今年も一年、どうもありがとうございましたm(__)m 【96号をアップします】

あと3時間少しで新しい年がやってきます。今年も一年間、お陰様で心身の健康を保ちつつ、与えていただいた職責を果たすべく、何とか走り切ることができました。どうもありがとうございました。

平和や経済の安定など、大方が当たり前に享受できると思っていたことが音を立てて次々と崩れた2022年。無邪気に遊び、笑い転げる孫たちを見ていて、「私たちの世代は逃げ延びるのかもしれないけれど、この子たちが大人になった時、この社会はどうなっているのだろう?戦争は?地球環境は?」と不安な気持ちが湧いてきます。

先行きの不透明感がどんどん増す中で、地方自治体の舵取りも、一層難しくなっていくことは間違いありません。放っておいても人口が増え、税収が増えた時代は、あれやります、これ造ります、がいくらでも通用した時代。それなりの人なら首長が務まったのかもしれません。しかし今は、知力体力気力が人並外れた人でなければ無理です。

翻って私たち議員は?

敵と味方を決めつけて、自分の陣地から持論を繰り返すだけでは、市民にとって最善の解に辿り着ける可能性は極めて低くなります。現状を変えること自体に抵抗し、ブレーキを踏んでばかりいれば、その議会は時代に取り残され、衰退し、存在意義を失うことでしょう。

全国には覚悟を決めて、徹底的に住民のためになる機関への変革を追求している議会がいくつもあります。議会の優劣が自治体の成否を決める時代が来ています。

東村山市が、人と緑が大切にされ、活気のある自治体として生き残っていくためには、市議会が果たすべき責任はさらに重くなります。もっともっと働く議会に変えないとなりません。

新しい年が少しでも穏やかに、そして世界中の子どもたちに平和な日々が訪れることを祈らずにいられません。

28日の仕事納めの日から12月議会報告を含めたレポート96号を配って歩いていますが、お届けできていない方の方が多いので、画像としてコチラにアップします。お目通しいただければ幸いです。

「女性議員が多いですね」

「東村山市議会は女性議員が多いですね」

視察にお越しくださった殆どの議会の方たちからそう驚かれます。

「どうしたら女性議員が増えますか?」と尋ねらることも多いのですが、国政政党が以前から一定の割合で女性候補を立てているのと、基本的に女性候補のみの生活者ネットワークの存在や、無所属でも絶えず女性が当選してきたことなどが要因であり、「議会として何か取り組んでいるというわけでなく、私が入った頃から結構多かったですよ」とお答えしています。

そこに自民党から2015年に初めて1人、2019年には2人目の女性議員が生まれたことが加わって、定数25のうち男性13人、女性12人となり、現在の48%になったと言えると思います。

これは、北海道江別市議会と並んで、全国に792ある「市」のうちでは最も高い割合です。
「内閣府見える化マップ」
https://wwwa.cao.go.jp/shichoson_map/?data=7&year=2021

町村や特別区を加えた「市区町村」1,741自治体で見ると、神奈川県大磯町議会が定数14人のうち男女7人ずつの50%なのでトップです、と申し上げてきましたが、念のために確認してみたところ…11月に行われた町長選挙に女性議員が出馬され、同時に行われた補欠選挙で男性議員が当選したため、男性8人、女性6人で42.86%に変わったようです。

これは数字で示せた方がいいな、と思ったので、過去の選挙結果を調べてこんな表を作ってみました。 

私が最初に入った時が既に3割を超えていたからかもしれませんが、この20年間で、男性だから、女性だからということを気にした記憶がありません。委員会の構成も、特に男女のバランスを…ということはないので、蓋を開けてみたら6人のうち男性が1人だけとか、その逆もあったりします。

世の中ほぼ半数…正確に言えば全国の総人口も東村山市の人口も、男性より女性の方がやや多いわけなので、国会も地方議会も社会を映す鏡として半々に近づくことが当たり前、なのですよね。

