今週月曜日(9月7日)に行った一般質問では、大きく2つのテーマを取り上げました。
一つは、人口減少と財政・人的資源の制約が強まる中で、「何を公共として保障するのか」を市民とともに考え、選択する自治について。もう一つは、市民の学ぶ権利を保障し、住民自治を育てる社会教育と公民館のあり方についてです。
私の中では、この2つは地続きのテーマです。「自治とは、誰かが決めたものを受け取ることではなく、市民自身が学び、問い、対話し、選び、ともにつくっていくものではないか」という問題意識から、全12問を質問し、答弁を得ました。
音声から要約を作りましたので…とはいえそれでも少し長いのですが、お読みいただけると嬉しいです(^^)/
1.自治体は何のためにあるのか②~何を公共として保障するのかを、市民とともに決める自治へ
1-① 国や都、近隣自治体に流されない主体的な政策選択を
Q 佐藤まさたか
国や都の制度・補助制度、近隣自治体の動向などによって、自治体が実質的に政策選択を迫られる場面が増えています。「他市も実施している」「補助制度がある」ことが事実上の政策決定要因となるのではなく、本市自身が地域の実情から政策課題を設定し、「実施しない」という選択も含めて主体的に判断する自治体であり続けるためには何が必要でしょうか。
A 市長
国や都の補助金がある、隣接自治体が実施しているというだけで政策判断するのではなく、市民と人口動態や財政状況を共有し、市民ニーズを的確に把握して、できるだけ客観的な根拠に基づいて政策をつくることが重要です。その上で、何をやり、何をやらないのか、何を見直すのかについて市民や議会に情報を出し、限られた財源や人的資源をどこに集中的に投入するのかについて一定のコンセンサスを得ていくことが、これからの自治体運営には欠かせません。首長、職員、議会、市民がそれぞれの立場と役割を尊重しながら、このまちを持続可能なものにするために何を選択するのか、十分な対話と市民的合意をつくることが必要だと考えます。
1-② 東村山市として「何を公共として保障するのか」
Q 佐藤まさたか
人口減少と財政・人的資源の制約が強まる中、すべての行政サービスを維持・拡充することは困難です。一方で、「限られているから削る」のではなく、限られているからこそ、何を公共として保障するのかを明確にすることが重要です。本市として何を公共が保障し、どこまでを公費で支えるのかという判断軸、いわば「東村山市としてのシビルミニマム」を、市民・議会と議論し共有していく必要性をどう考えますか。
A 経営政策部長
すべての行政サービスを従来どおり維持・拡充することが難しくなる中、単に「限られているから削る」のではなく、本市が何を公共として保障すべきかを明確にし、限られた資源を重点的に配分することは重要だと認識しています。何を公共として保障し、どこまでを公費で支えるのかについて一律の基準を示すことは容易ではありませんが、行政が一方的に選別するのではなく、考え方や根拠を共有し、市民・議会と議論しながら合意形成していくことが望ましいと考えます。「シビルミニマム」という視点を受け止め、今後の各種計画の策定や見直しを通じて、丁寧な議論を重ねていきます。
1-③ 「何を始めるか」と「何を見直すか」を一体で
Q 佐藤まさたか
限られた経営資源の中で新たな施策を実施する際には、必要性や財源だけでなく、既存事業の縮小・廃止も含め、**「何を新たに行うのか」と「そのために何を見直すのか」**を一体として検討する必要があります。現在、そのような政策選択はどのように行われていますか。また、判断過程や将来的な財政影響を市民と共有し、議会が議決責任を果たすために必要な情報を十分示すことについて、どう考えていますか。
A 経営政策部長
各所管が地域課題などを把握し、必要性、財源、優先度などを総合的に勘案して政策判断しています。一方、より早い段階から見直しの考え方を示すべきとの指摘も踏まえ、行財政改革として事務事業の見直しを進めています。見直し方針を整理・公表した上で、あり方を検討する事業を明らかにし、検討の早い段階から考え方や過程を市民・議会と共有し、意見をいただきながら進めることを想定しています。
