東村山市の決算、9会派は何を評価し、何を問題としたのか?~ 令和7年度一般会計決算の討論から

今週月曜日(28日)に5日間にわたる決算特別委員会が終わりました。

正副議長(朝木直子、佐藤まさたか)と議会選出監査委員(村山じゅん子)以外の21名で構成され、渡辺みのる議員が昨年と今年3月の予算時に続き委員長を、白石えつ子議員が副委員長を務めました。

最終日に行われた各会派の討論(賛否の表明とその理由)は長短があったのですが、ここでは文字起こしして要約したものを、ほぼ同じ分量で箇条書きしにしてアップします。順番も実際は、反対(不認定)の立場に立つ会派のうち大会派がまず行い、続いて賛成(認定)する中での大会派が、次に反対、次に賛成…と行ったのですが、ここでは認定(賛成)とした6会派、不認定(反対)とした3会派の順で並べます。

尚、太字で示した項目(分類)は当日の発言を生成AIに入れて私なりに整理したものです。すべて文字起こしをすると長くなるので、詳細な発言は来週半ばに市議会HPで公開されるであろう録画で確認いただければ幸いです。

 【認定】公明党・伊藤真一委員

決算全体の評価:物価高騰など厳しい社会経済状況の中、市税等の増収を確保しながら必要な事業を着実に執行したことを評価。一方、財政の硬直化や将来の金利上昇などを見据え、持続可能な財政運営を求めた。

主な評価事項:市税等の増収と実質収支の黒字確保/枠配分方式による予算編成と事業の精査/デジタル化・ワンストップ化による市民サービス向上/子育て・産後ケア、学校給食費無償化/成年後見制度など福祉施策の推進

重点的な課題・要望:市税収納率の向上と債権管理の強化/給食を利用できない児童・生徒への代替費補助の拡充/障害者グループホームや市民後見人への支援/粗大ごみ収集の待機期間短縮など生活課題への対応/金利上昇を見据えた臨時財政対策債等への対応/財政の硬直化を避け、中長期的な財政健全性を確保

【認定】自由民主党・小林美緒委員

決算全体の評価:枠配分方式の導入と事務事業の見直しにより、厳しい財政環境下でも総合計画に基づく事業を着実に進めたことを評価。

主な評価事項:東村山駅周辺整備と萩山公園の全面供用/子育て支援、学校給食費無償/成年後見制度/防災計画の充実と消防指揮車の購入/行政サービスのDX推進/庁内ハラスメント対策の進展

重点的な課題・要望:中小企業支援と企業立地促進/萩山小学校整備事業の丁寧な推進/高齢者施設への継続的支援/DXに伴うコスト・人的負担への対応/経常経費の見直しと事業の戦略的な取捨選択/将来世代への過度な負担の回避

【認定】東村山生活者ネットワーク・白石えつ子委員

決算全体の評価:厳しい財政状況を踏まえつつ、当事者の声を尊重し、誰も排除しない施策の充実と持続可能な財政運営を求める立場から認定。

主な評価事項:ポータル登録者増とスマートフォン講座/デートDV防止講座、母子保健・産後ケア/ヤングケアラー支援と自殺防止対策/障害特性に応じた就労支援/学校給食費無償化と中学校全員給食の準備/図書館の「りんごの棚」による読書のバリアフリー化

重点的な課題・要望:公共施設維持管理経費等の精査と財政運営/デジタル情報アクセシビリティの確保/包括的性教育の充実/ヤングケアラーのきょうだい支援/障害者余暇活動の場における対話と情報共有/不登校・ひきこもり等の子ども・若者との接点づくり/誰も排除しないインクルーシブなまちづくり

【認定】日本維新の会・かくたかづほ委員

決算全体の評価:予算に基づく事業執行には特段の疑義がないとして認定。一方、行政評価の実効性と抜本的な行財政改革を求める。

主な問題提起:実施計画成果シートの数値目標・基準値の不足/目標設定率46%、目標達成率65%/経常収支比率の悪化(93.1%→96.8%)/税収増加と市民生活の厳しさ

重点的な課題・要望:全事務事業の毎年度公表/成果指標の明確化と客観的な進捗管理/既存事業の横展開と拡充/事業廃止を含む抜本的な財政改革/枠配分方式や事業廃止の成果を人事評価へ反映/市民税・都市計画税の減税

【認定】鈴木たつお委員

決算全体の評価:実質収支の黒字を認めつつ、単年度収支の赤字と財政基盤の脆弱さを指摘。財務分析と行政改革を連動させることを求める立場から認定。

主な問題提起:財務諸表が事務事業評価に活用されていない/客観的なデータに基づく行政改革が不十分/トロイカ体制の役割分担と成果の検証が必要/市有財産の売却に依存した財政改善

重点的な課題・要望:行政コスト計算書・財務諸表の徹底分析/分析結果と事務事業評価を連動させるKPIの設計/市長・副市長の役割と成果責任の明確化/市長のトップセールスによる歳入確保/市有不動産の売却から収益運用への転換/国債を含む基金運用の検討

【認定】がんばろう東村山・わたなべたかし委員

決算全体の評価:市民のために執行された予算として認定する一方、総合計画の進捗と市民の実感との隔たり、枠配分方式の検証不足を指摘。

主な評価事項:枠配分方式による事業精査と財源調整/歳出不用額の減少と予算編成精度の向上/実質的な単年度財政収支の黒字/将来の大型事業に備えた基金の維持

重点的な課題・要望:枠配分方式による15億4,000万円の財源調整の影響検証/事業削減が決算や市民サービスに与えた影響の明確化/総合計画の進捗と市民の実感との隔たりへの対応/議員に寄せられる市民の声の施策への反映/誰一人取り残さない行政運営の徹底

【不認定】日本共産党・浅見みどり委員

決算全体の評価:物価高騰下の市民生活への支援が不十分であり、公民連携やデジタル化、補助金に依存した事業選択によって、市民ニーズに基づく施策が後退していると指摘。

主な評価事項:学校給食費無償化と給食の質の維持/地球温暖化対策推進事業/ジェンダー平等やケア労働の重要性を認めた市の答弁

重点的な課題・要望:物価高騰対策と生活支援の拡充/緑地・農地の保全と省エネ補助の拡充/公民連携の見直しと契約審査の透明化/デジタル関連経費の精査と公平性の確保/職員定数の増加と過重労働の改善/公民館・図書館の機能維持と活性化/市民ニーズに基づく事業選択と地方自治の自主性の発揮

【不認定】草の根市民クラブ・子安じゅん委員

決算全体の評価:公金支出における透明性・公正性の不足、外部委託への依存、市民目線を欠いた行政運営を問題視。

主な問題提起:プロポーザル審査の不透明さ/包括施設管理委託の選定後の業務・契約金額変更/デジタル地域ポイント事業の公金依存/ごみ処理施設委託における入札の競争性/実現時期が不確定な駅周辺整備への委託経費/市内緑地の減少

重点的な課題・要望:公開プロポーザルの導入/契約・入札制度の透明性と公正性の確保/不確定な開発計画への公金支出の見直し/緑地保全の実効性ある施策/市職員が直接市民の声を聞く機会の確保/市民に寄り添う福祉行政への転換

【不認定】立憲民主党・清水健文委員

決算全体の評価:福祉・子育て分野の成果を評価しつつ、事業執行の手続き、施策の公平性、緑地保全や権利擁護に関する課題を理由に不認定。

主な評価事項:ライフリンクとの連携による自殺対策/小中学校給食費の完全無償化/児童クラブでの長期休業中の食事提供/介護人材の確保とキャリアアップ支援

主な問題提起・要望:萩山公園追加工事の手続きと市の主体性/緑地保全施策・基金の充実/アインPayの公平性/自転車用ヘルメット購入補助の申請・交付方法/老人保護事業における対象者把握とアウトリーチ/教育分野の性暴力・性犯罪防止策の徹底

決算審査を見てみよう②副市長の補足説明から

令和7年度の市の決算を審査する特別委員会は、17日(木)、18日(金)と2日間を終えました。計5日間を予定しますので、24日(木)25日(金)28日(月)と続きます。

前回も書きましたが、決算特別委員会の委員は正副議長(朝木議長と私)と議会選出の監査委員(村山議員)以外の21名なので、私は傍聴席かオンラインで審査の様子を見守るだけの日々となっています。

予算特別委員会と決算特別委員会の委員に議長と監査委員が就かないことには合理的な理由がありますが、副議長はただの慣例にすぎません。私以前の60有余年は、かつての民主党から副議長が2人誕生していますが、それ以外はすべて自民党か公明党からでしたので、同じ会派の議員たちが委員として参加しているため問題がなかったわけです。しかし、私のような1人会派が正副議長に就く可能性もゼロではない以上は、2年間にわたって予算・決算に対して質疑はおろか「討論(賛否の理由の開陳)」すら行えないことの不利益は大変大きいものがあります。そのため、次期以降の改善を図るべきと考えて、朝木議長あてに要望書を提出しました。

前置きが長くなりました。

令和7年度一般会計決算の審査にあたり、初日の冒頭で東村浩二副市長から「主要な施策の成果の概要」に沿って、歳入・歳出の主な内容について補足説明がありました。

◎歳入は756億7,742万円、前年度比5.2%増

令和7年度の一般会計歳入総額は756億7,742万円で、前年度より37億5,742万円、5.2%の増となった。中でも市税は227億9,792万円で、前年度から10億1,151万円、4.6%増加した。納税義務者数や個人所得の増、新築家屋の増などが主な要因。市税徴収率は前年度と同じ98.1%だった。

地方消費税交付金も、国内消費の堅調な推移や物価上昇などを背景に8.0%増の39億784万円となった。

一方、地方交付税は69億3,454万円で2.2%減少。市民税所得割などの増によって基準財政収入額が伸び、基準財政需要額の伸びを上回ったことによるもの。

国庫支出金は、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金などにより9.6%増の162億6,971万円。都支出金も、市町村総合交付金や学校給食費負担軽減事業補助金などにより10.5%増の122億9,486万円となった。

また、諸収入は、デジタル基盤改革支援補助金や道づくり・まちづくりパートナー事業の受託事業収入などによって58.1%増の24億6,143万円となった。

◎歳出は731億9,379万円、前年度比6.5%増

歳出総額は731億9,379万円で、前年度より44億5,920万円、6.5%増加した。

最も大きい民生費は353億7,542万円で6.5%増。物価高への対応として、子育て世帯に児童1人当たり2万円を支給する「物価高対応子育て応援手当」のほか、子ども食堂等への臨時支援を行った。また、デジタル化の恩恵を高齢者にも広げるため、初めてスマートフォンを購入する高齢者への購入費補助も実施した。