女性議員の割合が…なんて話をしなくなる日が早く来ることを願うばかりです。

さて、来春の選挙に向けて日夜動いている人も増えてきましたので私も頑張らねばなりませんが、同時にこれからも東村山市議会を知っていただくための基礎情報をできるだけお伝えしていこうと思います。

#データで見る東村山市議会
#佐藤まさたか

「少なくとも今年度はやめるべき」~スピーキングテストの都立入試への活用 【陳情は不採択となりました】

12月議会に提出され、最終日に議決した「都立高校入試に英語スピーキングテストの導入中止を求める陳情」。

生活文教委員会では賛成2:反対3で不採択になった、と委員長から報告があり、最終日の本会議で委員会の委員ではない3名(藤田、白石、佐藤)が採択すべし(陳情に賛成)の立場で討論を行いました。

結果は、議長以外の議員23人(1人欠席のため)のうち、自民党7人、公明党6人、無会派の鈴木たつお議員の計14人が反対、他の9人は賛成とし、賛成少数で不採択となりました。

私は以下の討論を行って採択を主張しましたが、通りませんでした。この問題を知れば知るほど、国際化とか英語教育とかとは関係のないところにこそ大きな問題があるのだと考えるようになりました。

【陳情の採択を求める私の討論】

グローバル化の進展の中で、英語教育の強化や、その結果の考査の必要性を否定する声は殆どないのだろうと思います。私ももちろん異論はありません。ですので、この件に反対の声があると初めて聞いたときは、最初から完璧な制度やシステムを求めることには一般的に言っても無理があり、移行期、過渡期にありがちな問題だろう、程度に正直言って思っておりました。

しかし、市内の方々のみならず、先日も小金井市でこの問題に取り組んでいる方にお会いして資料を示しながらのご説明を伺い、11月27日に実際に初めてのテストが行われたことの報道や、都議会議員連盟による実施状況調査の結果を見る中で、考え方を変えざるを得ない、というか、現実を踏まえれば、少なくとも、現状を追認して今年度の入学試験へ導入することには明確に反対すべきだと考えるようになりました。

理由は明確です。現段階でのスピーキングテストには解決されなければならない問題が多すぎて、入試に導入できる水準ではない、ということに尽きます。

大学入試制度や都立高校入試制度のこれまでの変遷などを見ても、過渡期の不利益はある程度やむを得ない、と考えますが、そんなことでは説明のつかないような課題、欠陥が次々と明らかになっています。実施前に懸念された点以上の問題が露呈したと言ってよい状況です。

テストにおいて絶対的要素である「公平・公正」を損ねる事実が、全197会場のうち125か所で指摘されていることに、東京都教育委員会は謙虚に向き合うべきです。

都教委がありえない、としている「録音を確認したら周りの声が大きくはっきり入っていて、自分の声としてきちんと正しく採点されるのか不安だ」といった子どもたちの訴えにきちんと耳を傾けるべきです。

テストを受けなかった生徒の扱いも理解に苦しむ不可思議な設計になっています。

中学校学習指導要領を逸脱した出題があった、という問題も、都教委自身の事前の説明と明らかに異なるという指摘がされていますが、教育長の回答には全く説得力がなく、中学生の声に向き合おうとする姿勢もありません。

繰り返しになりますが、人が作る制度や仕組みですので、最初から完璧ということはありません。大事なのは、事実、現実と真摯に向き合って、誤りがあれば立ち止まり、修正、改善を図り、実施に移し、また検証するという姿勢だろうと思います。しかし、先日の都議会で東京都教育委員会の教育長は、「適切に実施された」と繰り返すばかりで、具体的な課題指摘に対して何ら説得力のある答えを出すことはありませんでした。

そもそも、保護者や子どもたちだけでなく、我が国の英語教育に長く携わってきた専門家からも数多くの欠陥が指摘され、警鐘が鳴らされてきたにもかかわらず、東京都、都教委はなぜまともに向き合おうせずに突き進んできたのか、大きな疑義が残っています。