再Q・佐藤まさたか
各所管が市民ニーズを把握する一方で、それを財政や事務事業の見直しとどう結びつけるかが重要です。近年導入している「枠配分予算編成」は、各部が限られた財源の中で何を重点化するかを自ら考える仕組みだと思います。実際に政策の選択と集中につながってきているのでしょうか。
A 経営政策部長
私自身、昨年度まで事業を担当する部長でしたが、限られた配分の中で、部として何を重点的に取り組むのかを従来以上に議論するようになりました。継続してきた事業だから続けるのではなく、一度棚卸しをして、選択と集中を行う意識が生まれつつあると認識しています。
1-④ 将来世代を政策形成の主体に
Q 佐藤まさたか
財政負担、公共施設、環境、福祉など、現在の政策判断の影響を最も長く受けるのは、現在の子ども・若者たちです。将来負担を伴う政策について、現在の有権者だけでなく、子ども・若者を含めた全世代型の市民参加を政策形成に組み込むことについて、現状と今後の考えを伺います。
A 経営政策部長
これまでも総合計画や個別計画の策定に際し、ワークショップや子ども版パブリックコメントなどを通じて、子ども・若者の意見を伺ってきました。今後は計画策定だけにとどめず、より幅広い政策形成の段階で、子ども・若者が意見を表明しやすい手法を工夫するとともに、世代を超えて多くの市民が政策形成に関われる環境づくりを検討していきます。
1-⑤ 市民を「お客様」から自治の主体へ
Q 佐藤まさたか
この15~20年、本市の市民参加は大きく進みました。一方で、さらにその先へ進む必要があると考えます。行政が提示した政策について意見を聞くだけでなく、**「何が課題なのか」「何を公共として保障するのか」「何を選び、そのために何を見直すのか」**という段階から、市民が学び、問い、対話し、政策形成に関われる住民自治へ進化させる必要があるのではないでしょうか。市民を行政サービスの「顧客」「お客様」ではなく、ともに問い、選択し、その結果をともに引き受ける自治の主体と位置づけることについて、市長の考えを伺います。
A 市長
これまで「みんなで進めるまちづくり基本条例」を制定し、新しい政策や計画をつくる際には市民参加を取り入れることが、ほぼ標準的な形になってきました。しかし、今後の超高齢化・人口減少社会では、「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」を選ばざるを得ない時期が来る可能性があります。その際、何をシビルミニマムとするのかを市民自身にも考えていただき、対話を通じて市政へ反映する仕組みは非常に重要です。市民はサービスの受け手であると同時に、市政や地域づくりの担い手でもあります。市民が主体的にまちづくりや市政に関われる雰囲気や仕組みを、さらに作っていきたいと考えています。
2.目指す公民館像とは~学ぶ権利を保障し、住民自治を育てる社会教育へ
2-① 公民館は「貸館」だけではない
Q 佐藤まさたか
社会教育・公民館には、市民の自由で主体的な学びを権利として保障するとともに、講座や貸館、生涯学習機会の提供にとどまらず、人と人が出会い、学び合い、地域について考え、住民自治の土壌を耕す役割があると考えます。教育委員会は、社会教育・公民館の今日的役割をどう認識していますか。また、本市の公民館行政の成果と課題をどう捉えていますか。
A 教育部担当部長
社会教育には、地域での学びを通じて人々のつながりや関わりをつくり、地域コミュニティの基盤を形成する役割があります。公民館には、地域に根ざした社会教育施設として、住民が「集う・学ぶ・結ぶ」ことを促し、人づくり・地域づくりに貢献する役割が求められています。一方、地区館を含め利用者が減少していることは大きな課題であり、若年層を呼び込む企画や学習スペースの充実など、公民館を利用してこなかった市民への取り組みを強化しています。