総務費は122億2,503万円で10.1%増。市民1人当たり4,000円の物価高対応家計応援金のほか、闇バイトによる強盗事件の続発を受けた住宅用防犯機器等への購入補助を行った。また、戦後80年の節目として、戦争体験記の募集、東京空襲資料展、小中学生の平和学習、広島派遣などの平和啓発事業も実施した。

教育費は85億9,707万円で13.1%増となった。大きな事業の一つが学校給食費の無償化で、小学校分約3億7,530万円、中学校分約1億9,745万円。また、公共図書館、電子図書館、新たな学校図書館システムを一体的に管理する「統合図書館サービス」が令和8年2月からスタートした。

◎物価高対策から道路、環境、まちづくりまで

このほか、農業分野では肥料や原油価格などの高騰を受け、農業者の経営を下支えする支援金を支給。商工分野では、市内中小企業の生産性向上などにつながる投資への補助を行い、商工費は前年度比93.1%増となった。

環境分野では、太陽光発電や蓄電池、断熱窓改修への補助に加え、環境配慮行動に対してデジタル行政ポイントを付与する新たな取組も進めた。

道路関係では、舗装や排水設備、JR武蔵野線道路橋の耐震・修繕などを実施。東村山駅周辺では、駅開業130周年と西武新宿線下り線の高架化を記念した事業を行った。

武蔵野の面影を残す貴重な樹林地を次世代に引き継ぐため、薬師山緑地を約2億1,623万円で取得。ふるさと歴史館と八国山たいけんの里では、民間事業者提案制度で採択されたESCO事業を活用して、空調改修や照明のLED化による省エネルギー化も進めた。

◎決算の数字から何を見るのか

以上が、副市長から説明された令和7年度決算の主な内容です。

歳入756億7,742万円、歳出731億9,379万円と、いずれも前年度を上回る大きな決算となりました。

市税が10億円余り増えた一方で、国庫支出金は14億円余り、都支出金も11億円余り増えています。歳出では、物価高対策や給食費無償化など、市民生活に直接関わる事業が目立ちました。

しかし、決算審査で大切なのは「何にいくら使ったか」を確認するだけではありません。なぜ歳入・歳出がこれだけ増えたのか。その財源はどこから来たのか。そして、市が自由に使える財源や今後の財政運営はどうなっているのか。

副市長の補足説明で示された全体像を踏まえ、総括質疑では、こうした点についてさらに議論が掘り下げられました。③に続きます。

東村山市の決算を見てみよう①「歳入編」~757億円の「中身」を見る

明日から東村山市議会では、令和7年度(2025年度)決算の審査を行う決算特別委員会が始まります。17日(木)18日(金)24日(木)25日(金)28日(月)と、途中に5連休が挟まって足掛け3週間に及ぶ異例の日程ですが、来年度の予算編成へ向けて大変重要な場となります。
なお、朝木直子議長と議会から選出されている監査委員(村山じゅん子議員)、そして副議長の私は委員ではないので、審査を見守る日々となります。

ということで、私ができることを考えて、できるだけわかりやすい情報提供にトライしてみたいと思います。
始めます。

「決算」と聞くと、数字ばかりで難しそう……と思われる方も多いと思います。

でも、市の財政は私たちの暮らしそのものです。福祉、子育て、教育、道路や公園、ごみ処理、公共施設など、市民生活を支える仕事にどれだけのお金が入り、それを何に使ったのか。その結果を1年ごとに確かめるのが決算です。

市の財政を少しでも多くの市民に知っていただくことは大切ですし、市も議会も、そのための努力を続ける必要があると私は考えています。

そこで、明日からの決算審査を前に、令和7年度決算について何回かに分けて見ていきたいと思います。

第1回は、市に「どこから、どれだけのお金が入ってきたのか」――歳入編です。

令和7年度の歳入は約757億円

令和7年度の一般会計決算は、歳入が約756.8億円、歳出が約731.9億円となりました。

歳入は前年度より約37.6億円増えています。

なかでも、市民や市内企業などが納める市税は約228億円。前年度の約218億円から約10億円増えました。

では、歳入全体が757億円まで大きくなり、市税も増えたのだから、東村山市の財政はこの10年ほどでずいぶん豊かになった――と言えるのでしょうか。

ここが、決算を見るうえで大事なところです。

市に入るお金には、それぞれ「性格」がある

まず知っておきたいのは、同じ「歳入」でも、すべてが同じ性格のお金ではないということです。

市税は、市民税や固定資産税など、市が自ら確保する最も基本的な財源です。原則として使い道はあらかじめ決められていません。

地方交付税は、自治体によって税収などに差があっても、必要な行政サービスを提供できるよう国から交付される一般財源です。これも原則として使い道が特定されていません。

臨時財政対策債(臨財債)は、地方財政全体の財源不足を補うために設けられた地方債です。自治体の「借金」ではありますが、特定の建設事業などに使途が限定された通常の地方債とは異なり、一般財源として使われてきました。

このほか、地方消費税交付金などにも、使い道が特定されていない一般財源があります。

一方、国庫支出金や都支出金の多くは、子育てや福祉、道路整備など、特定の事業を行うために国や東京都から入ってくるお金です。通常の地方債も、原則として学校や道路、公共施設など特定の事業のために借り入れます。

さらに、使用料・手数料、財産収入、寄附金、繰入金、繰越金など、さまざまな収入があります。

つまり、歳入を見るときには、

「どこから入ってきたお金なのか」

と同時に、

「どの程度、使い道が決められているお金なのか」

を見る必要があります。

ですから、歳入総額が増えたことと、市が政策判断によって使える財源が同じだけ増えたこととは、まったく別の話です。

コロナ禍で歳入は一気に200億円増えた

このことは、11年間の数字を並べてみるとよく分かります。

平成27年度には約530億円だった歳入総額は、令和7年度には約757億円になりました。

途中には、非常に大きな山があります。

令和2年度、コロナ禍の年です。

歳入総額は令和元年度の約570億円から、一気に約771億円へ膨らみました。

最大の要因は、国や東京都から入ってくる「国・都支出金」です。令和元年度の約195億円から、令和2年度には約383億円へ、ほぼ倍増しました。

感染症対策や特別定額給付金など、国の施策を市が実施するための財源が大量に市の会計を通ったためです。

したがって、771億円という決算規模だけを見て、「東村山市が急に豊かになった」と考えることはできません。

歳入総額と「財政を支える3つの財源」を比べてみる

そこで作ったのが、次のグラフです。

【グラフ① 歳入総額と「市税+地方交付税+臨時財政対策債」の比較】

令和元年度から令和2年度にかけて、歳入総額は、

570億円 → 771億円

と約200億円増えています。

ところが、市税、地方交付税、臨時財政対策債を合わせた額は、

276.0億円 → 278.9億円

と、ほとんど変わっていません。

この3つだけが一般財源のすべてというわけではありません。しかし、市の財政を継続的に支えてきた主要な財源として11年間の変化を見るには、とても重要な3つです。

歳入総額だけを見ると巨大な山になっている令和2年度が、この3財源だけを見るとほぼ平らです。

コロナ期の決算規模の急膨張と、市の基礎的な財源の動きは分けて考える必要がある。

このグラフは、そのことをかなり端的に示していると思います。

では、この3つは11年間でどう変わったのか

次に、この3財源の中身を見てみます。

【グラフ② 市税+地方交付税+臨時財政対策債の推移】

平成27年度は、

市税204.7億円+地方交付税40.7億円+臨財債22.4億円=267.8億円

でした。

令和7年度は、

市税228.0億円+地方交付税69.3億円+臨財債0円=297.3億円

です。

11年間で約30億円増えています。

しかし、注目したいのは、総額だけでなく中身がかなり変わっていることです。

市税は約205億円から228億円へ、比較的緩やかに増えてきました。

地方交付税は約41億円から約69億円へ大きく増えています。

一方、臨時財政対策債は大きく減りました。

臨財債は28億円からゼロへ

東村山市の臨財債は、令和3年度には約28.1億円ありました。

その後、

28.1億円 → 7.2億円 → 3.1億円 → 1.5億円 → 0円

と急速に減少しました。

臨財債は平成13年度(2001年度)に始まった制度です。国の地方財政対策の中で地方の財源不足を補う仕組みとして長く使われてきましたが、令和7年度には国の地方財政計画で発行額が制度創設以来初めてゼロとなりました。

ですから、東村山市で臨財債がゼロになったことを、市独自の財政運営の結果だけとして捉えることはできません。国の地方財政対策そのものの変化が、市の歳入構造にも表れていると見る必要があります。

一方で、地方交付税は平成27年度の約40.7億円から、令和6年度70.9億円、令和7年度69.3億円という水準になっています。

臨財債の減少と地方交付税の増加。この二つを別々に見るだけでなく、国が地方自治体の一般財源をどのような形で保障してきたのかという視点から見ることも必要だと思います。

「自主財源」の割合も見ておきたい

もう一つ、市の財政白書に興味深い数字があります。

自主財源比率です。

東村山市は、

平成27年度 44.9%
平成30年度 46.9%
令和元年度 46.1%

でした。

ところが、コロナ禍の令和2年度には34.5%まで急落します。

市税が突然大きく減ったからではありません。国・都支出金が急増し、歳入全体が大きく膨らんだ影響です。

その後は、

37.7% → 42.1% → 42.8% → 41.9%

と回復しています。今回の決算数値から同じ考え方で整理すると、令和7年度は43%程度となります。

ただ、コロナ前には46%前後だったことを考えると、まだ違いがあります。

また、令和6年度の多摩26市平均は49.9%で、東村山市の41.9%を上回っています。

なぜこの差があるのか。これも東村山市の財政構造を考えるうえで、今後見ていきたいポイントです。

「757億円ある」ではなく、「757億円の中身を見る」

こうして11年間を並べると、一年度の決算書だけを見ていては分かりにくい変化が見えてきます。

平成27年度に約530億円だった歳入は、令和7年度には約757億円になりました。

しかし、その200億円を超える増加を、そのまま「東村山市の財政力が高まった」と読むことはできません。

コロナ禍では国・都支出金が急増しました。その後も、国や東京都の施策に伴って市を通るお金があります。

一方、この11年間で市税は約23億円増え、地方交付税は約29億円増加。臨財債は約22億円からゼロになりました。

だからこそ、決算を見るときに大切なのは、

「いくら入ってきたのか」だけではなく、「どこから入ってきたのか」「使い道はどの程度決められているのか」「継続的に見込める財源なのか」まで見ること。

だと思います。

決算書に並ぶ数字は、市民生活から離れた数字ではありません。

どれだけの財源を安定して確保できるのか。市が自ら判断して使える財源はどれだけあるのか。それは、福祉、子育て、教育、道路、公園、公共施設など、これからどのような行政サービスを維持し、どこに力を入れていけるのかにもつながります。

