決算審査を見てみよう②副市長の補足説明から

令和7年度の市の決算を審査する特別委員会は、17日(木)、18日(金)と2日間を終えました。計5日間を予定しますので、24日(木)25日(金)28日(月)と続きます。

前回も書きましたが、決算特別委員会の委員は正副議長(朝木議長と私)と議会選出の監査委員(村山議員)以外の21名なので、私は傍聴席かオンラインで審査の様子を見守るだけの日々となっています。

予算特別委員会と決算特別委員会の委員に議長と監査委員が就かないことには合理的な理由がありますが、副議長はただの慣例にすぎません。私以前の60有余年は、かつての民主党から副議長が2人誕生していますが、それ以外はすべて自民党か公明党からでしたので、同じ会派の議員たちが委員として参加しているため問題がなかったわけです。しかし、私のような1人会派が正副議長に就く可能性もゼロではない以上は、2年間にわたって予算・決算に対して質疑はおろか「討論(賛否の理由の開陳)」すら行えないことの不利益は大変大きいものがあります。そのため、次期以降の改善を図るべきと考えて、朝木議長あてに要望書を提出しました。

前置きが長くなりました。

令和7年度一般会計決算の審査にあたり、初日の冒頭で東村浩二副市長から「主要な施策の成果の概要」に沿って、歳入・歳出の主な内容について補足説明がありました。

◎歳入は756億7,742万円、前年度比5.2%増

令和7年度の一般会計歳入総額は756億7,742万円で、前年度より37億5,742万円、5.2%の増となった。中でも市税は227億9,792万円で、前年度から10億1,151万円、4.6%増加した。納税義務者数や個人所得の増、新築家屋の増などが主な要因。市税徴収率は前年度と同じ98.1%だった。

地方消費税交付金も、国内消費の堅調な推移や物価上昇などを背景に8.0%増の39億784万円となった。

一方、地方交付税は69億3,454万円で2.2%減少。市民税所得割などの増によって基準財政収入額が伸び、基準財政需要額の伸びを上回ったことによるもの。

国庫支出金は、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金などにより9.6%増の162億6,971万円。都支出金も、市町村総合交付金や学校給食費負担軽減事業補助金などにより10.5%増の122億9,486万円となった。

また、諸収入は、デジタル基盤改革支援補助金や道づくり・まちづくりパートナー事業の受託事業収入などによって58.1%増の24億6,143万円となった。

◎歳出は731億9,379万円、前年度比6.5%増

歳出総額は731億9,379万円で、前年度より44億5,920万円、6.5%増加した。

最も大きい民生費は353億7,542万円で6.5%増。物価高への対応として、子育て世帯に児童1人当たり2万円を支給する「物価高対応子育て応援手当」のほか、子ども食堂等への臨時支援を行った。また、デジタル化の恩恵を高齢者にも広げるため、初めてスマートフォンを購入する高齢者への購入費補助も実施した。

総務費は122億2,503万円で10.1%増。市民1人当たり4,000円の物価高対応家計応援金のほか、闇バイトによる強盗事件の続発を受けた住宅用防犯機器等への購入補助を行った。また、戦後80年の節目として、戦争体験記の募集、東京空襲資料展、小中学生の平和学習、広島派遣などの平和啓発事業も実施した。

教育費は85億9,707万円で13.1%増となった。大きな事業の一つが学校給食費の無償化で、小学校分約3億7,530万円、中学校分約1億9,745万円。また、公共図書館、電子図書館、新たな学校図書館システムを一体的に管理する「統合図書館サービス」が令和8年2月からスタートした。

◎物価高対策から道路、環境、まちづくりまで

このほか、農業分野では肥料や原油価格などの高騰を受け、農業者の経営を下支えする支援金を支給。商工分野では、市内中小企業の生産性向上などにつながる投資への補助を行い、商工費は前年度比93.1%増となった。

環境分野では、太陽光発電や蓄電池、断熱窓改修への補助に加え、環境配慮行動に対してデジタル行政ポイントを付与する新たな取組も進めた。

道路関係では、舗装や排水設備、JR武蔵野線道路橋の耐震・修繕などを実施。東村山駅周辺では、駅開業130周年と西武新宿線下り線の高架化を記念した事業を行った。

武蔵野の面影を残す貴重な樹林地を次世代に引き継ぐため、薬師山緑地を約2億1,623万円で取得。ふるさと歴史館と八国山たいけんの里では、民間事業者提案制度で採択されたESCO事業を活用して、空調改修や照明のLED化による省エネルギー化も進めた。

◎決算の数字から何を見るのか

以上が、副市長から説明された令和7年度決算の主な内容です。

歳入756億7,742万円、歳出731億9,379万円と、いずれも前年度を上回る大きな決算となりました。

市税が10億円余り増えた一方で、国庫支出金は14億円余り、都支出金も11億円余り増えています。歳出では、物価高対策や給食費無償化など、市民生活に直接関わる事業が目立ちました。