再Q・佐藤まさたか
地区館から事業係がなくなって長い時間が経っています。中央館では様々な事業が行われていますが、地区館は実質的に「貸館」に傾いてしまっているのではないでしょうか。先ほど答弁されたような公民館像を実現するには、特に地区館について、かなり積極的な転換が必要ではありませんか。
A 教育部担当部長
ご指摘のとおり、地区館の人員体制が厳しい状況となり、公民館の役割のうち、特に「結ぶ」機能をもっと強化しなければならないと教育委員会として認識しています。萩山についてはコーディネーターを配置し、この「結ぶ」機能をしっかり担っていく考えです。
2-② 公民館のウイングを地域へ広げる
Q 佐藤まさたか
公民館を、館内で行われる講座や貸館を中心とした施設としてのみ捉えるのではなく、学校や他の公共施設、地域へ社会教育の機能を広げ、人々が出会い、学び合い、地域をつくる拠点として発展させることについて、どう考えますか。
A 教育部担当部長
公民館が地域の社会教育の拠点になることは論を待ちません。今年度から全小中学校でコミュニティスクールを開始し、学校を核とした地域づくりをスタートしました。学校を中心とした地域ネットワークと、公民館などを拠点として活動する市民団体との結びつきにも発展させたいと考えています。学校や公共施設を拠点として社会教育の機能を地域全体へ広げ、子どもや市民が地域を知り、主体的に学び、考える住民自治の機運醸成に努めていきます。
2-③ 学校教育と社会教育を互いに生かす
Q 佐藤まさたか
今後、学校と公民館などの社会教育施設を複合化する場合、学校教育側はそこにどのような教育的価値や可能性を見出すべきでしょうか。子どもの探究的な学び、地域学習、地域住民との交流など、学校教育と社会教育を相互に生かすための基本的な考えを伺います。
A 教育部長
学校と社会教育施設を複合化することで、多様な地域の方々との交流を通じて、子どもたちのコミュニケーション能力や社会性を育み、地域への関心、愛着、信頼感を培うことにつながると考えています。学校の枠を超えた体験や学習機会が増え、多様な学びの場を提供することも可能になります。学校教育と社会教育が連携することで、地域とともにある学校づくりの風土が生まれ、双方が充実することが期待されます。まずは萩山小学校で、この相互連携を実践していきます。
2-④ 「面積を減らす複合化」から「価値を生み出す複合化」へ
Q 佐藤まさたか
公共施設の複合化を、共用空間をどう管理するかという施設管理上の問題だけではなく、異なる機能がともにあることで何を生み出すのかという視点から捉える必要があります。学校教育と社会教育、子どもと大人、学校と地域が相互に学び合う仕組みを、今後の公共施設再編の基本的な視点として位置づけてはどうでしょうか。
A 経営政策部担当部長
学校を核とした公共施設再生では、異なる機能を複合化することによってどのような効果を生み出せるかは、大変重要な視点だと認識しています。今後も、子どもたちの安全と良好な学習環境を大前提としながら、学校教育と社会教育、子どもと大人、学校と地域が、それぞれの活動、知識、経験、人脈を生かし、相互に学び合い、交流できる仕組みづくりを重要な視点の一つとして公共施設再編を進めます。
2-⑤ 複合施設を生かすも殺すも「人」
Q 佐藤まさたか
学校、公民館、地域住民、市民活動、子ども、行政各部門などをつなぎ、学び合いや活動を生み出すためには、「人」の存在が不可欠です。3月議会でも、一体的な公共施設として日々運営される初めてのケースを生かすも殺すも人であり、担い手次第だと申し上げました。社会教育主事や社会教育士を含め、専門的人材の配置・育成・活用をどう進めますか。
A 教育部長