明日から始まる決算審査でも、「去年より増えた、減った」だけでなく、その数字の背景にある財政構造の変化まで含めた議論が深まることを期待したいと思います。

次回は、入ってきたお金を**「何に使ったのか」――歳出編**として見てみます。

※令和7年度の普通会計に関する数値の一部は、決算審査意見書等をもとに現時点で整理したものです。今後公表される財政白書の普通会計数値とは若干異なる場合があります。

市政の本質に踏み込めた…かな? ~ 今回の一般質問の報告

今週月曜日(9月7日)に行った一般質問では、大きく2つのテーマを取り上げました。

一つは、人口減少と財政・人的資源の制約が強まる中で、「何を公共として保障するのか」を市民とともに考え、選択する自治について。もう一つは、市民の学ぶ権利を保障し、住民自治を育てる社会教育と公民館のあり方についてです。

私の中では、この2つは地続きのテーマです。「自治とは、誰かが決めたものを受け取ることではなく、市民自身が学び、問い、対話し、選び、ともにつくっていくものではないか」という問題意識から、全12問を質問し、答弁を得ました。

音声から要約を作りましたので…とはいえそれでも少し長いのですが、お読みいただけると嬉しいです(^^)/


1.自治体は何のためにあるのか②~何を公共として保障するのかを、市民とともに決める自治へ

1-① 国や都、近隣自治体に流されない主体的な政策選択を

Q 佐藤まさたか

国や都の制度・補助制度、近隣自治体の動向などによって、自治体が実質的に政策選択を迫られる場面が増えています。「他市も実施している」「補助制度がある」ことが事実上の政策決定要因となるのではなく、本市自身が地域の実情から政策課題を設定し、「実施しない」という選択も含めて主体的に判断する自治体であり続けるためには何が必要でしょうか。

A 市長

国や都の補助金がある、隣接自治体が実施しているというだけで政策判断するのではなく、市民と人口動態や財政状況を共有し、市民ニーズを的確に把握して、できるだけ客観的な根拠に基づいて政策をつくることが重要です。その上で、何をやり、何をやらないのか、何を見直すのかについて市民や議会に情報を出し、限られた財源や人的資源をどこに集中的に投入するのかについて一定のコンセンサスを得ていくことが、これからの自治体運営には欠かせません。首長、職員、議会、市民がそれぞれの立場と役割を尊重しながら、このまちを持続可能なものにするために何を選択するのか、十分な対話と市民的合意をつくることが必要だと考えます。


1-② 東村山市として「何を公共として保障するのか」

Q 佐藤まさたか

人口減少と財政・人的資源の制約が強まる中、すべての行政サービスを維持・拡充することは困難です。一方で、「限られているから削る」のではなく、限られているからこそ、何を公共として保障するのかを明確にすることが重要です。本市として何を公共が保障し、どこまでを公費で支えるのかという判断軸、いわば「東村山市としてのシビルミニマム」を、市民・議会と議論し共有していく必要性をどう考えますか。

A 経営政策部長

すべての行政サービスを従来どおり維持・拡充することが難しくなる中、単に「限られているから削る」のではなく、本市が何を公共として保障すべきかを明確にし、限られた資源を重点的に配分することは重要だと認識しています。何を公共として保障し、どこまでを公費で支えるのかについて一律の基準を示すことは容易ではありませんが、行政が一方的に選別するのではなく、考え方や根拠を共有し、市民・議会と議論しながら合意形成していくことが望ましいと考えます。「シビルミニマム」という視点を受け止め、今後の各種計画の策定や見直しを通じて、丁寧な議論を重ねていきます。


1-③ 「何を始めるか」と「何を見直すか」を一体で

Q 佐藤まさたか

限られた経営資源の中で新たな施策を実施する際には、必要性や財源だけでなく、既存事業の縮小・廃止も含め、**「何を新たに行うのか」と「そのために何を見直すのか」**を一体として検討する必要があります。現在、そのような政策選択はどのように行われていますか。また、判断過程や将来的な財政影響を市民と共有し、議会が議決責任を果たすために必要な情報を十分示すことについて、どう考えていますか。

A 経営政策部長

各所管が地域課題などを把握し、必要性、財源、優先度などを総合的に勘案して政策判断しています。一方、より早い段階から見直しの考え方を示すべきとの指摘も踏まえ、行財政改革として事務事業の見直しを進めています。見直し方針を整理・公表した上で、あり方を検討する事業を明らかにし、検討の早い段階から考え方や過程を市民・議会と共有し、意見をいただきながら進めることを想定しています。

再Q・佐藤まさたか 

各所管が市民ニーズを把握する一方で、それを財政や事務事業の見直しとどう結びつけるかが重要です。近年導入している「枠配分予算編成」は、各部が限られた財源の中で何を重点化するかを自ら考える仕組みだと思います。実際に政策の選択と集中につながってきているのでしょうか。

A 経営政策部長

私自身、昨年度まで事業を担当する部長でしたが、限られた配分の中で、部として何を重点的に取り組むのかを従来以上に議論するようになりました。継続してきた事業だから続けるのではなく、一度棚卸しをして、選択と集中を行う意識が生まれつつあると認識しています。


1-④ 将来世代を政策形成の主体に

Q 佐藤まさたか

財政負担、公共施設、環境、福祉など、現在の政策判断の影響を最も長く受けるのは、現在の子ども・若者たちです。将来負担を伴う政策について、現在の有権者だけでなく、子ども・若者を含めた全世代型の市民参加を政策形成に組み込むことについて、現状と今後の考えを伺います。

A 経営政策部長

これまでも総合計画や個別計画の策定に際し、ワークショップや子ども版パブリックコメントなどを通じて、子ども・若者の意見を伺ってきました。今後は計画策定だけにとどめず、より幅広い政策形成の段階で、子ども・若者が意見を表明しやすい手法を工夫するとともに、世代を超えて多くの市民が政策形成に関われる環境づくりを検討していきます。


1-⑤ 市民を「お客様」から自治の主体へ

Q 佐藤まさたか

この15~20年、本市の市民参加は大きく進みました。一方で、さらにその先へ進む必要があると考えます。行政が提示した政策について意見を聞くだけでなく、**「何が課題なのか」「何を公共として保障するのか」「何を選び、そのために何を見直すのか」**という段階から、市民が学び、問い、対話し、政策形成に関われる住民自治へ進化させる必要があるのではないでしょうか。市民を行政サービスの「顧客」「お客様」ではなく、ともに問い、選択し、その結果をともに引き受ける自治の主体と位置づけることについて、市長の考えを伺います。

A 市長

これまで「みんなで進めるまちづくり基本条例」を制定し、新しい政策や計画をつくる際には市民参加を取り入れることが、ほぼ標準的な形になってきました。しかし、今後の超高齢化・人口減少社会では、「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」を選ばざるを得ない時期が来る可能性があります。その際、何をシビルミニマムとするのかを市民自身にも考えていただき、対話を通じて市政へ反映する仕組みは非常に重要です。市民はサービスの受け手であると同時に、市政や地域づくりの担い手でもあります。市民が主体的にまちづくりや市政に関われる雰囲気や仕組みを、さらに作っていきたいと考えています。


2.目指す公民館像とは~学ぶ権利を保障し、住民自治を育てる社会教育へ

2-① 公民館は「貸館」だけではない

Q 佐藤まさたか

社会教育・公民館には、市民の自由で主体的な学びを権利として保障するとともに、講座や貸館、生涯学習機会の提供にとどまらず、人と人が出会い、学び合い、地域について考え、住民自治の土壌を耕す役割があると考えます。教育委員会は、社会教育・公民館の今日的役割をどう認識していますか。また、本市の公民館行政の成果と課題をどう捉えていますか。

A 教育部担当部長

社会教育には、地域での学びを通じて人々のつながりや関わりをつくり、地域コミュニティの基盤を形成する役割があります。公民館には、地域に根ざした社会教育施設として、住民が「集う・学ぶ・結ぶ」ことを促し、人づくり・地域づくりに貢献する役割が求められています。一方、地区館を含め利用者が減少していることは大きな課題であり、若年層を呼び込む企画や学習スペースの充実など、公民館を利用してこなかった市民への取り組みを強化しています。

再Q・佐藤まさたか 

地区館から事業係がなくなって長い時間が経っています。中央館では様々な事業が行われていますが、地区館は実質的に「貸館」に傾いてしまっているのではないでしょうか。先ほど答弁されたような公民館像を実現するには、特に地区館について、かなり積極的な転換が必要ではありませんか。

A 教育部担当部長

ご指摘のとおり、地区館の人員体制が厳しい状況となり、公民館の役割のうち、特に「結ぶ」機能をもっと強化しなければならないと教育委員会として認識しています。萩山についてはコーディネーターを配置し、この「結ぶ」機能をしっかり担っていく考えです。


2-② 公民館のウイングを地域へ広げる

Q 佐藤まさたか

公民館を、館内で行われる講座や貸館を中心とした施設としてのみ捉えるのではなく、学校や他の公共施設、地域へ社会教育の機能を広げ、人々が出会い、学び合い、地域をつくる拠点として発展させることについて、どう考えますか。

A 教育部担当部長

公民館が地域の社会教育の拠点になることは論を待ちません。今年度から全小中学校でコミュニティスクールを開始し、学校を核とした地域づくりをスタートしました。学校を中心とした地域ネットワークと、公民館などを拠点として活動する市民団体との結びつきにも発展させたいと考えています。学校や公共施設を拠点として社会教育の機能を地域全体へ広げ、子どもや市民が地域を知り、主体的に学び、考える住民自治の機運醸成に努めていきます。


2-③ 学校教育と社会教育を互いに生かす

Q 佐藤まさたか

今後、学校と公民館などの社会教育施設を複合化する場合、学校教育側はそこにどのような教育的価値や可能性を見出すべきでしょうか。子どもの探究的な学び、地域学習、地域住民との交流など、学校教育と社会教育を相互に生かすための基本的な考えを伺います。

A 教育部長

学校と社会教育施設を複合化することで、多様な地域の方々との交流を通じて、子どもたちのコミュニケーション能力や社会性を育み、地域への関心、愛着、信頼感を培うことにつながると考えています。学校の枠を超えた体験や学習機会が増え、多様な学びの場を提供することも可能になります。学校教育と社会教育が連携することで、地域とともにある学校づくりの風土が生まれ、双方が充実することが期待されます。まずは萩山小学校で、この相互連携を実践していきます。


2-④ 「面積を減らす複合化」から「価値を生み出す複合化」へ

Q 佐藤まさたか

公共施設の複合化を、共用空間をどう管理するかという施設管理上の問題だけではなく、異なる機能がともにあることで何を生み出すのかという視点から捉える必要があります。学校教育と社会教育、子どもと大人、学校と地域が相互に学び合う仕組みを、今後の公共施設再編の基本的な視点として位置づけてはどうでしょうか。