当市で学ぶ現在の中学生のことを思えば、市議会として、現段階での入試への導入は見合わせるべきという声を、実施主体である東京都に対して意見書をあげることが不可欠だと考えます。

古い話ですが、私が教員を目指していた少し前の1980年前半、都立入試が3科目から理科と社会を加えた5科目になったことで、中学校社会科は入試対策として暗記科目のように扱われることが増え、戦後に社会科が生まれた土台と言われる自由で深い学び、面白さが一気に失われたと言われたことを思い出します。

近年の英語教育を、小学校から学ぶようにしたのも、会話を重視した学びに力点を移してきたことも、国際語ともいえる英語を高い水準で使いこなせる人材の育成と共に、グローバルな社会でコミュニケーション豊かに生きていけることや、多少間違っていても思い切って話せることことも重要な要素としているのではないでしょうか。

ここは一旦立ち止まり、次年度以降に向けて、誰もが安心してテストに臨み、それをどうすれば不安なく入試に反映させることができるのか、またはできないのか。専門家の意見、そして当事者である子どもたちの声にもしっかり耳を傾けて、落ち着いた議論をやり直すべきと考えます。

以上、本陳情を採択すべきとする理由を申し述べ、ぜひ同調いただけるようお願いし、私の討論といたします。

全議員の賛否一覧~12月議会が終わりました

今年を締めくくる12月定例議会が、11時過ぎに閉会となり、昼をはさんで開かれた広報広聴委員会も終わりました。

今日の本会議は、4つの常任委員会に付託されていた議案や陳情の審査結果を各委員長が報告した上で、全員での採決をはかりました。

初日に議決した指定管理者の指定や一般会計補正予算も含め、今議会で結論を出した市長提出議案、議員提出議案、陳情に対する全議員の賛否一覧をいつものように作成しましたので、アップします。

慎重に確認したつもりですが、もし誤りがあった場合にはその旨を書いて修正します。

どこよりも早い報告ということでご勘弁くださいm(__)m

冬晴れのお餅つき

保育所「空飛ぶ三輪車」のお餅つきに参加させてもらい、少しお手伝いをしてきました。

お昼過ぎから風が冷たくなりましたが、最後までお天気に恵まれて、若いお父さんもお母さんも職員さんもそのご家族も大活躍!午前と午後で20臼以上?蒸し続け、つき続け、中には掌にできたマメにテーピングまでして頑張るつわものもあり、アッパレでした!

餅つきは準備も本番も片付けも本当に大変だけれど、みんなが力を合わせてたくさん頑張ると、おいしい~ご褒美が待っている、最高に好きな行事です。

残念ながら今回は感染対策のためにその場での飲食はNGでしたが、それでも季節を感じられる体験活動を可能な範囲で実現させたいという職員さんや親御さんたちの熱い思いを感じました。

あぁ~楽しかった~(^^)/

昔のようにその場であったかいお餅をみんなで食べられる日が早く来ますように。

そうそう、私が職員だった20年前も今も変わらずに野口町の農家さんからお借りしている「巨大かまど」(↓3枚の写真)の構造の科学が話題となり、みんな興味津々でした。

皆さん 大変大変おつかれさまでした。

本日の政策総務委員会報告

5件の議案について審査の上、いずれも賛成多数で可決して17時近くに終了しました。

議案の分量が多かったので、通常1人15分の持ち時間を委員間で協議して全員の賛同を得て20分としました。委員会審査に時間制限を設けている議会の方が珍しいので胸を張れるような話ではありませんが、委員会運営についてみんなで話し合って合意できたことは、小さいながらも前進だと思います。