しかし、決算審査で大切なのは「何にいくら使ったか」を確認するだけではありません。なぜ歳入・歳出がこれだけ増えたのか。その財源はどこから来たのか。そして、市が自由に使える財源や今後の財政運営はどうなっているのか。

副市長の補足説明で示された全体像を踏まえ、総括質疑では、こうした点についてさらに議論が掘り下げられました。③に続きます。

東村山市の決算を見てみよう①「歳入編」~757億円の「中身」を見る

明日から東村山市議会では、令和7年度(2025年度)決算の審査を行う決算特別委員会が始まります。17日(木)18日(金)24日(木)25日(金)28日(月)と、途中に5連休が挟まって足掛け3週間に及ぶ異例の日程ですが、来年度の予算編成へ向けて大変重要な場となります。
なお、朝木直子議長と議会から選出されている監査委員(村山じゅん子議員)、そして副議長の私は委員ではないので、審査を見守る日々となります。

ということで、私ができることを考えて、できるだけわかりやすい情報提供にトライしてみたいと思います。
始めます。

「決算」と聞くと、数字ばかりで難しそう……と思われる方も多いと思います。

でも、市の財政は私たちの暮らしそのものです。福祉、子育て、教育、道路や公園、ごみ処理、公共施設など、市民生活を支える仕事にどれだけのお金が入り、それを何に使ったのか。その結果を1年ごとに確かめるのが決算です。

市の財政を少しでも多くの市民に知っていただくことは大切ですし、市も議会も、そのための努力を続ける必要があると私は考えています。

そこで、明日からの決算審査を前に、令和7年度決算について何回かに分けて見ていきたいと思います。

第1回は、市に「どこから、どれだけのお金が入ってきたのか」――歳入編です。

令和7年度の歳入は約757億円

令和7年度の一般会計決算は、歳入が約756.8億円、歳出が約731.9億円となりました。

歳入は前年度より約37.6億円増えています。

なかでも、市民や市内企業などが納める市税は約228億円。前年度の約218億円から約10億円増えました。

では、歳入全体が757億円まで大きくなり、市税も増えたのだから、東村山市の財政はこの10年ほどでずいぶん豊かになった――と言えるのでしょうか。

ここが、決算を見るうえで大事なところです。

市に入るお金には、それぞれ「性格」がある

まず知っておきたいのは、同じ「歳入」でも、すべてが同じ性格のお金ではないということです。

市税は、市民税や固定資産税など、市が自ら確保する最も基本的な財源です。原則として使い道はあらかじめ決められていません。

地方交付税は、自治体によって税収などに差があっても、必要な行政サービスを提供できるよう国から交付される一般財源です。これも原則として使い道が特定されていません。

臨時財政対策債(臨財債)は、地方財政全体の財源不足を補うために設けられた地方債です。自治体の「借金」ではありますが、特定の建設事業などに使途が限定された通常の地方債とは異なり、一般財源として使われてきました。

このほか、地方消費税交付金などにも、使い道が特定されていない一般財源があります。

一方、国庫支出金や都支出金の多くは、子育てや福祉、道路整備など、特定の事業を行うために国や東京都から入ってくるお金です。通常の地方債も、原則として学校や道路、公共施設など特定の事業のために借り入れます。