A 経営政策部担当部長

学校を核とした公共施設再生では、異なる機能を複合化することによってどのような効果を生み出せるかは、大変重要な視点だと認識しています。今後も、子どもたちの安全と良好な学習環境を大前提としながら、学校教育と社会教育、子どもと大人、学校と地域が、それぞれの活動、知識、経験、人脈を生かし、相互に学び合い、交流できる仕組みづくりを重要な視点の一つとして公共施設再編を進めます。


2-⑤ 複合施設を生かすも殺すも「人」

Q 佐藤まさたか

学校、公民館、地域住民、市民活動、子ども、行政各部門などをつなぎ、学び合いや活動を生み出すためには、「人」の存在が不可欠です。3月議会でも、一体的な公共施設として日々運営される初めてのケースを生かすも殺すも人であり、担い手次第だと申し上げました。社会教育主事や社会教育士を含め、専門的人材の配置・育成・活用をどう進めますか。

A 教育部長

社会教育委員会、公民館運営審議会、図書館協議会などからも、複合化される機能を結ぶコーディネーターの重要性について多くの意見をいただいています。教育委員会としても、新たな施設では、人と人、人と団体・組織をつなぐコーディネーターが極めて重要だと認識しています。専門性の高い任期付き職員の採用や、ノウハウを持つ民間事業者への委託など、多様な方法を検討します。社会教育主事等の資格を採用要件とするかについても、具体的な役割の整理とあわせて検討します。


2-⑥ 社会教育を「住民自治を支える市政の基盤」に

Q 佐藤まさたか

中央公民館と各地区館について、それぞれの地域特性を踏まえ、住民自治を育てる拠点として今後の役割を改めて検討してはどうでしょうか。また、市民協働、子ども、福祉、防災、地域コミュニティなど一般行政ともつなぎ、社会教育を住民自治を支える市政の基盤の一つとして位置づけることについて、市長・教育長の考えを伺います。

A 教育長

公民館を住民自治を育てる拠点として、地域特性を生かした柔軟な運営を行うことには意義があります。今年度から全小中学校でコミュニティスクールを展開し、学校を核とした地域づくりを始めています。学校と地域、保護者をどうつなぐかというネットワークの視点も重要です。そして、社会教育が住民自治の基盤の一つであることは、これまでも認識しています。まずは萩山小学校等複合施設を通じて、幅広い世代が集い、学び、その成果を地域へ還元できるよう、市民の主体的な学びという視点から取り組みます。

A 市長

社会関係基盤をつくる礎として、公民館・社会教育が戦後の日本で大きな役割を果たしてきたことは間違いないと思います。一方で、これまでの公民館には様々な制約があり、自由な市民活動を阻害している部分がないか考える必要があります。そのため教育委員会とも「新しい公民館」という言い方をしています。何か会議や催しがあるから行くのではなく、「まちに貢献したい」「アイデアがある」「いろいろな人と話したい」というだけでも、ふらっと来ることができ、そこから何かが生まれる場所になれば面白いと思います。社会教育・公民館が、次の時代の東村山を築いていく基盤となる方向で、施設再生や管理運営のあり方を教育委員会と協議していきたいと考えています。

再Q・佐藤まさたか

今回、萩山をめぐって出てきた議論を、ぜひ中央館と各地区館を含めた東村山市全体の社会教育・公民館行政を、丁寧な議論と対話の上で再構築する機会にしていただきたいと思います。教育長、いかがでしょうか。

A 教育長

中央館を中心としたネットワークは非常に重要だと考えています。そうした取り組みが、東村山全体の活力の向上につながればと考えています。


2-⑦ 社会教育・公民館のあり方を総合教育会議でも

Q 佐藤まさたか

学校教育、社会教育、地域づくり、市民自治にまたがる重要な課題として、今後の社会教育・公民館のあり方を総合教育会議でもテーマとし、市長と教育委員会が方向性を共有して検討していくことについて、見解を伺います。

A 経営政策部長

総合教育会議は、市長と教育委員会が連携を密にし、市の施策の方向性に沿って教育行政を推進する重要な場です。ご提案のような、地域づくり、市民自治にまたがる課題としての社会教育のあり方を、行政側から協議テーマとして提案することも可能だと認識しています。今後、公共施設再生などの事業を進める機会に、各所管が連携しながら教育委員に情報を共有し、ご意見を伺っていきたいと考えています。


最後に

今回の答弁で掲げられた目標は、現在の東村山市の実態に照らせば、かなり高いものだと私は受け止めています。だからこそ、これまでと同じやり方の延長ではなく、これまでとは次元の違う議論と対話を、市民、行政、教育委員会、議会の間に広げていく必要があると考えます。「何を公共として保障するのか」を市民とともに考え、選ぶ自治。そして、そのために、市民自身が学び、問い、人と出会い、地域について考えることのできる社会教育と公民館。

今回、自治体運営にとっての本質を問いかけるつもりでこのような構成にしてみました。動画は来週初めに公開されると思います。お時間あったらぜひご覧いただき、忌憚のないご意見をいただければ嬉しいです。

萩山小学校等複合施設化事業に関する債務負担行為(80億円余)は賛成手数で可決~9月議会が始まりました

昨日(8月31日・月)から9月定例議会が始まりました。会期は10月6日までの37日間の予定です。市長から提出された議案は9件と少なめで、3件が常任委員会に、5件は7年度決算に関するものなので決算特別委員会に付託されました。

そして萩山小学校等複合施設化事業について改めて約80億円の債務負担行為を設定する一般会計補正予算(第2号)だけが本会議で審議されました。

全10会派中、大きい順に9会派が質疑に立ち、私は8番目。質疑、討論の上、賛成をしました。

以下、昨日の録音から書き起こした内容をブログ用に整理しました。

◆萩山小学校等複合施設――約80億円の価格は、どうつくられ、どう検証されたのか

今回、私が質疑で確認したかったのは、約80億円という大きな公金支出の前提となる価格が、どのような過程で形成され、市がその妥当性をどこまで検証してきたのか。そして、3月議会後に前田建設工業が八代市での不正事案に関係したことからコンソーシアムから離脱し、施工体制が変わった後も、従前の提案価格を維持することについて、どのような確認を行ったのか。この点を中心に質しました。

◆前田建設工業が抜けても、価格は変えない

従来、建設業務は前田建設工業、菊池建設、相羽建設の3社で担うことになっていましたが、前田建設工業が離脱し、その業務は菊池建設が引き継ぐことになりました。

市は、今回の契約について「構成企業の数や配置する人員数に対して対価を支払うものではなく、要求水準を満たし、提案された業務内容や成果を履行することに対して支払うもの」と説明。

前田建設工業が抜けても要求水準や提案内容は変わらないことから、「価格を変更する必要はないと判断した」と答えました。

私は、値下げすべきだと決めつけて質問したわけではありません。

3社から2社へ施工体制が変われば、施工分担だけでなく、現場管理、事業者間調整、一般管理などの間接経費にも変化が生じる可能性があります。そこで、新たな見積書や積算資料などによって、市自身が従前価格の妥当性を確認したのかを尋ねました。

これに対する答弁は、「特段、資料等による検証などは行っておりません」というものでした。

仮契約を締結する段階では見積書が提出される予定とのことです。

この点は、今後予定されている契約議案を審査する際にも、改めて確認する必要があると考えています。

◆「市の積算」とは、どのようにつくられたものなのか

次に確認したのが、令和7年6月に市が設定した「80億円」という提案上限額の形成過程です。

市はこれまで「市の積算」と説明してきましたが、今回の答弁で、その具体的な役割分担が明らかになりました。

80億円の基礎となる約69億円の概算事業費については、アドバイザリー業務の受託者が専門的知見に基づいて数量や単価に関する資料を収集し、積算支援や技術的助言を実施。

市は、それらの資料や積算結果について、要求水準、対象数量、単価の出典、算定方法、事業全体との整合性などを確認し、最終的な責任を持って決定した、という説明でした。

つまり「市の積算」とは、市職員だけで一から積算したものではなく、専門事業者の技術支援を受けながら、市が検証して決定したものだということです。

◆11億円の「市場性補正」は、市自身の判断

さらに重要なのが、当初の積算に約11億円を上乗せした「市場性を反映した補正」です。

市の説明によれば、この11億円はアドバイザーからの提案ではなく、市自身の判断で調査、算定、提案したものとのこと。

都内の類似工事を調査した結果、1平方メートル当たり80万円以内では契約不調となる事例が多く、90万円以上では落札実績が比較的多かったことから、必要な建設費を約94万円/㎡と想定し、当初積算との差額約11億円を加えた、と説明しました。

80億円という上限額がどのような考え方で形成されたのかについて、一歩踏み込んだ答弁が得られたと受け止めています。

◆上限80億円に対して、提案価格は99.998%

一方で、引き続き確認が必要だと感じている点もあります。

市が設定した提案上限額は80億円。それに対して、優先交渉権者の提案額は79億9,982万7,000円でした。

差はわずか17万3,000円。上限額の約99.998%です。

この価格自体をどのように検証したのか尋ねたところ、市は「債務負担行為の範囲内であること」「市の積算から過度に乖離していないこと」を確認し、妥当と判断したと答えました。

さらに、市の概算と事業者の見積りでは、建設費、外構整備費、屋内運動場改修費、解体費など、個々の費目には相当の差があります。

市は、両者は積算の目的やプロセスが異なるため、個々の費目に差が生じるのは必然と説明。その上で、プロポーザル審査委員会において、提案内容が要求水準を満たしていること、各費目の総額も市の概算から大きく乖離していないことを確認したと答えました。

◆今回の議決と、次の契約議案は分けて考える

今回の補正予算は、約80億円の契約そのものを議決したものではありません。今後の契約手続を進めるため、予算上の限度額を設定したものです。

今回の質疑では、「要求水準や提案内容が変わらなければ、施工体制が変わっても価格を変更する必要はない」という市の考え方が明確になりました。同時に、体制変更後の価格について、新たな積算資料等による検証は現段階では行っていないことも明らかになりました。

「価格を変更する必要がない」ということと、「価格の妥当性を改めて検証する必要がない」ということは、果たして同じなのか。ここは私自身、今回の質疑を通じて最も気になった点です。

私は以下のような討論の上、この議案に賛成しました。


議案第59号、令和8年度一般会計補正予算(第2号)について、賛成の立場から討論します。 

平成24年に専門部署を設けて以来進めてきたと説明のあった本市の公共施設再生の取組みについて、その歩みを当初から見てきた者として、公共施設マネジメントの方向性については一貫して大筋において是としてきました。本日の質疑を通じても、3月議会での契約議案否決やその後の事業者の体制変更を受け、手続や法的な整理を含め、緊張感をもって取り組まれているものと受け止めています。 

今回の債務負担行為は、約80億円の支出や契約内容そのものを確定させるものではなく、今後の契約手続を進めるための予算上の限度額を設定するものです。契約については改めて議会の審査、議決に付されることから、現段階で次の手続へ進めることは妥当と判断し、本議案に賛成します。 

