0歳から18歳までの切れ目ない支援は喜ばしいことだけど…

先日の一般質問で、教育委員会制度改革とともに扱ったのが、「幼児相談事業と教育相談事業の一元化」についてのこと。
これまで33年間にわたって社会福祉協議会に委託してきた0歳から就学前までの「幼児相談」と、市教育委員会直営でやってきた学齢期の「教育相談」を、28年度から一元化する、と市長が昨年12月議会で明らかにしました。
組織上異なるところで行っていることで、幼児相談の時の情報が教育相談にうまく引き継がれずに一貫した支援になりづらい、という課題の解消をめざすもので、27年度はその引継ぎ・準備期間にあて、28年度から市直営に切り替える、というものです。

これ自体は、当事者の方たちからの声も踏まえて、議会でもその方向で進めてほしいという考えが体制でしたので、前進だと受け止めています。

その上で、ここにきてかなり大きく見えてきている懸念材料があるので、今回の質問として取り上げました。

質問と答弁の書き起こしを後掲しますが、「仏つくって魂入れず」の恐れが現段階ではきわめて大だというのが、答弁を聴いての私の思いです。

最大のポイントは、「28年度からの相談事業における支援対象は誰なのか?」という点。
これは、教育委員会の相談事業では、検査の結果なんらかの課題があると判定された子どもを対象に、あくまで学校に適応、適合することを目的に支援が行われているのに対し、幼児相談では、検査結果云々と関係なく、支援を希望する全ての子どもと親を丸ごと支援対象としている、という違いにあるように思います。

教育と福祉のよいところが掛け合わさって、弱点が補われるような一元化にならなければ、現在進行形の親子はもちろん、今後の東村山市の相談事業にとってマイナスの吸収合併ということになりかねません。

引継ぎを確実にするために、委託先である幼児相談室に市から有資格者を正職員として配置する、というのも前向きに受け止めるべきだと思いますが、幼児相談事業が培ってきた価値に敬意をもって向き合って正しく理解するところからスタートすべきだと思います。

 

では、質問と答弁の書き起こしを以下掲載します。
市議会としての録画配信は今週内にはアップされると思います。

 

2.未来を担う子どもたちが健やかに育つ社会をみんなで

1. 国が発表している「健やか親子21」について

1) 第1次計画と今般の第2次計画について、概要を説明願いたい。

2) 当市では、基盤課題、重点課題にどう取り組んでいくのか。

2. 重点課題1「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」と、12月議会所信表明で述べられた「0歳から18歳までの切れ目のない一貫した相談支援体制」について

1) 重点課題1にある「育てにくさ」とは何か。

※ここまで省略

佐藤)
市長は所信表明の中で「相談支援機能を強化するために幼児相談室と教育相談室の機能を統一し支援体制の一元化と充実を図ることで、市民サービスの更なる向上に取り組む」と表明された。現段階での構想とスケジュールを伺う。

教育部長)
幼児相談室と教育相談室の一元化による切れ目のない相談支援体制の整備については、年齢を0歳から18歳とし、子ども本人、保護者、指導に関わる方への相談に応じ、検査の実施、カウンセリングや療育、指導や支援方法の助言、幼稚園や保育所への巡回相談による助言などを行うとともに、関係する様々な機関との連携を図っていきたいと考えている。
27年度には、相談受付事務手続や、健診事業課(?)の引き継ぎ体制の検討、発達障害を含む障がい等の支援事業内容の検討、0歳から18歳までの支援シートのあり方の検討を行い、お子さんや保護者が困ることのないよう、28年度の開設に向けて円滑に事業をスタートさせる準備を27年度には進めていきたい。

佐藤)
職員体制はどうするつもりか?現状と開設時について伺う。

教育部長)
27年度の引継ぎにおける体制は、幼児相談室には正職4名(再任用1名)で対応しているが、教育所管で常勤の専門職を配置し、嘱託職員も配置し、幼児相談室との引継ぎを1年かけてしっかりやっていきたい。

佐藤)
そういうことではなく、現状、幼児相談室と教育相談室がそれぞれ何名体制でやっていて、28年度にはどう変わるのか?それぞれ正職何名とかあるものが、くっついたらどういう組織体制になるのか?