また、議案50号については委員間討議を提案して他の委員に受け入れていただき、論点や残る課題について発言して共有できたことも、小さな前進。忘れずに記しておきます。

世の流れをきちんと見て、他の議会の常識にも照らして、決して思考停止することなく少しずつでも改善を図ること、心ある議員たちで共有し、積み重ねていけたらと思います。

議案50号では最終的に賛成しましたが、だいぶ厳しい論調で質疑させてもらいました。ロングランの議案審議、市長をはじめ関係所管の皆様、おつかれさまでした。

今日の賛否一覧表を取り急ぎ作成しました。

公開質問状「統一教会との関係」への回答

この仕事をしていると、時々「公開質問状」が届きます。

送ってこられる多くは、市内で活動されている市民団体の方たちで、障害福祉、保育園、学童保育、高齢者問題、公共交通、男女共同参画といった市内の現状を前提としたものから、改憲、沖縄、安保法制等、国政レベルの問題まで幅広くあります。

これらの多くが、4年に一度の選挙が近づくと送られてきて、「その回答を団体の会報やHPで公開します」と書かれています。1つのテーマに関して候補となるであろう者たちの考え方の違いをわかりやすく共有して伝えていただけることは大変ありがたく、歓迎するところですが、実際には紙幅の関係で回答が端折られることが多く、こちらの意図するところが正しく伝わらないことも少なくありません。

ゆえに、今後はお答えした段階で自主的に先行公開をしていこうと思います。

ということで、来年4月に次の市議選、市長選が見えてきた中、10月に「東村山市立小中学校給食に関するアンケート」、11月に「統一教会との関係」をいただきました。それぞれに対して私なりに丁寧にお答えしたつもりです。

今日は一昨日に投函した「統一教会との関係に対する質問」への回答をアップします。質問をくださったのは、「東村山革新懇」という団体です。私は議員歴が長くなったので、会自体も中心的なメンバーの方も存じ上げていますが、1期目や2期目の議員は、団体についての詳細説明が書かれてなかったので答えづらかったかもしれません。

まずいただいたペーパーはコチラです。

続いて、問いの部分を再掲し、私の回答とセットで以下アップします。

①上記関連団体などの勉強会に参加したことがありますか?

答)一切ありません

②メッセージを送り、あいさつなどをしたことがありますか?

答)一切ありません

③機関紙・書籍などを定期購読したことがありますか?

答)一切ありません

④旧統一教会や関連団体の名前を1つ以上知っていますか

答)もちろん知っています。具体的には、統一教会、勝共連合、原理研、世界日報が同根であることは40年前から知っています。他の団体は今回の報道で知りました。

⑤旧統一教会や関連団体が、霊感商法や高額寄付の強要などで多くのトラブルを起こしている認識はありますか?

答)もちろん知っています。学生時代は原理研が台頭して大きな問題になっていましたし、当時、渋谷駅前交差点の世界日報の看板を知らない者は周りでいなかったと思います。霊感商法も集団結婚式も、私たちの世代で知らない人はいないのではないでしょうか。

⑥被害者救済法などに対するご意見がありましたらお書きください。

答)国会の仕事ですので、実効性のあるものとなるよう、与野党関係なく合意に至るまでしっかりやってほしいと思います。

⑦カルト集団との関係についてご意見がありましたらお書きください。

答)カルト集団と「何と」の関係なのか判然としませんが、仮に「政治と」ということであれば、憲法や関連法規に則して適正に判断され、扱われるべきものと考えます。

いただいた質問と回答は以上なのですが、私として申し上げたいことがありましたので、そのことを記したペーパーを1枚(以下)添付しました。

① いただいたご質問に私なりに誠実にお答えしたつもりです。その上で、革新懇の皆様の活動もお顔も多少なりとも存じ上げるゆえに、率直に伺いたいことがございます。

この質問状を市議会議員に送り、その回答を公開する目的を教えていただけないでしょうか。

これまでも憲法を土台に、平和や地方自治に関するテーマでいただいたことがあり、それは地方議員として当然お答えすべきものと理解し、都度そのようにしてきました。来春の選挙に向けてまた何らかの質問をいただくのだろうとは思っていましたが、いただいた文章に憲法に照らしてのくだりもなく、今回は初めて「これは何のために?」と首を傾げています。