一方、私が以前から最も問題意識を持ってきたのは、公共施設マネジメントの手法そのものよりも、学校教育と社会教育を所掌する教育委員会が、今回の複合施設化を内容面でどう捉え、当事者や市民を巻き込みながら、どこまで踏み込んだ検討をしてきたのかという点です。3月議会で契約議案に反対した大きな理由の一つも、学校以外の公共施設部分がどのように運営され、市民福祉の向上にどうつながるのかが十分に見えなかったことにありました。この点については、その後、市として具体化、改善を図ってきたものと認識しています。複合化総体をどう考えるか、という点は来週月曜日の一般質問でもしっかり議論したいと考えています。 

10月に予定される契約議案では、体制変更後の履行能力と責任体制、約80億円という価格の妥当性と検証過程、将来の財政的リスクに加え、3月議会後に具体化された施設運営の考え方が、当時の疑義に十分応え、市民福祉の向上に資するものとなっているのかを重要な判断材料とします。 本日の答弁と開示資料、さらに今後の議論を踏まえ、契約議案については改めてその内容に即して判断することを申し上げ、賛成討論とします。


9月議会最終日(10月6日)に予定される契約議案では、体制変更後の履行能力と責任体制、約80億円という価格の妥当性と検証過程、将来の財政的リスクに加え、3月議会後に具体化された施設運営の考え方が、当時の疑義に十分応え、市民福祉の向上に資するものとなっているのかが重要な判断材料となると考えています。

昨日の答弁、開示資料、さらに今後の議論を踏まえ、8月4日に行われたとされる第4回審査委員会の記録開示を求めると共に、国のガイドラインや他自治体の事例なども調べながら、ギリギリまでしっかり考え抜きたいと思います。

議会として地域へ出向く~議会報告会を継続しているワケ

ご報告とご参加への御礼が遅くなりました。一昨日(8月8日・土)午前中、秋水園ふれあいセンター(秋津町4丁目)と栄町ふれあいセンター(栄町2丁目)へ東村山市議会24名で二手に分かれて出向き、議会報告会を開催いたしました。

朝から猛烈な暑さであったにもかかわらず、それぞれ25人、16人の方が足を運んでくださいました。いつも申し上げていることですが、ご参加くださる方があって初めて成り立つ場であり、ご多用の中お越しくださった皆様に深く感謝申し上げます。

東村山市議会では、2014年(平成26年)4月施行の議会基本条例の第5条で「議会報告会」の開催を定め、同時に市議会の広報広聴機能について「東村山市議会の議会報告会等に関する実施要綱(全13条)」を作成して施行しました。そこには、当時の議員たちで次のように明記しました。

第1条 (目的) …この要綱は、東村山市議会基本条例(平成25年東村山市条例第28号)第5条の規定に基づき、議会としての説明責任を果たすとともに、市民意見の把握に関し、必要な事項を定めることを目的とする。

第2条(議会報告会)… 議会報告会は、議会として議会での審議結果等を市民に対して報告するとともに、市政全般にわたる市民の意見を把握するために実施するものをいう。

第3条(意見交換会) …意見交換会は、議会が必要に応じて、具体的課題について市民から意見を聴取するものをいう。

第4条(運営)…議会報告会及び意見交換会は、東村山市議会広報広聴委員会(以下「委員会」という。)が運営にあたる。

第5条(開催回数)…議会報告会及び意見交換会は、原則として年4回、定例会が終了するごとに開催する。

全国から議会改革に関する視察をたくさんお受けした時期があり、その時に「自分たちの議会も当初は頻繁に行っていたが、今では年に一度だけになってしまった。東村山市議会はどうして3か月ごとに続けることができているのか?」というご質問を受けることが多くありました。4年ごとの選挙で議員が一定数入れ替わり、始めた頃の目的や熱意の伝承が難しい、というのが、市役所と異なる議会の特徴であり、弱みでもあります。なので、「何事も合意を得たらルール化することが大事で、報告会も実施要綱を作成して明記したことが大きいと思います」とお答えしてきました。


2020年に新型コロナに見舞われる少し前までは、参加していただきやすい条件を考えて、お勤め帰りの方が寄りやすいと思われる金曜日の夜に駅近の施設で、広い駐車場があって遠方からも来やすい大きめの会場で土曜日の昼間に、という風に1回につき2日連続で開催をしていました。

コロナの影響で2020年5月だけは休みましたが、8月には議員手持ちの機材を寄せ集めてyoutubeによる録画配信として再開し、4期続けて実施。しかしやはり双方向でないと面白くない、ということでZoomを活用することにしてオンラインで継続。

コロナが収束した後は、オンラインだから参加できたという方たちの声がアンケートにあったことから、会場参加とオンライン参加を同時に行ういわゆるハイブリッド形式とし、今に至ります。

今回までの12年半を振り返ってざっとカウントしてみたところ…

◎3か月ごとに47期開催(4年ごとの選挙直後の3期とコロナ直後の1期だけ開催せず)

 うち1期につき1会場が13期/1期につき2会場が25期/Youtubeのみ4回/Zoomのみ5回

◎開催総回数…72回

◎参加者総数…1,801人(会場とオンラインの合計/youtube視聴数は含まない)

という実績であることがわかります。

参加できなかった方にもわかっていただきたいという考えから、毎回、開催後は内容とアンケート結果をまとめて市議会HPにアップしており、動画でも確認ができます。


「参加者が同じ人たちばかりにならないか?」という点もよく尋ねられますが、もちろん毎回のように来てくださる方もいらっしゃる一方で、必ず初めての方がいらっしゃいます。今回も、普段の大きい会場ではなく、地域性の強い小さめの施設に出向いたことで、「近くで開いてくれたので来てみました」という方が幾人もおられ、大変嬉しく思いました。

また、「参加者が減ってきたので回数を減らした」という議会もあることも承知しています。この点については、もちろん毎回大勢がご参加くださるに越したことはありませんが、議会はエンタメではないので、いつもワクワクする、なんてことは難しいものだと思っています。でも、3か月ごとに必ず開いていれば、市民の意見を二分するような大きな問題が起きた時には、宣伝などしなくともきっと多くの方が詰めかけてくださることになる、と思うのです。

議会内には開催の負担が大きいので回数を減らしたらどうかという意見もずっとありますが、私は申し上げたような理由で縮小はすべきではないと考えていますので、これからも「市民の皆さんの近くにあって、誰からもよく見えて、市民が遠慮なくモノが言える議会」であり続けるための努力を重ねたいと考えています。


次回は11月13日(金)19時から市民センターでの開催を今のところ予定しています。9月議会の中心議題である「令和7年度決算審査」の報告や、恐らく3月議会で否決となった「萩山小学校等複合化の契約議案」の再提案など、大きな議論になるであろう案件が入ってくると思われます。ぜひ9月議会の傍聴にいらしていただきたいですし、報告会へのご参加もお待ちしています(^^)/

念願の中学校全員給食スタートを前に

2学期からスタートする東村山市の中学校全員給食を支える「ひがっしーキッチン」の内覧に伺いました。

ハーベストネクスト株式会社が自社ビルとして建設したこの調理施設は、HACCP(ハサップ・危害要因分析重要管理点)に基づく衛生管理が徹底され、食材や人の動線が交差しない動線、最新鋭の什器が整備されていました。

バーべストのご担当の案内で2チームに分かれて施設見学をさせていただきましたが、市教委のご担当とも話して何より良かったな~と思ったのは、東村山市の学校給食に長く携わってきた同社と、東村山市教育委員会の給食担当が安全で安心の給食提供のためにイチからともに造り上げた…いわばオーダーメイドのような施設だということ。

そのため、痒い所に手が届くというか、細かい配慮が各所に施されており、また地産地消の拡大を図るための工夫も見て取ることができ、20年間という異例の長期契約である理由も実感として理解することができました。

東村山市の中学校給食は、2001年に前市長の前時代的な考えから「弁当併用外注方式」という中途半端な形でスタートしました。私はその2年後に議員となって事情を知り、驚きましたし、その理由にのけぞりそうになりました。

以後、家庭の事情に左右されるようなやり方は一刻も早く改めて、全員給食にするように幾度か問題提起もしてきましたが、行政というのはなかなか変わらないという典型例のような対応が続いた時期が長くありました。

今回、ようやく多くの願いが届いて実現する全員給食です。

ぜひ子どもたちの声もしっかり聴きながら、充実を図っていってもらえたらと願うばかりです。

第65回 社会教育研究全国集会に参加して(前編)

社会教育は民主主義の土台であることを、あらためて考えた二日間

8月2日・3日、小平市の白梅学園大学で開催された第65回社会教育研究全国集会に参加しました。

参加のきっかけの一つは、萩山小学校建て替えに伴って萩山公民館のあり方が大きな論点となっていることです。しかしそれ以上に大きな理由は、私にとって社会教育は、63年間の人生の原点とも言えるものだからです。

1969年、日野市の多摩平団地に育って日野第五小学校の1年生となった私は、たまたま近くに前年開館した日野社会教育センターの体操教室に通い始めました。以来、子ども会活動や夏のキャンプや冬のスキー、中学生・高校生の自治活動等に参加を続け、学生スタッフを経て大学卒業後は職員として1999年夏まで社会教育の実践に携わりました。

最後はあまりよい形で離れたわけではないので複雑な思いを抱えた時期も長くありましたが、振り返れば、その時代に培った経験や価値観、人との出会いは、2003年から市議会議員として23年間活動してきた現在の私の土台となっているのだと感じています。住民自治、市民参加、対話、学び合いといった、私が大切にしている考え方は、まさに社会教育の実践の中で育まれたものであり、それがNPO法人多摩住民自治研究所の一員として現在も活動していることも含め、今に繋がっているのだと最近とみに感じるようになりました。

今回の全国集会は、その原点とも言える社会教育の世界に改めて身を置く機会であるとともに、当時お世話になった長澤成次さん(現・千葉大学名誉教授)や菊池一春さん(元・北海道訓子府町長)をはじめ、これまで大きな影響を受けてきた方々と再会し、お話を伺うことのできる貴重な機会でもありました。多くの示唆を得られる2日間であり、久しぶりに参加して本当に良かったと思っています。

「考える力を手放さない」という基調提案

基調提案で多摩研理事長でもある荒井文昭さん(都立大学名誉教授)が一貫して訴えたのは、「社会教育は生涯学習サービスではなく、憲法が保障する『学習する権利』を実現する営みである」ということでした。

社会教育の目的は、知識や技能を身に付けることだけではありません。一人ひとりが考える力を育み、対話を重ね、主権者として社会に関わっていく力を支えることにあります。だからこそ、公民館や図書館、博物館などの教育機関は、単なる公共施設ではなく、民主主義を支える基盤として位置付けられるべきだという提起でした。