教育部長)
幼児相談室は正職3名と嘱託1名、教育相談室は正職1名と嘱託5名。27年度に人員体制も含めて検討することとなる。

佐藤)
足して2で割って、半分になったなどということが無いようにしてほしい。
幼児相談室は福祉分野、教育相談室は教育分野に現在はあるが、対等合併といえる組織形態こそ望まれると考えるが、今聞いていると、教育側に吸収合併のように聞こえるがどうなのか?母子保健分野はどのように考えるのか。

子ども家庭部長)
今般の一元化にあたっては。一貫した切れ目のない支援を行うことであり、幼児相談室と教育相談室の持っている相互のノウハウを尊重しながら、スタートすることが肝要であると考えており、1年間かけて検討、準備を進めていく。母子保健分野は相談待ち受け方のである両相談室とは異なり、各種健診が第一発見の機会となることから、母子保健において該当者に対する初回アプローチを担うことはもちろん、幼児相談室へのつなぎや、その後も継続的な連携を行い、一元化した後もその業務方針に変わりはない。

佐藤)
切れ目のない支援は賛成している。それぞれのノウハウが…もその通りなので、福祉所管頑張ってくださいね、というのが私の趣旨だ。
幼児相談室については、これまで予算・決算審査時も含め、幾度も取り上げてきたが、改めて歴史的な経緯と、その財産、課題について伺う。

子ども家庭部長)
幼児相談室は本市独自の事業として昭和52年5月に開設されている。就学前の0歳から6歳を対象として、市が専門職による相談と療育を実施する事業は全国的に見て先駆的であった。特に、母子保健、保育園や幼稚園、教育相談といった、福祉、保健、医療、教育と連携して、東村山市における乳幼児期の子育て支援の重要な役割を担ってきた。市としては幼児期と学童期の支援の連携をさらに充実させることが課題と捉えてきて、将来展望を踏まえて関係所管と望ましいあり方について協議を進め、今回の一元化に至ったものである。

佐藤)
教育長に訊く。先週の代表質問に対して、「これまで以上に保護者の願いに寄り添いながら子どもたちを支援したい」と答弁しているが、支援対象は誰だと思っているのか、が訊きたい。幼児相談室は母子丸ごと支援してきたが、答弁を聞いていて、親との関係性が見えない。子どもを指導したい、よくしたいという思いはわかるが、親子丸ごとということは、福祉所管が持っているノウハウだと思う。そこについてどう考えているのか?揚げ足を取るわけでなく、伺いたい。

教育長)
教育所管としては、教育相談的な視点でどうしてもモノを見てしまうのだが、従来よく保護者から言われているのは、幼児の時に幼児相談室でいろいろ話をして、相談をしたはずなのに、教育相談に来たらまた同じようなことを一から聞かれてしまうという。親御さんとすれば同じ話を二度も三度もしなくてはならないということは何とかならないのか、という要望が非常に多かった。簡単に言えば、そういう点を一本化することによってスムーズにできるということが狙いだろうという風にとらえている。

佐藤)
その点は私たちも聴いている。しかし、保護者という点がまだ見えてこない。そこに着目しているということを伝えておきたい。
幼児相談室は当初から委託事業であった。33年になると思うが、市にはノウハウがない典型的な事業である。幼児相談室が担ってきた部分を、内容面でも組織的にもどう継続させていくのかが最大のカギだと考えるが、いかがか。

子ども家庭部長)
27年度に一年間をかけて、幼児相談室が担ってきた幼児期の相談支援体制、個別ケースの引継ぎは、長根相談を受けてきた担当者がいきなり変わることのないよう円滑に行い、急激な変化によって子どもや保護者に戸惑いが生じることのないように十分配慮の上、進めていきたい。

佐藤)
その通りだが、目の前の親子に対してどうするか、というだけではなく、33年間の積み重ねをどうしていくのか、という視点がないといけないのではないのか。それには、財産とは何か、を確認した上で進まないと、見落とすのではないかと考えている。
幼児相談室事業の中でも、かつての所管課長やご担当から伺って、極めて重要だと感じたものが少なくない。特に以下の点について、現状とどのように継続、発展させていくのか、考えを伺う。

① 障害児保育として受け入れる時、所管課、保育園側、幼児相談室が当事者親子と一同に向き合う場を設けてこられた。どのような成果があるのか。保育所の急増により、障がい児も当然に増えているはずだが、近年の保育入所者数、障がい児保育受入数、前述の場のケース数の推移を伺う。