旧統一教会の悪行三昧は法で厳しく裁かれるべきであり、被害者救済も迅速に進められるべきですが、革新懇の皆様は、この問題を地方議会で他に優先して取り扱うべき重要課題とお考えなのでしょうか。私はそうは考えていませんので、理由も含めてご説明をいただければと思います。また、少なからず時間をとってお答えする以上、質問の意図はきちんと示していただきたかったと思っています。筋を通して丁寧に活動をされてきた革新懇の皆様からだからこそ残念に思います。

私自身は一切の国政政党や大きな団体に依拠しない完全な無所属を貫いていますので何を問われても一向に構いません。しかし、旧統一教会以外にも様々な宗教や宗教まがいの団体、上意下達の政党その他、現実にはいろいろあって、私たちは憲法が保障する思想信条、信教の自由との兼ね合いも頭に入れておかねばなりません。この質問に回答する議員がどれくらいいるのかわかりませんが、新聞を騙るゴシップ紙のような扱いにならないことを老婆心ながら祈るばかりです。

②最後にお願いです。今後も質問状をいただくことがあるのかもしれません。その際は、ぜひメールでも答えられるようにしていただけないでしょうか。選挙が近づくと様々な方からいただくので、作業効率上、手書きでの答えを求められるのは厳しいです。お答えしたことに責任を持つために送信済データとして保存もしないといけません。どうかご検討とご対応のほど、よろしくお願いいたします。

自治日報に掲載いただきました

★自治日報★の3面「議会」欄に「議会同士の切磋琢磨をエンジンに」と題した拙稿を掲載いただきました。

編集部から送っていただいた現物を開いてみると、1面には敬愛する松本武洋さんの稿。同じ号で光栄です。

さて、議会改革という言葉に出会った2007年。あれから15年~

4年毎に顔ぶれが替わる定めの中、改革のサイクルを継続できる議会なのか、うちのように瞬間風速は吹いたけれどいつの間にか後塵を拝す議会なのか。その違いはどこにあるのだろう?と考える日々の中、原稿依頼をいただいたので、そんな文章になりました。

論考などとはとても呼べない雑感みたいなものですが、自分の考えを整理するには大変ありがたい機会でした。お声がけをいただき、どうもありがとうございました。

掲載の許可をいただいているので、画像としてアップし、以下テキストで全文を掲載します。

議会同士の切磋琢磨をエンジンに (自治日報2022年12月5日 3面)

先日、「議会に関する視察」を久しぶりに中京と関西の議会から受ける機会に恵まれた。テーマは「議会報告会」と「政策提案」に関するものが多く、コロナ前から通算すると全国から50議会ほどをお迎えした。複数の議員で対応して説明するが、醍醐味は後半の意見交換にある。私たちよりよほど活発に活動されている議会も少なくなく、視察の受け入れは居ながらにして学べるありがたい機会であり、議会同士の貴重な外交の場である。全く先駆的な議会ではないが、学び合い高め合う相手として、ぜひ東村山市議会へお越しいただきたい。

○議会報告会を継続する意味

東村山市議会が2年半の議論と作業の上、議会基本条例を施行したのは2014年4月のこと。「市民に開かれた議会」を掲げ、傍聴の際の住所や氏名の記載廃止、傍聴席での録音・録画の自由化、請願者・陳情者の陳述の制度化等を行うと共に、議会報告会様々な手法やテーマでトライ&エラーを重ねて3か月ごとに継続してきた。(➡https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/gikai/katsudo/gikaihoukoku/index.html