特に印象に残ったのは、「考える力を手放さない」という言葉です。

公共施設の統廃合や専門職員の減少によって、地域で学び、語り合う場が失われつつあること。自治体職場でも多忙化や非正規化が進み、現場の声が政策に届きにくくなっていること。そして、「何を言っても社会は変わらない」という無力感が社会全体に広がっていること。これらは単なる行政運営の問題ではなく、民主主義そのものに関わる問題であるという指摘は、大変重いものでした。

「自治体改革と社会教育」が問いかけたもの

初日午後の課題別学習会は、第1「自治体改革と社会教育」に参加しました。

まず姉崎洋一さん(北海道大学名誉教授)から、「社会教育を揺るがす制度改革の今日とその力学」と題して「自治体改革は何を変えようとしているのか」というお話がありました。

姉崎さんは、現在進められている自治体改革を、単なる行政改革ではなく、社会そのものの構造変化の中で捉える必要性を指摘しました。人口減少やデジタル化、気候変動、軍事研究の拡大など、世界規模で社会が大きく変わる中、日本でも地方自治制度や教育制度の見直しが進められています。その一方で、市民が主体的に考え、地域を支える力が弱まり、「受け身の住民」が前提とされる政策が増えていることに強い危機感が示されました。

続いて上田幸夫さん(日本体育大学名誉教授)から「東京・三多摩の社会教育の蓄積と今日」と題して、1974年にまとめられた「三多摩テーゼ」の歴史と意義が語られました。

そこでは、公民館は単なる施設ではなく、

  • 学習の自由を保障すること
  • 専門職員が配置されること
  • 運営審議会による市民参加
  • 無料で利用できること

などを柱とする民主的な学習機関として位置付けられていました。現在、公民館再編が全国で進む中だからこそ、この理念を改めて見直す必要があるという提起でした。

3人目は、「夢のある図書館を創るきよせの会共同代表」の室澤準也さんから「清瀬市・地域図書館廃止計画に声を上げ、新市政を生み出した市民の運動」と題して報告がありました。

図書館廃止問題は、子どもたちの学びの場、高齢者の日常、地域コミュニティなど、市民生活そのものに大きな影響を与え、市民は約8,000筆の署名を集めて住民投票を求める運動を展開しました。住民投票条例は否決されたものの、市民運動は市長選挙へとつながり、新しい市政を誕生させる原動力となりました。「図書館を守る運動」が、市民自治そのものを問い直す運動へ発展したことは大変示唆的でした。

また同じく共同代表の関根美保子さんからの住民投票運動の報告は、今からちょうど20年前の2006年夏に私自身も携わった「東村山駅西口再開発」住民投票の経験を思い出させてくれ、胸を熱くしながら聴き入りました。

姉崎さん、上田さん、室澤さん、関根さんのお話は、「地域の公共性を守ることの重要性と、それを支える住民自治の可能性」を私たちはどう守り、発展させるのか、という問いに満ちていました。

1974年にまとめられた「三多摩テーゼ」は、公民館を単なる貸館施設ではなく、市民の学習権を保障する民主的な学習機関として位置付けています。専門職員の配置、住民参加を担保する運営審議会、無料原則など、その理念は現在の公民館を考える上でも色あせていないと感じます。

図書館や公民館は単なる行政サービスではなく、市民自治を支える公共空間であることを改めて考えさせられる時間でした。

東村山市への示唆

今回の学びを通して、ふと頭に浮かんだことがあります。

それは、私自身も重視してきた「市民参加・市民参画」と、「住民(市民)自治」との関係…というか、問題です。

市民参加・参画は、今や自治体の政策推進において当たり前のものとなり、東村山市の渡部市政19年間の市政運営においても、各種計画策定や、駅前整備や学校再編、公園整備などでワークショップやパブリックコメントなどが重ねられてインフラのようになったことは大いに前向きに受け止めてきました。それは今も変わっていません。

一方で、どこかモヤモヤしたものを感じるのは、その多くが個別事業ごとに実施され、その運営がコンサルタント会社頼みと思われることが少なくないことです。

自治体運営の「ため」に行われる市民参加・参画ももちろん必須であり重要ですが、市民一人からでも始まる住民自治の営みを保障するのもまた、自治体の大切な役割ではないか、と思うのです。

考察は「後編」の報告とともに行おうと思いますが、本当に大切なのは、「市民が自ら学び、考え、対話し、地域の課題解決に自ら行動する」ということではないのか?それはどうしたら可能となるのか?と2日間考えながら、様々なお話を伺いました。

(後編では、二日目の分科会や参加者との対話を通して考えたことをまとめたいと思います。)

「この時期、何しているんですか?」

再び熊本を襲った地震から4日目。現時点で36人と伝えられるお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、けがをされた方や、ご自宅が住めなくなって避難を続けざるを得ない方、終わりの見えない猛暑の中で様々な支援や作業に当たり続けている方々に衷心よりお見舞い申し上げます。

人生において一度だって遭いたくない大災害にわずか10年で二度も見舞われた方たちのご心痛は計り知れません。10年前の震災直前と直後に2度訪ねた熊本の街を思い、一日も早く復旧が進み、住民の方々が日常を取り戻せるよう心よりお祈り申し上げます。

さて、暑い暑いと言っているうちに早いもので8月を迎えました。

東村山市議会は6月定例議会が6月25日に閉会し、次は9月定例議会です。今年は8月31日(月)~10月6日(火)を今のところ予定していますが、その間は議員たちは何をしているの?と尋ねられました。

まったくもって人それぞれなので他の方のことはわからないのですが、私のこの1か月余りを備忘録も兼ねて並べてみようと思います。

大きく 1)市議会の公務やそれに準じる活動 2)議員個人としての活動 3)個人的な活動 に分けてみました。

1)市議会の公務やそれに準じる活動

①広報広聴委員会の委員として、

・市議会だより8月15日号発行に必要な会議への参加と作業(6月26日、7月10日、22日)

・8月8日(土)10時から開催する「議会報告会」へ向けた準備(企画書の取りまとめや進捗管理/2会場の割り振りやPR活動の手配/リハーサル…7月30日/駅頭PR…7月31日/ご苦労さん会の手配/開催記録の取りまとめ等)

②市議会厚生委員会の所管調査活動の一環として先進自治地視察…7月14日:重層的支援体制整備事業(静岡県富士市)/7月15日:若者の多様な参画推進(菊川市・牧之原市)

③姉妹都市・柏崎市議会との合同研修会の準備と運営(7月5日・6日)

④パワーハラスメント被害を出さないために、根絶に向けた政策研究会(7月21日)

⑤人権に関する政策研究会(7月9日…打合せ/31日…人権擁護委員との意見交換)

⑥東京たま広域資源循環組合の監査委員として定期監査(6月29日)

2.議員個人としての活動

①議会閉会中に開かれることの多い市の各種付属機関(審議会や各種会議)を傍聴して行政の動きを掴んでおく(みんまち条例見守り検証会議、環境審議会、子ども・子育て会議等)

②佐藤まさたか「市政ほっと対話」の開催(7月19日・20日・8月29日)

③継続している市民相談、新たな相談への対応、当事者の方のサポート(随時)

④各種研修会や勉強会への参加…6月29日、7月11日、12日、16日、31日、8月1日、2日、5日、13日、20日、21日、22日、25日、30日

3)個人的な活動

①副理事長を務めているNPO法人多摩住民自治研究所の「議員の学校」企画担当として、チーム会議の設定、今後の内容の検討、講師候補との交渉、事務局との調整等

②ローカル・マニフェスト推進連盟の運営委員の一員として、全国地方議会サミット(7月13日・14日)の運営補助、マニフェスト大賞の準備

③いつもの地域での活動(廻田上自治会で管理する旧前川緑道の剪定・除草…7月4日・12日/北川水辺倶楽部の北川清掃…7月11日)

カレンダーにしてみると…

つながりに心より感謝の2日間~柏崎市議会との合同研修会

姉妹都市·柏崎市議会の皆様が8年ぶりにお越しくださり、2日間の合同研修交流会を開催しました。

昨日は議会改革の現状を互いの議運委員長に報告してもらった後、6つのテーマ別分科会へ。従来より小人数のグループにしたので濃厚な議論ができました。

夜は掬水亭で交流会。拙い司会を務めさせてもらいましたが、政党·会派や期数などに関係なく話に花が咲きまくり、繋がりを十分深めることができたように思います。

そして本日は多磨全生園の国立資料館や納骨堂、いのちとこころの人権の森宣言碑等を共に見学し、お昼にバスをお見送り。

今頃は無事に到着されていると思います。

私自身は2003年の初当選後の7月に初めてこの相互交流事業でお邪魔して以降、多くの柏崎市議会の方と知り合い、特に議会改革については交流とは別に教えを請いに訪ねたり、情報交換も度々させていただいてきました。今回も顔なじみの方々と再会を喜び合い、今日は固く握手をして再会を約束しました。繋がりに心より感謝です。

学び合いと信頼関係のありがたさを改めて深く感じる機会となりました。

柏崎市議会の皆様、ハンセン病資料館の皆様、企画政策課の皆様、準備万端整えてくださった両議会事務局の皆様、大変ありがとうございました。

#柏崎市議会

#東村山市議会

自治体は何のためにあるのか①地方創生の光と影

6月議会の一般質問では4つのテーマを取り上げたのですが、最後のテーマ「自治体は何のためにあるのか」のまとめをアップするのを忘れていました。今後、少しシリーズ化して考えていきたいと思っているテーマで、初回は「地方創生の光と影」としました。

2024年6月、内閣府は「地方創生10年の取組と今後の推進方向」を公表しました。地方創生は、人口減少への対応や地域活性化を掲げ、全国の自治体に創生戦略や人口ビジョンの策定を求めてきたもので、東村山市も例外ではありません。

しかし、この10年を振り返ると、地方を重視するように見えながら、実際には国が示すメニューに自治体が追随し、計画づくりに追われてきた面も否定できません。地方創生が、新たな中央集権や国家統制の手段になっていなかったか。この点は、多くの地方自治研究者が指摘してきたところです。

元福島大学教授の今井照さんも、近著『自治体は何のためにあるのか』の中で、自治体の本来の役割について鋭く問い直しています。今井先生は、私が議員2年目だった2004年に東村山市議会の議員研修で講師を務められた方でもあり、私にとって地方自治を体系的に学ぶきっかけを与えてくださった存在です。

今回の質問では、東村山市が進めてきた公民連携について、現時点での評価と課題を確認しました。

市は、公民連携によって生み出される公共的価値について、単なる経費削減や効率化にとどまらず、市民生活の質の向上、安全安心の確保、地域のつながりの維持、公共サービスの持続可能性を高めることにあると答えました。児童クラブの延長保育、市民講座やイベント、高齢者の見守り、ネーミングライツなどを例に挙げ、一定の公共的価値の向上につながってきたとの認識が示されました。