子ども家庭部長)
全ての障がい児保育受入れ者と面接を実施しており、幼児相談室と合同の面接を実施することにより、入所前の児童の状況や経過、保護者の不安や希望条件の確認。一方、施設側の対応についても確認することで、施設、保護者、関係所管で状況の共通理解が図られ、児童の状況に沿ったより具体的な保育につながっているものと認識している。
保育所入所者数と障害児保育受入数の推移は、22年度が入所者1,781名、うち障がい児受入40名、23年度は1,879名と43名、24年度は1,942名と42名、25年度は2,123名と50名、26年度は2,224名と56名。

佐藤)
これだけ増えている中で、全部に対応しているのは本当に大変なことだと思う。
② 就学時にも学校を交えて同様の取組みを行っていると伺って感銘を受けたことがあるが、最近は行われていないとも聞く。経緯と考え、今後はどうしていくのかについて伺う。

子ども家庭部長)
就学相談のメンバーとして参加し、家族が安心して就学を迎えられるよう、教育支援課と情報交換を行ったり、ケース会議の際に情報提供するなど連携を図っている。そのほかにも、就学相談を受けたかどうかに関わらず、幼児相談室での継続相談を通して、小学校との連携を家族が望んだ場合には、(ききとれず)同行している。今後は一元化の中で、就学を見据えた支援を早期に行うことで、困り感のある子どもが楽しく充実した学校生活がスタートできるよう、相談支援体制の充実を図っていきたい。

佐藤)
教育相談室は同行しているのか?

教育部長)
就学時の相談については、教育支援課が学務課とともに実施している。その時に保護者も同席している。この時にいろいろ就学において幼児相談室からの情報を伝えて、教育相談の担当が学校へ伝えている。幼児相談室と教育相談室と学校と連携をしながら進めている。

佐藤)
同行していたのをどうしてやめてしまったのかが不思議でならない。
③ 当市の幼児相談室事業は、「全ての親子を対象に、一切を排除しないですすめていることにこそ価値がある」とかつての所管課長が胸を張っておられたことが今も強く心に残っている。これは、「健やか親子21」が明示する「育てにくさ」を何十年も前から先取りしていたのだと今回改めて認識した。発達障がいへの対応充実が求められることは当然のこととして、今後も全ての親子が対象となる、という大前提に新しい組織もかわりはないか。それを確認させてほしい。

子ども家庭部長)
幼児相談室は0歳から6歳までのあらゆる相談窓口として、障がいの有無、種別、程度を問わず、育児上心配だと思われる相談に専門的に応じている。今後についても、お子さんについての悩みを一緒に考え、解決のお手伝いをする相談窓口として、支援していきたいと考えている。

佐藤)
私が聞いているのは、28年度以降のこと。新たな組織でも「全ての親子が対象となるという大前提にかわりはないか?」それだけ答えてほしい。子どもたちだけを支援するというイメージが強すぎるので聞いている。

教育部長)
教育相談も幼児相談も同じことだと思うが、子ども、保護者ともに、両方お互いにですね、保護者抜きとか子ども抜きとかそういうことではなくて全体で、その子ども、保護者に寄り添った形で相談業務をやっていく、ということが基本だと考えている。

佐藤)
質問の仕方が悪かった。そういう意味ではない。その子丸ごとという意味もあるが、さっき検査とか療育とか答弁されたので、教育相談室はそういうところだろうが、そういうことに関わらず、困っている親子は全て、あるいは声があれば、検査に引っかかったから支援するとか、引っかからなかったから支援しないとかいう考えではない、という考え方が幼児相談室でしょう。そこは変わらないのですか?と聞いている。

教育部長)
それは変わらないです。

佐藤)
最後に…。今回、改めて幼児相談室の現状や課題等についてお話を伺いに行ったが、直接には話ができないということを初めて言われた。かつてなかったことだ。単なる委託先だとは思っていない。直接伺わないとわからないことだから伺いに行って、今までは快く担当課長も幼児相談室も教えてくれた。今回は話が結局聞けなかった。33年にわたって専門機関に委託してきた事業を直営に切り替えるとすれば、それには大変な覚悟が必要であろう。関係する全ての立場が、互いに敬意をもって同じテーブルにつき、情報を共有し、熟議することなしに、市長の言う「市民サービスの更なる向上」は図れない。この間の答弁も今日も聴いていて、やはりそう思う。市長の考えを伺う。