さらに、使用料・手数料、財産収入、寄附金、繰入金、繰越金など、さまざまな収入があります。

つまり、歳入を見るときには、

「どこから入ってきたお金なのか」

と同時に、

「どの程度、使い道が決められているお金なのか」

を見る必要があります。

ですから、歳入総額が増えたことと、市が政策判断によって使える財源が同じだけ増えたこととは、まったく別の話です。

コロナ禍で歳入は一気に200億円増えた

このことは、11年間の数字を並べてみるとよく分かります。

平成27年度には約530億円だった歳入総額は、令和7年度には約757億円になりました。

途中には、非常に大きな山があります。

令和2年度、コロナ禍の年です。

歳入総額は令和元年度の約570億円から、一気に約771億円へ膨らみました。

最大の要因は、国や東京都から入ってくる「国・都支出金」です。令和元年度の約195億円から、令和2年度には約383億円へ、ほぼ倍増しました。

感染症対策や特別定額給付金など、国の施策を市が実施するための財源が大量に市の会計を通ったためです。

したがって、771億円という決算規模だけを見て、「東村山市が急に豊かになった」と考えることはできません。

歳入総額と「財政を支える3つの財源」を比べてみる

そこで作ったのが、次のグラフです。

【グラフ① 歳入総額と「市税+地方交付税+臨時財政対策債」の比較】

令和元年度から令和2年度にかけて、歳入総額は、

570億円 → 771億円

と約200億円増えています。

ところが、市税、地方交付税、臨時財政対策債を合わせた額は、

276.0億円 → 278.9億円

と、ほとんど変わっていません。

この3つだけが一般財源のすべてというわけではありません。しかし、市の財政を継続的に支えてきた主要な財源として11年間の変化を見るには、とても重要な3つです。

歳入総額だけを見ると巨大な山になっている令和2年度が、この3財源だけを見るとほぼ平らです。

コロナ期の決算規模の急膨張と、市の基礎的な財源の動きは分けて考える必要がある。

このグラフは、そのことをかなり端的に示していると思います。

では、この3つは11年間でどう変わったのか

次に、この3財源の中身を見てみます。

【グラフ② 市税+地方交付税+臨時財政対策債の推移】

平成27年度は、

市税204.7億円+地方交付税40.7億円+臨財債22.4億円=267.8億円

でした。

令和7年度は、

市税228.0億円+地方交付税69.3億円+臨財債0円=297.3億円

です。

11年間で約30億円増えています。

しかし、注目したいのは、総額だけでなく中身がかなり変わっていることです。

市税は約205億円から228億円へ、比較的緩やかに増えてきました。

地方交付税は約41億円から約69億円へ大きく増えています。

一方、臨時財政対策債は大きく減りました。

臨財債は28億円からゼロへ

東村山市の臨財債は、令和3年度には約28.1億円ありました。

その後、

28.1億円 → 7.2億円 → 3.1億円 → 1.5億円 → 0円

と急速に減少しました。

臨財債は平成13年度(2001年度)に始まった制度です。国の地方財政対策の中で地方の財源不足を補う仕組みとして長く使われてきましたが、令和7年度には国の地方財政計画で発行額が制度創設以来初めてゼロとなりました。

ですから、東村山市で臨財債がゼロになったことを、市独自の財政運営の結果だけとして捉えることはできません。国の地方財政対策そのものの変化が、市の歳入構造にも表れていると見る必要があります。

一方で、地方交付税は平成27年度の約40.7億円から、令和6年度70.9億円、令和7年度69.3億円という水準になっています。

臨財債の減少と地方交付税の増加。この二つを別々に見るだけでなく、国が地方自治体の一般財源をどのような形で保障してきたのかという視点から見ることも必要だと思います。

「自主財源」の割合も見ておきたい

もう一つ、市の財政白書に興味深い数字があります。

自主財源比率です。

東村山市は、

平成27年度 44.9%
平成30年度 46.9%
令和元年度 46.1%

でした。

ところが、コロナ禍の令和2年度には34.5%まで急落します。

市税が突然大きく減ったからではありません。国・都支出金が急増し、歳入全体が大きく膨らんだ影響です。

その後は、

37.7% → 42.1% → 42.8% → 41.9%

と回復しています。今回の決算数値から同じ考え方で整理すると、令和7年度は43%程度となります。

ただ、コロナ前には46%前後だったことを考えると、まだ違いがあります。

また、令和6年度の多摩26市平均は49.9%で、東村山市の41.9%を上回っています。

なぜこの差があるのか。これも東村山市の財政構造を考えるうえで、今後見ていきたいポイントです。

「757億円ある」ではなく、「757億円の中身を見る」

こうして11年間を並べると、一年度の決算書だけを見ていては分かりにくい変化が見えてきます。

平成27年度に約530億円だった歳入は、令和7年度には約757億円になりました。

しかし、その200億円を超える増加を、そのまま「東村山市の財政力が高まった」と読むことはできません。

コロナ禍では国・都支出金が急増しました。その後も、国や東京都の施策に伴って市を通るお金があります。

一方、この11年間で市税は約23億円増え、地方交付税は約29億円増加。臨財債は約22億円からゼロになりました。

だからこそ、決算を見るときに大切なのは、

「いくら入ってきたのか」だけではなく、「どこから入ってきたのか」「使い道はどの程度決められているのか」「継続的に見込める財源なのか」まで見ること。

だと思います。

決算書に並ぶ数字は、市民生活から離れた数字ではありません。

どれだけの財源を安定して確保できるのか。市が自ら判断して使える財源はどれだけあるのか。それは、福祉、子育て、教育、道路、公園、公共施設など、これからどのような行政サービスを維持し、どこに力を入れていけるのかにもつながります。