一方で、市は「公民連携は行政責任を民間に委ねるものではない」「効率性や経済性のみを優先するものでもない」とも答弁しました。

私が懸念しているのは、公民連携が進むほど、事業の規模が大きくなり、契約期間が長期化し、内容が複雑化することで、議会や市民から見えにくくなることです。たとえば包括施設管理のような事業は、効率化の効果が期待される一方で、どの事業者がどのような関係で関わっているのか、行政がどこまで主体的に判断しているのかが見えづらくなる危険があります。

次に、内製能力について確認しました。国が次々と計画策定を求め、自治体がコンサルタントに依存して対応してきた結果、自治体職員自身が課題を把握し、政策を立案し、説明する力が弱まっていないか、という問題です。

これに対し市は、政策判断の主体はあくまでも市であり、民間事業者に地域課題の設定や政策判断を委ねるものではないと答えました。市が自ら市民ニーズを把握し、政策目的を設定し、庁内調整や住民との対話を行い、実施後の効果を検証して改善につなげる力が不可欠だ、という答弁でした。

これはとても大事な点であり、ぜひすべての職員の皆さんが常に胸に置いてほしいと思っています。

さらに、政策形成過程の可視化についても尋ねました。市は、事業結果だけでなく、どのような課題認識に基づき、どのような選択肢を検討し、なぜその手法を選択したのかを、市民に分かりやすく説明することが重要だと答えました。民間事業者のノウハウや競争上の地位に配慮しつつも、可能な限り市の判断を明らかにしていくとのことでした。

最後に、民主的統制について確認しました。公民連携であっても、政策判断の主体と最終的な説明責任は市にあります。そして、その妥当性をチェックする役割を持つのが議会です。議会による審議、市民への情報公開、利用者の声の反映、事業評価と見直しが機能して初めて、公民連携は公共性を保つことができます。

今井照さんは、「自治体のミッションは、今日と同じように明日も暮らし続けることを市民に保証することだ」と述べています。私も、本当にそこに尽きると思っています。

新しいことに挑戦することは大切です。財源確保や効率化も避けて通れません。しかし、政策の起点は、国のメニューでも、民間事業者の提案でもなく、市民の暮らしと声であるべきだと考えています。

「自治体は何のためにあるのか」

この問いを置き去りにしたまま、効率化や公民連携だけが進んでしまえば、自治体は誰のためのものなのかが見えなくなります。議会もまた、市民の多様な声を代弁し、最終的な決定に責任を持つ機関として、その役割を果たさなければなりません。

今回は、その入口として「地方創生の光と影」を取り上げました。9月議会では、この続きとして、さらに具体的な論点を掘り下げていきたいと考えています。

「教育の政治的中立性を軽視しているから反対なのではなく、中立性を守るために反対」~8陳情第2号は全会一致で不採択に

今議会に提出された8陳情第2号「公立中学校における平和教育及び校外学習の政治的中立性と安全確保を求める陳情」について、本日の本会議で議決がはかられ、賛成者ゼロで不採択となりました。

陳情項目は次の4点です。

① 公立中学校における平和教育の政治的中立性に関する基本方針を確認する
こと。
教育基本法第 14 条の趣旨に沿い、教師の指導内容、使用教材、外部講師・語り
部・市民団体等の招へい又は関与が、特定の政党・政治団体・政治運動の立場
に偏ることのないよう確認すること。また、生徒が発達段階に応じて、事実を
基に諸資料や多様な情報を活用しながら、多面的・多角的に考え、主体的かつ
公正に判断できる平和教育となるよう、教育委員会としての方針及び学校への
指導上の留意事項を改めて確認すること。

② 保護者への説明貴任と修学旅行・校外学習の安全管理を撤底すること。
修学旅行・校外学習の目的、訪問先、活動内容、移動手段、外部関係者の関与、
安全管理体制について、保護者に事前に十分説明すること。あわせて、文部科
学省通知の趣旨を踏まえ、行程及び活動内容に応じた危険性の事前把握、事業
者の安全管理体制の確認、緊急時対応及び引率体制の徹底を図ること。

③ 過去の修学旅行・平和学習等の記録を確認すること。
教育委員会又は学校に保存されている過去3年間の計画書、実施要項、実施報
告等を確認すること。そのうえで、修学旅行・校外学習及び校内の平和学習に
ついて、特定の政治的主張に沿った活動現場への訪問、関連団体等の関与など、
保護者の視点から見て、政治的中立性又は安全管理上の懸念が残る教育活動が
なかったかを確認すること。

④ ③に基づき懸念が残る事例については、必要な実態把握を行うこと。
③により、該当又はその疑いのある事例が確認された場合は、学校及び関係者
への聞き取りを行い、活動内容、生徒に対する特定の政治的活動への参加・賛
同の働きかけの有無、安全管理、保護者への説明、政治的中立性への配慮につ
いて実態を把握すること。その結果を、今後の指導及び改善に生かすこと。


これに対して、私は以下のような反対討論を行いました。

【反対討論全文】

本陳情は一見すると「中立性の確認」や「安全管理の徹底」を求める穏当な内容に見えます。しかし、実質的には「政治的中立性」を理由として教育委員会や議会が個々の教育内容を事後的に検証・評価することを求めており、その点に問題の本質があると感じます。

「安全管理には賛成」「教育の政治的中立は当然」という前提で本陳情を不採択の立場で討論をいたします。

①について

教育の政治的中立性は当然尊重されるべきです。しかし、その判断は個々の教材や講師を政治的立場から評価することではなく、生徒が多面的・多角的に考え主体的に判断する教育が保障されているかによってなされるべきです。本陳情は行政による教育内容への過度な介入を招くおそれが大いにあり、賛同できません。

②について

修学旅行や校外学習の安全管理の徹底、保護者への十分な説明は当然求められるものであり、事故の教訓は真摯に生かすべきです。しかし、安全管理の課題を政治的中立性の問題と結び付けて論じることは全く適切ではなく、本陳情には賛同できません。

③について

教育活動の記録保存は重要ですが、過去の平和学習を「政治的中立性」の観点から改めて検証し、特定の活動や関係者を調査対象とすることは、教育現場を萎縮させるものと考えます。教育内容への政治的介入につながりかねず、賛同できません。

④について

特定の政治的活動への働きかけなど事実が確認された場合は適切な対応が必要です。しかし、本陳情は具体的事実が示されないまま広範な聞き取り調査を求めています。このような調査は教育現場への過度な監視となる懸念があり、教育の自主性を損なうため反対します。

教育の政治的中立性を守ることと、政治が教育内容を中立かどうか判定することは全く別の話であり、今般の政府の判断にも大変な問題があると考えています。

憲法や教育基本法は、権力が教育を支配した戦前の反省の上に、教育への政治権力の過度な介入を抑制する考え方に立っていることは明らかです。その意味で、「政治的中立性」を守るという名目で、議会や行政が個々の教育内容や講師、訪問先を事後的に点検・評価すること自体が、憲法が保障する教育の自由と相容れないものです。

私が申し上げたいのは、教育の政治的中立性を軽視しているから反対なのではなく、中立性を守るために反対するということです。

最後に、教育の政治的中立性とは、子どもたちに特定の結論を押し付けないことであり、社会の現実から目を背けさせることではありません。多様な事実に多角的に触れ、自ら考え、判断する力を育むことこそ、公教育が担うべき役割であると考えます。

議会が、政治が守るべきは、個々の教育内容に政治的評価を加えることではなく、教育現場が憲法や関連法規の本旨を踏まえ、子どもたちの学ぶ権利と教育の自由を十分に保障できる環境を支え、時には守ることであると考えます。

以上、本陳情を不採択とする討論とします。

【速報!6月議会 全議員の賛否一覧】

6月定例議会が19時過ぎにすべての案件に結論を出して閉会となりました。

いつも通り、自分のメモと初日案件は録画を確認した上で、今議会の全議案に対する全議員の賛否一覧を作成しましたのでアップします。

間違いが無いように確認はしましたが、もしも見つかったらお断りの上で修正をします。

今議会は陳情に注目が集まりましたが…

▷高齢者の見守り事業」の実施を求める2件の陳情はいずれも賛成多数で採択

▷「公立中学校における平和教育及び校外学習の政治的中立性と安全確保を求める陳情」は賛成者ゼロで不採択

となりました。

請願や陳情は、年齢や性別や国籍に関係なく誰もができる政策提案なのです。

#東村山市議会

#佐藤まさたか

一般質問の報告③「チャレンジウィーク2024in萩山小とは何だったのか」

一般質問3つめは、令和6年10月に萩山小学校で実施された「放課後で楽しむチャレンジウィーク2024in萩山小学校」について取り上げました。

この事業は、萩山小学校等複合施設整備事業の契約相手方であった乃村工藝社が、経済産業省の「未来の教室実証事業」を活用して実施したものです。放課後の学校施設を活用し、子どもの居場所づくりや保護者ニーズの把握を目的とした調査研究事業で、市は施設の貸し出しや保護者への周知などの形で協力していました。

質疑を通じて明らかになったのは、この事業が令和6年7月に乃村工藝社から提案され、教育委員会との協議を経て実施されたことです。教育委員会は、放課後の子どもの居場所づくりに課題認識を持っていたことや、公費負担がほとんど発生しないこと、子どもたちに多様な体験機会を提供できることなどを理由に協力を決めたと説明しました。

また、実施校が萩山小学校となった理由については、複合化の検討が進められていたことに加え、土曜講座など地域との連携実績があり、参加児童数も見込めたためとの答弁がありました。

一方で私が問題提起したのは、萩山小学校等複合施設整備事業のプロポーザルに応募した乃村工藝社が、その前段階で萩山小学校を舞台に実証事業を行っていたことの意味です。もちろん違法性や不正を指摘するものではありません。しかし、民間事業者による調査研究の場として萩山小学校を選定するにあたり、市としてどのような視点で検討したのか、また事業者の狙いと教育委員会の目的は本当に一致していたのかについては、改めて検証が必要だと感じています。

教育委員会は、事業を通じて保護者ニーズを把握できたことは成果だったとしながらも、市が同様の仕組みを導入するには大きな費用や事務負担が伴うため、現時点では具体的な政策反映には至っていないと説明しました。

公共施設の複合化や公民連携が進む中で、民間事業者からの提案をどう受け止め、行政としてどう判断するのか。その意思決定の過程を丁寧に検証していくことの重要性を感じます。以下が当日の質問と答弁です。


佐藤まさたか)「チャレンジウィーク2024in萩山小とは何だったのか」ということで伺います。

萩山小学校と複合施設化契約議案の否決から2か月余りが経過をしまして、この間も取り上げられてますけど、この契約の相手方であったコンソーシアムの代表事業者、乃村工藝社が令和 6年10月に萩山小で実施した放課後で楽しむチャレンジウィーク2024in萩山小学校というのがありました。これがちょっと気になっていて、少し伺っておきたいなと思っております。