市長)
0歳から18歳までの一貫した相談支援体制の整備については、将来展望を踏まえて庁内の子ども家庭部と教育部を中心に、望ましい方向性について協議を詰めてきた。社会福祉協議会と市で行っている総合調整会議の場においても、本件を含めて市行政、社協の役割分担等について、様々な角度から2年以上の時間をかけて、総合的に検討、調整してきた。その結果を踏まえて、幼児相談については指摘のように長年にわたって社協に委託をし、教育相談は教育委員会に設置をすると言う流れの中で、どうしてもそこが分断されてしまって、いろいろな不都合が生じているということについては、連携をさらに強化することでそれなりの対応を取ってきたつもりだが、社会情勢の変化に伴って、早期発見・早期支援と、切れ目ない相談支援体制を充実していく体制を、この際つくっていった方が望ましいのではないか、という判断に立ち至った。
この問題は、教育相談に幼児相談を吸収合併するということではない、と私自身は認識している。
当初、選択としては逆に、教育相談は就学の問題があるから外部委託にはなじまないが、一貫した切れ目ない、ということであれば、社協に全部お願いするということも選択肢としてある。そのあたりも含めて検討してきたが、どうしても就学の問題、それから0歳から18歳といっても年齢的に一番関わる、ネックになるのが就学、小中学校の時期が一番大きく関わることになるので、組織上は教育委員会に今回は位置づけをするのが望ましいであろう、と判断した。
福祉的な領域、先ほど来、いじめの問題、不登校の問題、スクールソーシャルワーカーの問題も含めて、教育分野で教育がそもそも成り立つための様々な福祉的支援が必要とされる時代だということについては、教育委員会も我々も認識は共有している。そもそも教育が成り立つためのあらゆる相談、支援、療育を一元的に行っていくためにどうするか。これまで社協の幼児相談室が全国に先駆けて設置をされて、長年蓄積してきた様々なノウハウには素晴らしいものがあるので、尊重して…一年ですべて引き継げるとは思っていないが、最大限これまで培った幼児相談室の専門性やノウハウ、良さを引き継ぎながら、0歳から18歳まで、困り感のある子どもたちに適切な相談、支援ができる体制をつくれるよう、27年度は全庁的に全力を挙げて取り組んでいきたい。

佐藤)
もう一度伺うが、教育と福祉の強みが掛け合わさって、弱みが克服されるものにしてほしい。そこには人、専門性…先ほどのSSWの話と同じで、そういう視点が本当に大事。ぜひ、じっくり、丁寧に、現場の人たちが一同につけるテーブルをつくっていただきたいが、どうか。

市長)
4月から、専門職・臨床心理士を正職員として任用し、その方を中心にしながら幼児相談室の業務を一緒に担いながら、できるだけ個々の現状のケースの問題点、それからこれまで幼児相談室が担ってきた保護者を含めた支援、相談の体制を、これからの当市の相談窓口でどのように活かしていけるか、そこを踏まえつつ28年度に向けてどのような人員体制があるのか、そこも含めて検討させてほしい。


コメント

0歳から18歳までの切れ目ない支援は喜ばしいことだけど… — 2件のコメント

  1. 大変興味深く面白いやり取りで、一気読みしてしまいました。子育て相談と教育相談との一元化は、両方担当してきた身として難しさと共に理想も感じます。ポイントはまさに「学校との繋ぎ方」にあるのではないでしょうか?立ち上げの行政担当者の広い見識に期待したいところですね。

    • 粟澤さん コメントありがとうございました。お返事遅くなってすみません。

      担当としては丁寧に行っておられる。
      だけど、つながらない現実もある。

      福祉としっかり結び合うことで、新たな課題への対策が見えてくるんじゃないか、というのが少しずつ広がってきた社会の知恵だと思うし、そういう提案を複数の議員がしてきました。
      ですが、学校教育サイドは、児童・生徒を学校に「適応」させることが課題の中心になっているような感じが、何度やり取りしても変わらないと感じます。
      どういうアプローチがよいのでしょうね…。

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