明日から始まる決算審査でも、「去年より増えた、減った」だけでなく、その数字の背景にある財政構造の変化まで含めた議論が深まることを期待したいと思います。

次回は、入ってきたお金を**「何に使ったのか」――歳出編**として見てみます。

※令和7年度の普通会計に関する数値の一部は、決算審査意見書等をもとに現時点で整理したものです。今後公表される財政白書の普通会計数値とは若干異なる場合があります。

市政の本質に踏み込めた…かな? ~ 今回の一般質問の報告

今週月曜日(9月7日)に行った一般質問では、大きく2つのテーマを取り上げました。

一つは、人口減少と財政・人的資源の制約が強まる中で、「何を公共として保障するのか」を市民とともに考え、選択する自治について。もう一つは、市民の学ぶ権利を保障し、住民自治を育てる社会教育と公民館のあり方についてです。

私の中では、この2つは地続きのテーマです。「自治とは、誰かが決めたものを受け取ることではなく、市民自身が学び、問い、対話し、選び、ともにつくっていくものではないか」という問題意識から、全12問を質問し、答弁を得ました。

音声から要約を作りましたので…とはいえそれでも少し長いのですが、お読みいただけると嬉しいです(^^)/


1.自治体は何のためにあるのか②~何を公共として保障するのかを、市民とともに決める自治へ

1-① 国や都、近隣自治体に流されない主体的な政策選択を

Q 佐藤まさたか

国や都の制度・補助制度、近隣自治体の動向などによって、自治体が実質的に政策選択を迫られる場面が増えています。「他市も実施している」「補助制度がある」ことが事実上の政策決定要因となるのではなく、本市自身が地域の実情から政策課題を設定し、「実施しない」という選択も含めて主体的に判断する自治体であり続けるためには何が必要でしょうか。

A 市長

国や都の補助金がある、隣接自治体が実施しているというだけで政策判断するのではなく、市民と人口動態や財政状況を共有し、市民ニーズを的確に把握して、できるだけ客観的な根拠に基づいて政策をつくることが重要です。その上で、何をやり、何をやらないのか、何を見直すのかについて市民や議会に情報を出し、限られた財源や人的資源をどこに集中的に投入するのかについて一定のコンセンサスを得ていくことが、これからの自治体運営には欠かせません。首長、職員、議会、市民がそれぞれの立場と役割を尊重しながら、このまちを持続可能なものにするために何を選択するのか、十分な対話と市民的合意をつくることが必要だと考えます。


1-② 東村山市として「何を公共として保障するのか」

Q 佐藤まさたか

人口減少と財政・人的資源の制約が強まる中、すべての行政サービスを維持・拡充することは困難です。一方で、「限られているから削る」のではなく、限られているからこそ、何を公共として保障するのかを明確にすることが重要です。本市として何を公共が保障し、どこまでを公費で支えるのかという判断軸、いわば「東村山市としてのシビルミニマム」を、市民・議会と議論し共有していく必要性をどう考えますか。

A 経営政策部長

すべての行政サービスを従来どおり維持・拡充することが難しくなる中、単に「限られているから削る」のではなく、本市が何を公共として保障すべきかを明確にし、限られた資源を重点的に配分することは重要だと認識しています。何を公共として保障し、どこまでを公費で支えるのかについて一律の基準を示すことは容易ではありませんが、行政が一方的に選別するのではなく、考え方や根拠を共有し、市民・議会と議論しながら合意形成していくことが望ましいと考えます。「シビルミニマム」という視点を受け止め、今後の各種計画の策定や見直しを通じて、丁寧な議論を重ねていきます。


1-③ 「何を始めるか」と「何を見直すか」を一体で

Q 佐藤まさたか

限られた経営資源の中で新たな施策を実施する際には、必要性や財源だけでなく、既存事業の縮小・廃止も含め、**「何を新たに行うのか」と「そのために何を見直すのか」**を一体として検討する必要があります。現在、そのような政策選択はどのように行われていますか。また、判断過程や将来的な財政影響を市民と共有し、議会が議決責任を果たすために必要な情報を十分示すことについて、どう考えていますか。

A 経営政策部長

各所管が地域課題などを把握し、必要性、財源、優先度などを総合的に勘案して政策判断しています。一方、より早い段階から見直しの考え方を示すべきとの指摘も踏まえ、行財政改革として事務事業の見直しを進めています。見直し方針を整理・公表した上で、あり方を検討する事業を明らかにし、検討の早い段階から考え方や過程を市民・議会と共有し、意見をいただきながら進めることを想定しています。

再Q・佐藤まさたか 

各所管が市民ニーズを把握する一方で、それを財政や事務事業の見直しとどう結びつけるかが重要です。近年導入している「枠配分予算編成」は、各部が限られた財源の中で何を重点化するかを自ら考える仕組みだと思います。実際に政策の選択と集中につながってきているのでしょうか。

A 経営政策部長

私自身、昨年度まで事業を担当する部長でしたが、限られた配分の中で、部として何を重点的に取り組むのかを従来以上に議論するようになりました。継続してきた事業だから続けるのではなく、一度棚卸しをして、選択と集中を行う意識が生まれつつあると認識しています。


