今議会に提出された8陳情第2号「公立中学校における平和教育及び校外学習の政治的中立性と安全確保を求める陳情」について、本日の本会議で議決がはかられ、賛成者ゼロで不採択となりました。
陳情項目は次の4点です。
① 公立中学校における平和教育の政治的中立性に関する基本方針を確認する
こと。
教育基本法第 14 条の趣旨に沿い、教師の指導内容、使用教材、外部講師・語り
部・市民団体等の招へい又は関与が、特定の政党・政治団体・政治運動の立場
に偏ることのないよう確認すること。また、生徒が発達段階に応じて、事実を
基に諸資料や多様な情報を活用しながら、多面的・多角的に考え、主体的かつ
公正に判断できる平和教育となるよう、教育委員会としての方針及び学校への
指導上の留意事項を改めて確認すること。
② 保護者への説明貴任と修学旅行・校外学習の安全管理を撤底すること。
修学旅行・校外学習の目的、訪問先、活動内容、移動手段、外部関係者の関与、
安全管理体制について、保護者に事前に十分説明すること。あわせて、文部科
学省通知の趣旨を踏まえ、行程及び活動内容に応じた危険性の事前把握、事業
者の安全管理体制の確認、緊急時対応及び引率体制の徹底を図ること。
③ 過去の修学旅行・平和学習等の記録を確認すること。
教育委員会又は学校に保存されている過去3年間の計画書、実施要項、実施報
告等を確認すること。そのうえで、修学旅行・校外学習及び校内の平和学習に
ついて、特定の政治的主張に沿った活動現場への訪問、関連団体等の関与など、
保護者の視点から見て、政治的中立性又は安全管理上の懸念が残る教育活動が
なかったかを確認すること。
④ ③に基づき懸念が残る事例については、必要な実態把握を行うこと。
③により、該当又はその疑いのある事例が確認された場合は、学校及び関係者
への聞き取りを行い、活動内容、生徒に対する特定の政治的活動への参加・賛
同の働きかけの有無、安全管理、保護者への説明、政治的中立性への配慮につ
いて実態を把握すること。その結果を、今後の指導及び改善に生かすこと。
これに対して、私は以下のような反対討論を行いました。
【反対討論全文】
本陳情は一見すると「中立性の確認」や「安全管理の徹底」を求める穏当な内容に見えます。しかし、実質的には「政治的中立性」を理由として教育委員会や議会が個々の教育内容を事後的に検証・評価することを求めており、その点に問題の本質があると感じます。
「安全管理には賛成」「教育の政治的中立は当然」という前提で本陳情を不採択の立場で討論をいたします。
①について
教育の政治的中立性は当然尊重されるべきです。しかし、その判断は個々の教材や講師を政治的立場から評価することではなく、生徒が多面的・多角的に考え主体的に判断する教育が保障されているかによってなされるべきです。本陳情は行政による教育内容への過度な介入を招くおそれが大いにあり、賛同できません。
②について
修学旅行や校外学習の安全管理の徹底、保護者への十分な説明は当然求められるものであり、事故の教訓は真摯に生かすべきです。しかし、安全管理の課題を政治的中立性の問題と結び付けて論じることは全く適切ではなく、本陳情には賛同できません。
③について
教育活動の記録保存は重要ですが、過去の平和学習を「政治的中立性」の観点から改めて検証し、特定の活動や関係者を調査対象とすることは、教育現場を萎縮させるものと考えます。教育内容への政治的介入につながりかねず、賛同できません。
④について
特定の政治的活動への働きかけなど事実が確認された場合は適切な対応が必要です。しかし、本陳情は具体的事実が示されないまま広範な聞き取り調査を求めています。このような調査は教育現場への過度な監視となる懸念があり、教育の自主性を損なうため反対します。
教育の政治的中立性を守ることと、政治が教育内容を中立かどうか判定することは全く別の話であり、今般の政府の判断にも大変な問題があると考えています。
憲法や教育基本法は、権力が教育を支配した戦前の反省の上に、教育への政治権力の過度な介入を抑制する考え方に立っていることは明らかです。その意味で、「政治的中立性」を守るという名目で、議会や行政が個々の教育内容や講師、訪問先を事後的に点検・評価すること自体が、憲法が保障する教育の自由と相容れないものです。
私が申し上げたいのは、教育の政治的中立性を軽視しているから反対なのではなく、中立性を守るために反対するということです。
最後に、教育の政治的中立性とは、子どもたちに特定の結論を押し付けないことであり、社会の現実から目を背けさせることではありません。多様な事実に多角的に触れ、自ら考え、判断する力を育むことこそ、公教育が担うべき役割であると考えます。
議会が、政治が守るべきは、個々の教育内容に政治的評価を加えることではなく、教育現場が憲法や関連法規の本旨を踏まえ、子どもたちの学ぶ権利と教育の自由を十分に保障できる環境を支え、時には守ることであると考えます。
以上、本陳情を不採択とする討論とします。




