2020年春にコロナで一度止まったが、休まないことが市民との約束と考え、8月からは手持ちの機材でyoutubeによる録画配信を、そして今年2月からはグループでの意見交換もzoomを活用して復活することができた。11月には久しぶりに会場で開催できたが、オンライン継続を望む多くの声に応え、併用とした。緊急避難的に始めたオンライン開催だったが、忙しい現役世代や、子育てや介護で会場へ出向けなかった、参集するほど熱心ではないが気にはなっていた…といった、それまでとは明らかに異なる層に参加を広げることに繋がった。

8年半前の開催当初、私たち議員は答える側に回ると途端に力不足が顕在化し、市長部局に日頃偉そうに求めている「説明責任」を果たすことが容易ではないことを学ぶこととなった。「議員数を減らせ」「給料が高すぎる」という参加者に定数や報酬を尋ねると、「知らない」と答えた。「責任者の市長がなぜいないのか?」と問われたこともある。地方自治・市議会の仕組みを説明する数分のスライド「ようこそ!議会報告会へ」を急きょ作成し、次の回から冒頭に上映することにした。

議会報告会の定期開催は、住民に議会や地方自治を理解してもらい共に考える大事な機会であり、私たち議員のコミュニケーション力を鍛えるために不可欠な場でもある。

○議会同士の切磋琢磨をエンジンに

 初の議会基本条例が北海道栗山町議会で誕生して16年、北川正恭早稲田大学名誉教授が三重県知事時代にマニフェストを提唱して来年で20年。この間、議会間での善政競争が伝播し、機能強化のサイクルを確立できた地方議会は、目的である住民福祉の向上へ一丸となって歩みを進めている。翻って私たちは…2012年に419位だった全国議会改革度調査(マニフェスト研究所)では、議会基本条例施行の翌年に32位まで評価を高めたが、以後は下降を続け、直近では300位手前となった。何かを後退させたわけではないが、改革マインドをビルトインした全国の議会に追い抜かれ続けた結果である。

 社会は刻々と進化していて、地方自治の世界も例外ではない。今年のマニフェスト大賞も、受賞者はいずれも圧巻の実践で、特に最優秀議会改革賞に輝いた会津若松市議会と、ローカルマニフェスト大賞「議員・会派の部」に輝いた自由民主党横浜市会は、今回も他の追随を許さない取り組みであった。審査委員の廣瀬克哉法政大学総長や江藤俊昭大正大学教授が講評で口を揃えておられたのは、「現状を維持しての受賞ではなく、高い改革意識ゆえのさらなる挑戦、進化の結果」ということだった。

○いつも「なんのため」に立ち返りながら

20年間ずっと完全な無所属として議員を務めてくる中で、4年ごとに顔ぶれが替わり、多様な考え方が共存する地方議会で、「なんのため」に議会改革に取り組むのか、というミッションを共有し、進化させる難しさを日々痛感している。

成功体験が重要ではないかと考え、ここ2年は特に、議員より議会として成果を上げることを重視し、所属する常任委員会では「投票率向上策」を所管事務調査に定め、オンライン市民アンケートの実施や、佐藤淳青森大学教授、可児市議会、取手市議会とオンラインで結んでの勉強会を重ね、選挙管理委員や教育委員会との意見交換も行ってきた。議会基本条例で定めた「政策研究会」を超党派で立ち上げ、市内にある国立ハンセン病療養所「多磨全生園」の将来構想に議会はどう関わるべきなのかをテーマに関係者との対話も続けている。

来春は選挙を迎える議会が多い。公共施設の統廃合や負担増など、厳しい選択が待ち受けているのに、「アレオレ詐欺(あれはおれがやった)」候補が増えないことを願うばかりだ。おいしい話ができる時代ではないし、そもそも議員一人で成し得ることなど、実はほとんどないのだから。「チーム議会」として、正義(Justice)より公平・公正(Fairness)を重んじ、考え方の違う議員同士が対話と討議を重ね、合意形成を図り、住民にとって少しでもベターな解を導き出す。そんな議会をつくりたい。議会のレベルが自治体の未来を左右する時代になっている。