①です。本事業はいつどこで始まった話か、また実施されるまでの経過について確認をしたいと思います。

山田教育部長)「未来の教室実証実証事業」につきましては、令和 6年12月定例会生活文教委員会にて行政報告をさせていただきましたが、株式会社乃村工藝社が経済産業省の事業である令和6年度学びと社会のあり方改革推進事業「未来の教室実証事業」を活用して、放課後の学校施設を使用し、子どもの居場所づくり及び放課後等の時間における子どもの子どもや保護者のニーズ調査等を目的として実施したものでございます。以前より他自治体で学校施設の活用について取り組みを行っていた野村工芸社が協力先を探していた中で、多摩六都科学館の運営を担っていることもあり、令和 6年7月に本市へ協力に関する提案があったことが契機となったものでございます。教育委員会といたしましても、子どもの居場所という観点から、放課後における学校施設の活用について課題認識を持っておりましたことから、協議を重ねた上で9月に確認確認書を締結し、12月に事業を実施する運びとなったものでございます。

佐藤ま)②です。乃村工藝社が作成した事業提案書は文書開示で入手をしました。東村山市教育委員会としての検討経過が見えてこないので伺いたいと思います。庁内議論はどう進められたのか。特に乃村工藝社が提案書の冒頭に掲げた背景と目的ってあるんですけど、これは教育委員会としても同じ認識に立ってたんだろうかと、ここをまず伺っておきたいと思います。

山田教育部長)本取り組みへの協力にあたりましては、主に3つの観点から検討を進め、実施を決定いたしました。第1に、放課後の学校施設を活用した子どもの居場所づくりについては、教育委員会としても課題認識を持っており、本取り組みを通じて児童や保護者の具体的なニーズを把握することは、今後の施策展開において参考になる点。第2に、本市の協力内容が主に学校施設の貸し出しや保護者への周知であり、公費の負担や過度な業務負担が生じない点。第3に、実施されるプログラムが参加費無料かつ多様であり、児童にとって貴重な体験の機会になると考えられた点でございます。次に、株式会社乃村工藝社の提案書にございました背景と目的への認識についてでございますが、提案書では学校施設を地域のサードプレイスとして持続的に機能させるべきというのが趣旨として掲げられておりました。公共施設の有効活用という大枠の方向性につきましては、市といたしましても基本的に同様の認識を持っておりますが、教育委員会として特に主眼を置いているのは、あくまでも放課後の子どもの居場所、機能の充実や児童の安全な居場所の確保でございまして、事業所が掲げる目的と完全に同一のものとは考えておりませんが、本取り組みへの協力によって得られるニーズの把握や児童への体験機会の提供という具体的なメリットが合致したことから、実施に至ったところでございます。

佐藤ま)時間ないので今日はこれ以上やりませんけど、ここについては。民間事業者というか、経済界から見たらそうだろうなっていうことはいっぱい書いてあるんだけど、果たしてこれは教育委員会としてはそうですよねって言える内容なの?って結構疑問に思って、開示された資料を見ていたものですから伺ったところです。

③です。 そういう中で、萩山小を民間事業者の調査研究なんですよ、これね。調査研究事業の対象として認めた理由を伺いたいと思います。また、15ある小学校の中でなぜ萩山だったのか伺います。

山田教育部長)株式会社乃村工藝社からの提案におきまして、実施校について特段ございませんでした。そのため教育委員会内で検討を行う中で、萩山小学校はすでに建て替え、複合化に向けて検討を始めており、より学校と地域が一体的に交流できる地域コミュニティの拠点づくりを目指していることに加え、もともと萩山小につきましては、市内でも土曜講座が多く実施しており、毎年延べ500人以上の子どもが参加しているため、事業実施の際にも参加児童が一定数見込めますことから、学校長とも協議し、実施に至ったものでございます。

佐藤ま)それ自体が何か問題だとかいう話じゃないんだけど。ないんですけど、ちょっと生成 AI にも聞いてみたんですけどね。 あなたの懸念がこの複合施設のプロポーザルに乃村が応募する前段として、この小学校の先行実証をしていたことを考えてるのは偶然だと思ってるんですか?っていうことについては、「いろいろ事実関係を積み上げると偶然とは考えづらい」という答ですね。生成 AI の話はいいんですけど。で、「萩山小が偶然選ばれた可能性は低い」という答えで、それはそうだよなと実は思っていて。やっぱり先ほどの別件での建設工業の話もそうでしたけども、民間の提案が入ってきてどう受け止めるかということはあっていいと思うんですけど、やっぱり現場でその趣旨に照らしてどうする、どう考えたかってことが大事だなと思ってるので今回聞いてるんです。

④です。事業者からの報告書が提出されていますけども、教育委員会としての総括はどう行われたのか。先ほど検討を行ったって話もあったのですが、割と事業者の書類は出てきましたけども、庁内検討の経過が公開された資料では分かりづらいというか、あんまりないんですよね。なので、どう総括を行ったのか、またその後の政策転換につなげているのか、つなげてないのかも含めて伺いたいと思います。

山田教育部長)総括でございますが、本取り組みへの協力は、放課後子ども教室、放課後の子どもの居場所、機能の充実や児童の安全な居場所の確保の参考とするためのものであり、そのような意味では、まずは安全に事業が実施できたこと、また保護者からのニーズを確認することができたことは重要な実績であると捉えております。一方で、多くの関係者が連携して実施するため、市がこのスキームを導入するためには大きな費用と事務負担が予想され、そのハードルは非常に高いものであるということも認識したところでございます。そのため、その後の政策展開といたしましても、現時点で政策に反映できているものではなく、引き続き放課後の子どもの居場所、機能の充実や児童の安全な居場所の確保といった課題につきましては、様々な角度から研究が必要であると捉えております。

佐藤ま)分かりました。乃村にとっては大いに実験が役に立っただろうなというふうに思っているということだけ言って、次に行きたいと思います。。

一般質問の報告②【多磨全生園将来構想の現在地とこれから】

6月2日に行った一般質問の2つ目のテーマについて、書き起こしをもとに生成AIの力を借りて整理しました。

2009年の「いのちとこころの人権の森宣言」、昨年3月に公表された「将来構想」を経過や内容を改めて確認するとともに、5月に発行されたばかりの『ハンセン病療養所のこれから~将来構想・永続化を「自分ごと」として』でも語られた「人権の森」への想いなどを問いました。


多磨全生園将来構想の現在地とこれから

① 人権の森構想の原点について

佐藤ま)

2009年に市議会で「いのちとこころの人権の森宣言」が行われたが、そこに至る経過を確認したい。

高柳経営政策部長)

2008年のハンセン病問題基本法制定を受け、市は庁内準備会を設置。2009年に起草委員会を立ち上げ、6回にわたる議論を経て宣言案を作成した。市議会で可決後、多磨全生園開所100周年にあたる2009年9月28日に「いのちとこころの人権の森宣言」を行った。

② 将来構想の重点とその後の取り組み

佐藤ま)

2025年3月に公表された「多磨全生園将来構想」の重点と議論の経過、その後の取り組みについて伺う。

高柳経営政策部長)

将来構想の最重要課題は、

  • 入所者の在園保障
  • 入所者の思いを最優先にすること

である。

その上で、

  • ハンセン病問題の歴史継承
  • 人権啓発
  • 豊かな自然環境の継承

を将来に引き継ぐ方向性を示した。

2022年から約3年間、入所者自治会・多磨全生園・東村山市・有識者による委員会と部会で議論を重ねて策定した。

策定後は市民団体や市議会への説明を行い、「あつまれ!人権の森」などのイベントを通じて普及啓発を進めている。

③ 人権の「森」をどう未来へ残すか

佐藤ま)

人権の森をどのように残していくのか。現時点での考え方と課題を伺う。

高柳経営政策部長)

人権の森は、多磨全生園の入所者が長年にわたり慈しみ育ててきたものであり、将来構想の核心に位置付けられている。

一方で樹木の老木化が進み、

  • 倒木
  • 枝の落下

など安全面の課題も生じている。

今後は

  • 種子の採取
  • 挿し木
  • ひこばえの活用

などにより、人権の森のDNAを次世代へ継承していくことが重要である。

④ 歴史的建造物・遺構の保存について

佐藤まさたか)

厚生労働省の歴史的建造物保存方針と、多磨全生園に関する内容を伺う。

高柳経営政策部長)

国の検討会において、多磨全生園では16施設が保存対象として選定された。

当初は一部施設が継続審議となったが、課題が解消されたことにより、2026年3月の検討会で16施設すべての保存が決定した。

今後は国が責任を持って保存・活用を進めることになる。

⑤ 市文化財指定の可能性

佐藤ま)

多磨全生園の歴史的建造物や遺構を、市の文化財として指定する考えはあるか。

桑田教育部担当部長)

文化財保護審議会では、

  • 近現代史の重要な遺産であること
  • 人権の森構想の意義

などを踏まえ、市文化財指定が望ましいとの意見が出された。

ただし全生園と入所者自治会からは慎重な検討を求める意向が示されたため、現在は国の検討状況を見守っている。

今回、国による保存方針が決定したことを踏まえ、今後改めて審議会へ情報提供を行う予定である。

⑥ 人権教育の推進について

佐藤ま)

小学校での実践に加え、市内全中学生が多磨全生園を通じて人権を学ぶ機会を持つことが重要ではないか。

山田教育部長)

中学校では、

  • 映画「あん」の視聴
  • 講演会
  • 読書活動
  • 大学生との対話
  • 美術活動

などを通じてハンセン病問題を学んでいる。

また、

  • 国立ハンセン病資料館
  • 多磨全生園

を活用した探究学習は有効な手法であると認識している。

今後も小中学校の系統性を踏まえ、人権教育の充実を図っていく。

⑦ 多磨全生園の永続化に向けた市長の考え

佐藤ま)

歴史的建造物等の市文化財指定や、療養所の永続化について市長の考えを伺う。

渡部市長)

今回、国が16施設すべてを保存対象として認めたことは極めて大きな成果である。

特に、

  • 堀
  • 土塁
  • ヒイラギの垣根

が、隔離政策を伝える重要な史跡として認められた意義は大きい。

今後は、

  • 県木の森
  • かつての農地
  • その他の歴史的空間

についても保存対象として位置付けられる可能性を探っていきたい。

また、将来的には入所者の生活エリア(本部エリア)をどのように継承していくかも重要な課題である。

森の継承については、

  • 種子採取
  • 挿し木
  • ひこばえ活用

を進めるとともに、

  • 子どもたちが苗木を育てる
  • 次世代が森を受け継ぐ

といった取り組みを進めることで、人権の森と多磨全生園の永続化につなげていきたい。