社会教育委員会、公民館運営審議会、図書館協議会などからも、複合化される機能を結ぶコーディネーターの重要性について多くの意見をいただいています。教育委員会としても、新たな施設では、人と人、人と団体・組織をつなぐコーディネーターが極めて重要だと認識しています。専門性の高い任期付き職員の採用や、ノウハウを持つ民間事業者への委託など、多様な方法を検討します。社会教育主事等の資格を採用要件とするかについても、具体的な役割の整理とあわせて検討します。
2-⑥ 社会教育を「住民自治を支える市政の基盤」に
Q 佐藤まさたか
中央公民館と各地区館について、それぞれの地域特性を踏まえ、住民自治を育てる拠点として今後の役割を改めて検討してはどうでしょうか。また、市民協働、子ども、福祉、防災、地域コミュニティなど一般行政ともつなぎ、社会教育を住民自治を支える市政の基盤の一つとして位置づけることについて、市長・教育長の考えを伺います。
A 教育長
公民館を住民自治を育てる拠点として、地域特性を生かした柔軟な運営を行うことには意義があります。今年度から全小中学校でコミュニティスクールを展開し、学校を核とした地域づくりを始めています。学校と地域、保護者をどうつなぐかというネットワークの視点も重要です。そして、社会教育が住民自治の基盤の一つであることは、これまでも認識しています。まずは萩山小学校等複合施設を通じて、幅広い世代が集い、学び、その成果を地域へ還元できるよう、市民の主体的な学びという視点から取り組みます。
A 市長
社会関係基盤をつくる礎として、公民館・社会教育が戦後の日本で大きな役割を果たしてきたことは間違いないと思います。一方で、これまでの公民館には様々な制約があり、自由な市民活動を阻害している部分がないか考える必要があります。そのため教育委員会とも「新しい公民館」という言い方をしています。何か会議や催しがあるから行くのではなく、「まちに貢献したい」「アイデアがある」「いろいろな人と話したい」というだけでも、ふらっと来ることができ、そこから何かが生まれる場所になれば面白いと思います。社会教育・公民館が、次の時代の東村山を築いていく基盤となる方向で、施設再生や管理運営のあり方を教育委員会と協議していきたいと考えています。
再Q・佐藤まさたか
今回、萩山をめぐって出てきた議論を、ぜひ中央館と各地区館を含めた東村山市全体の社会教育・公民館行政を、丁寧な議論と対話の上で再構築する機会にしていただきたいと思います。教育長、いかがでしょうか。
A 教育長
中央館を中心としたネットワークは非常に重要だと考えています。そうした取り組みが、東村山全体の活力の向上につながればと考えています。
2-⑦ 社会教育・公民館のあり方を総合教育会議でも
Q 佐藤まさたか
学校教育、社会教育、地域づくり、市民自治にまたがる重要な課題として、今後の社会教育・公民館のあり方を総合教育会議でもテーマとし、市長と教育委員会が方向性を共有して検討していくことについて、見解を伺います。
A 経営政策部長
総合教育会議は、市長と教育委員会が連携を密にし、市の施策の方向性に沿って教育行政を推進する重要な場です。ご提案のような、地域づくり、市民自治にまたがる課題としての社会教育のあり方を、行政側から協議テーマとして提案することも可能だと認識しています。今後、公共施設再生などの事業を進める機会に、各所管が連携しながら教育委員に情報を共有し、ご意見を伺っていきたいと考えています。
最後に
今回の答弁で掲げられた目標は、現在の東村山市の実態に照らせば、かなり高いものだと私は受け止めています。だからこそ、これまでと同じやり方の延長ではなく、これまでとは次元の違う議論と対話を、市民、行政、教育委員会、議会の間に広げていく必要があると考えます。「何を公共として保障するのか」を市民とともに考え、選ぶ自治。そして、そのために、市民自身が学び、問い、人と出会い、地域について考えることのできる社会教育と公民館。
今回、自治体運営にとっての本質を問いかけるつもりでこのような構成にしてみました。動画は来週初めに公開されると思います。お時間あったらぜひご覧いただき、忌憚のないご意見をいただければ嬉しいです。