1-④ 将来世代を政策形成の主体に

Q 佐藤まさたか

財政負担、公共施設、環境、福祉など、現在の政策判断の影響を最も長く受けるのは、現在の子ども・若者たちです。将来負担を伴う政策について、現在の有権者だけでなく、子ども・若者を含めた全世代型の市民参加を政策形成に組み込むことについて、現状と今後の考えを伺います。

A 経営政策部長

これまでも総合計画や個別計画の策定に際し、ワークショップや子ども版パブリックコメントなどを通じて、子ども・若者の意見を伺ってきました。今後は計画策定だけにとどめず、より幅広い政策形成の段階で、子ども・若者が意見を表明しやすい手法を工夫するとともに、世代を超えて多くの市民が政策形成に関われる環境づくりを検討していきます。


1-⑤ 市民を「お客様」から自治の主体へ

Q 佐藤まさたか

この15~20年、本市の市民参加は大きく進みました。一方で、さらにその先へ進む必要があると考えます。行政が提示した政策について意見を聞くだけでなく、**「何が課題なのか」「何を公共として保障するのか」「何を選び、そのために何を見直すのか」**という段階から、市民が学び、問い、対話し、政策形成に関われる住民自治へ進化させる必要があるのではないでしょうか。市民を行政サービスの「顧客」「お客様」ではなく、ともに問い、選択し、その結果をともに引き受ける自治の主体と位置づけることについて、市長の考えを伺います。

A 市長

これまで「みんなで進めるまちづくり基本条例」を制定し、新しい政策や計画をつくる際には市民参加を取り入れることが、ほぼ標準的な形になってきました。しかし、今後の超高齢化・人口減少社会では、「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」を選ばざるを得ない時期が来る可能性があります。その際、何をシビルミニマムとするのかを市民自身にも考えていただき、対話を通じて市政へ反映する仕組みは非常に重要です。市民はサービスの受け手であると同時に、市政や地域づくりの担い手でもあります。市民が主体的にまちづくりや市政に関われる雰囲気や仕組みを、さらに作っていきたいと考えています。


2.目指す公民館像とは~学ぶ権利を保障し、住民自治を育てる社会教育へ

2-① 公民館は「貸館」だけではない

Q 佐藤まさたか

社会教育・公民館には、市民の自由で主体的な学びを権利として保障するとともに、講座や貸館、生涯学習機会の提供にとどまらず、人と人が出会い、学び合い、地域について考え、住民自治の土壌を耕す役割があると考えます。教育委員会は、社会教育・公民館の今日的役割をどう認識していますか。また、本市の公民館行政の成果と課題をどう捉えていますか。

A 教育部担当部長

社会教育には、地域での学びを通じて人々のつながりや関わりをつくり、地域コミュニティの基盤を形成する役割があります。公民館には、地域に根ざした社会教育施設として、住民が「集う・学ぶ・結ぶ」ことを促し、人づくり・地域づくりに貢献する役割が求められています。一方、地区館を含め利用者が減少していることは大きな課題であり、若年層を呼び込む企画や学習スペースの充実など、公民館を利用してこなかった市民への取り組みを強化しています。

再Q・佐藤まさたか 

地区館から事業係がなくなって長い時間が経っています。中央館では様々な事業が行われていますが、地区館は実質的に「貸館」に傾いてしまっているのではないでしょうか。先ほど答弁されたような公民館像を実現するには、特に地区館について、かなり積極的な転換が必要ではありませんか。

A 教育部担当部長

ご指摘のとおり、地区館の人員体制が厳しい状況となり、公民館の役割のうち、特に「結ぶ」機能をもっと強化しなければならないと教育委員会として認識しています。萩山についてはコーディネーターを配置し、この「結ぶ」機能をしっかり担っていく考えです。


2-② 公民館のウイングを地域へ広げる

Q 佐藤まさたか

公民館を、館内で行われる講座や貸館を中心とした施設としてのみ捉えるのではなく、学校や他の公共施設、地域へ社会教育の機能を広げ、人々が出会い、学び合い、地域をつくる拠点として発展させることについて、どう考えますか。

A 教育部担当部長

公民館が地域の社会教育の拠点になることは論を待ちません。今年度から全小中学校でコミュニティスクールを開始し、学校を核とした地域づくりをスタートしました。学校を中心とした地域ネットワークと、公民館などを拠点として活動する市民団体との結びつきにも発展させたいと考えています。学校や公共施設を拠点として社会教育の機能を地域全体へ広げ、子どもや市民が地域を知り、主体的に学び、考える住民自治の機運醸成に努めていきます。


