともに頑張ります。以上です。