2-③ 学校教育と社会教育を互いに生かす

Q 佐藤まさたか

今後、学校と公民館などの社会教育施設を複合化する場合、学校教育側はそこにどのような教育的価値や可能性を見出すべきでしょうか。子どもの探究的な学び、地域学習、地域住民との交流など、学校教育と社会教育を相互に生かすための基本的な考えを伺います。

A 教育部長

学校と社会教育施設を複合化することで、多様な地域の方々との交流を通じて、子どもたちのコミュニケーション能力や社会性を育み、地域への関心、愛着、信頼感を培うことにつながると考えています。学校の枠を超えた体験や学習機会が増え、多様な学びの場を提供することも可能になります。学校教育と社会教育が連携することで、地域とともにある学校づくりの風土が生まれ、双方が充実することが期待されます。まずは萩山小学校で、この相互連携を実践していきます。


2-④ 「面積を減らす複合化」から「価値を生み出す複合化」へ

Q 佐藤まさたか

公共施設の複合化を、共用空間をどう管理するかという施設管理上の問題だけではなく、異なる機能がともにあることで何を生み出すのかという視点から捉える必要があります。学校教育と社会教育、子どもと大人、学校と地域が相互に学び合う仕組みを、今後の公共施設再編の基本的な視点として位置づけてはどうでしょうか。

A 経営政策部担当部長

学校を核とした公共施設再生では、異なる機能を複合化することによってどのような効果を生み出せるかは、大変重要な視点だと認識しています。今後も、子どもたちの安全と良好な学習環境を大前提としながら、学校教育と社会教育、子どもと大人、学校と地域が、それぞれの活動、知識、経験、人脈を生かし、相互に学び合い、交流できる仕組みづくりを重要な視点の一つとして公共施設再編を進めます。


2-⑤ 複合施設を生かすも殺すも「人」

Q 佐藤まさたか

学校、公民館、地域住民、市民活動、子ども、行政各部門などをつなぎ、学び合いや活動を生み出すためには、「人」の存在が不可欠です。3月議会でも、一体的な公共施設として日々運営される初めてのケースを生かすも殺すも人であり、担い手次第だと申し上げました。社会教育主事や社会教育士を含め、専門的人材の配置・育成・活用をどう進めますか。

A 教育部長

社会教育委員会、公民館運営審議会、図書館協議会などからも、複合化される機能を結ぶコーディネーターの重要性について多くの意見をいただいています。教育委員会としても、新たな施設では、人と人、人と団体・組織をつなぐコーディネーターが極めて重要だと認識しています。専門性の高い任期付き職員の採用や、ノウハウを持つ民間事業者への委託など、多様な方法を検討します。社会教育主事等の資格を採用要件とするかについても、具体的な役割の整理とあわせて検討します。


2-⑥ 社会教育を「住民自治を支える市政の基盤」に

Q 佐藤まさたか

中央公民館と各地区館について、それぞれの地域特性を踏まえ、住民自治を育てる拠点として今後の役割を改めて検討してはどうでしょうか。また、市民協働、子ども、福祉、防災、地域コミュニティなど一般行政ともつなぎ、社会教育を住民自治を支える市政の基盤の一つとして位置づけることについて、市長・教育長の考えを伺います。

A 教育長

公民館を住民自治を育てる拠点として、地域特性を生かした柔軟な運営を行うことには意義があります。今年度から全小中学校でコミュニティスクールを展開し、学校を核とした地域づくりを始めています。学校と地域、保護者をどうつなぐかというネットワークの視点も重要です。そして、社会教育が住民自治の基盤の一つであることは、これまでも認識しています。まずは萩山小学校等複合施設を通じて、幅広い世代が集い、学び、その成果を地域へ還元できるよう、市民の主体的な学びという視点から取り組みます。

A 市長

社会関係基盤をつくる礎として、公民館・社会教育が戦後の日本で大きな役割を果たしてきたことは間違いないと思います。一方で、これまでの公民館には様々な制約があり、自由な市民活動を阻害している部分がないか考える必要があります。そのため教育委員会とも「新しい公民館」という言い方をしています。何か会議や催しがあるから行くのではなく、「まちに貢献したい」「アイデアがある」「いろいろな人と話したい」というだけでも、ふらっと来ることができ、そこから何かが生まれる場所になれば面白いと思います。社会教育・公民館が、次の時代の東村山を築いていく基盤となる方向で、施設再生や管理運営のあり方を教育委員会と協議していきたいと考えています。

再Q・佐藤まさたか

今回、萩山をめぐって出てきた議論を、ぜひ中央館と各地区館を含めた東村山市全体の社会教育・公民館行政を、丁寧な議論と対話の上で再構築する機会にしていただきたいと思います。教育長、いかがでしょうか。

A 教育長

中央館を中心としたネットワークは非常に重要だと考えています。そうした取り組みが、東村山全体の活力の向上につながればと考えています。


2-⑦ 社会教育・公民館のあり方を総合教育会議でも

Q 佐藤まさたか

学校教育、社会教育、地域づくり、市民自治にまたがる重要な課題として、今後の社会教育・公民館のあり方を総合教育会議でもテーマとし、市長と教育委員会が方向性を共有して検討していくことについて、見解を伺います。

A 経営政策部長

総合教育会議は、市長と教育委員会が連携を密にし、市の施策の方向性に沿って教育行政を推進する重要な場です。ご提案のような、地域づくり、市民自治にまたがる課題としての社会教育のあり方を、行政側から協議テーマとして提案することも可能だと認識しています。今後、公共施設再生などの事業を進める機会に、各所管が連携しながら教育委員に情報を共有し、ご意見を伺っていきたいと考えています。


最後に

今回の答弁で掲げられた目標は、現在の東村山市の実態に照らせば、かなり高いものだと私は受け止めています。だからこそ、これまでと同じやり方の延長ではなく、これまでとは次元の違う議論と対話を、市民、行政、教育委員会、議会の間に広げていく必要があると考えます。「何を公共として保障するのか」を市民とともに考え、選ぶ自治。そして、そのために、市民自身が学び、問い、人と出会い、地域について考えることのできる社会教育と公民館。

今回、自治体運営にとっての本質を問いかけるつもりでこのような構成にしてみました。動画は来週初めに公開されると思います。お時間あったらぜひご覧いただき、忌憚のないご意見をいただければ嬉しいです。

萩山小学校等複合施設化事業に関する債務負担行為(80億円余)は賛成手数で可決~9月議会が始まりました

昨日(8月31日・月)から9月定例議会が始まりました。会期は10月6日までの37日間の予定です。市長から提出された議案は9件と少なめで、3件が常任委員会に、5件は7年度決算に関するものなので決算特別委員会に付託されました。

そして萩山小学校等複合施設化事業について改めて約80億円の債務負担行為を設定する一般会計補正予算(第2号)だけが本会議で審議されました。

全10会派中、大きい順に9会派が質疑に立ち、私は8番目。質疑、討論の上、賛成をしました。

以下、昨日の録音から書き起こした内容をブログ用に整理しました。

◆萩山小学校等複合施設――約80億円の価格は、どうつくられ、どう検証されたのか

今回、私が質疑で確認したかったのは、約80億円という大きな公金支出の前提となる価格が、どのような過程で形成され、市がその妥当性をどこまで検証してきたのか。そして、3月議会後に前田建設工業が八代市での不正事案に関係したことからコンソーシアムから離脱し、施工体制が変わった後も、従前の提案価格を維持することについて、どのような確認を行ったのか。この点を中心に質しました。

◆前田建設工業が抜けても、価格は変えない

従来、建設業務は前田建設工業、菊池建設、相羽建設の3社で担うことになっていましたが、前田建設工業が離脱し、その業務は菊池建設が引き継ぐことになりました。

市は、今回の契約について「構成企業の数や配置する人員数に対して対価を支払うものではなく、要求水準を満たし、提案された業務内容や成果を履行することに対して支払うもの」と説明。

前田建設工業が抜けても要求水準や提案内容は変わらないことから、「価格を変更する必要はないと判断した」と答えました。

私は、値下げすべきだと決めつけて質問したわけではありません。

3社から2社へ施工体制が変われば、施工分担だけでなく、現場管理、事業者間調整、一般管理などの間接経費にも変化が生じる可能性があります。そこで、新たな見積書や積算資料などによって、市自身が従前価格の妥当性を確認したのかを尋ねました。

これに対する答弁は、「特段、資料等による検証などは行っておりません」というものでした。

仮契約を締結する段階では見積書が提出される予定とのことです。

この点は、今後予定されている契約議案を審査する際にも、改めて確認する必要があると考えています。

◆「市の積算」とは、どのようにつくられたものなのか

次に確認したのが、令和7年6月に市が設定した「80億円」という提案上限額の形成過程です。

市はこれまで「市の積算」と説明してきましたが、今回の答弁で、その具体的な役割分担が明らかになりました。

80億円の基礎となる約69億円の概算事業費については、アドバイザリー業務の受託者が専門的知見に基づいて数量や単価に関する資料を収集し、積算支援や技術的助言を実施。

市は、それらの資料や積算結果について、要求水準、対象数量、単価の出典、算定方法、事業全体との整合性などを確認し、最終的な責任を持って決定した、という説明でした。

つまり「市の積算」とは、市職員だけで一から積算したものではなく、専門事業者の技術支援を受けながら、市が検証して決定したものだということです。

◆11億円の「市場性補正」は、市自身の判断

さらに重要なのが、当初の積算に約11億円を上乗せした「市場性を反映した補正」です。

市の説明によれば、この11億円はアドバイザーからの提案ではなく、市自身の判断で調査、算定、提案したものとのこと。

都内の類似工事を調査した結果、1平方メートル当たり80万円以内では契約不調となる事例が多く、90万円以上では落札実績が比較的多かったことから、必要な建設費を約94万円/㎡と想定し、当初積算との差額約11億円を加えた、と説明しました。

80億円という上限額がどのような考え方で形成されたのかについて、一歩踏み込んだ答弁が得られたと受け止めています。

◆上限80億円に対して、提案価格は99.998%

一方で、引き続き確認が必要だと感じている点もあります。

市が設定した提案上限額は80億円。それに対して、優先交渉権者の提案額は79億9,982万7,000円でした。

差はわずか17万3,000円。上限額の約99.998%です。

この価格自体をどのように検証したのか尋ねたところ、市は「債務負担行為の範囲内であること」「市の積算から過度に乖離していないこと」を確認し、妥当と判断したと答えました。

さらに、市の概算と事業者の見積りでは、建設費、外構整備費、屋内運動場改修費、解体費など、個々の費目には相当の差があります。

市は、両者は積算の目的やプロセスが異なるため、個々の費目に差が生じるのは必然と説明。その上で、プロポーザル審査委員会において、提案内容が要求水準を満たしていること、各費目の総額も市の概算から大きく乖離していないことを確認したと答えました。

◆今回の議決と、次の契約議案は分けて考える

今回の補正予算は、約80億円の契約そのものを議決したものではありません。今後の契約手続を進めるため、予算上の限度額を設定したものです。

今回の質疑では、「要求水準や提案内容が変わらなければ、施工体制が変わっても価格を変更する必要はない」という市の考え方が明確になりました。同時に、体制変更後の価格について、新たな積算資料等による検証は現段階では行っていないことも明らかになりました。

「価格を変更する必要がない」ということと、「価格の妥当性を改めて検証する必要がない」ということは、果たして同じなのか。ここは私自身、今回の質疑を通じて最も気になった点です。

私は以下のような討論の上、この議案に賛成しました。


議案第59号、令和8年度一般会計補正予算(第2号)について、賛成の立場から討論します。 

平成24年に専門部署を設けて以来進めてきたと説明のあった本市の公共施設再生の取組みについて、その歩みを当初から見てきた者として、公共施設マネジメントの方向性については一貫して大筋において是としてきました。本日の質疑を通じても、3月議会での契約議案否決やその後の事業者の体制変更を受け、手続や法的な整理を含め、緊張感をもって取り組まれているものと受け止めています。 

今回の債務負担行為は、約80億円の支出や契約内容そのものを確定させるものではなく、今後の契約手続を進めるための予算上の限度額を設定するものです。契約については改めて議会の審査、議決に付されることから、現段階で次の手続へ進めることは妥当と判断し、本議案に賛成します。 

一方、私が以前から最も問題意識を持ってきたのは、公共施設マネジメントの手法そのものよりも、学校教育と社会教育を所掌する教育委員会が、今回の複合施設化を内容面でどう捉え、当事者や市民を巻き込みながら、どこまで踏み込んだ検討をしてきたのかという点です。3月議会で契約議案に反対した大きな理由の一つも、学校以外の公共施設部分がどのように運営され、市民福祉の向上にどうつながるのかが十分に見えなかったことにありました。この点については、その後、市として具体化、改善を図ってきたものと認識しています。複合化総体をどう考えるか、という点は来週月曜日の一般質問でもしっかり議論したいと考えています。 

10月に予定される契約議案では、体制変更後の履行能力と責任体制、約80億円という価格の妥当性と検証過程、将来の財政的リスクに加え、3月議会後に具体化された施設運営の考え方が、当時の疑義に十分応え、市民福祉の向上に資するものとなっているのかを重要な判断材料とします。 本日の答弁と開示資料、さらに今後の議論を踏まえ、契約議案については改めてその内容に即して判断することを申し上げ、賛成討論とします。


9月議会最終日(10月6日)に予定される契約議案では、体制変更後の履行能力と責任体制、約80億円という価格の妥当性と検証過程、将来の財政的リスクに加え、3月議会後に具体化された施設運営の考え方が、当時の疑義に十分応え、市民福祉の向上に資するものとなっているのかが重要な判断材料となると考えています。

昨日の答弁、開示資料、さらに今後の議論を踏まえ、8月4日に行われたとされる第4回審査委員会の記録開示を求めると共に、国のガイドラインや他自治体の事例なども調べながら、ギリギリまでしっかり考え抜きたいと思います。