昨年4月に施行された「こども基本法」、その後策定された国の「こども大綱」を踏まえた「東村山市こども計画」の策定が大詰めを迎えています。しかし、全般的に「あるものを並べた」感が強く、特に若者政策については課題認識がかなり甘く、新鮮味にも具体性にも乏しい書きぶりには、このまま「計画完成」としてはいけない、という危機感さえ抱きます。
という前提で、12月議会で行った一般質問の音声書き起こし「その2」を以下、アップします。「その1」よりだいぶ長いので申し訳ありませんが、全部お読みいただくと、当市の課題を共有いただけるのではないかと思っています。では…
厳しい現実に応え得る本気の「こども・若者政策」を
佐藤ま)こども基本法、こども大綱を踏まえた「自治体こども計画」策定が進んでいます。昨年6月議会における「子ども・子育て会議条例の一部改正」に賛成しましたけれど、討論において懸念される点を明確に申し述べ、その後の経過を追って来ました。そして先日11月1日には「子ども・子育て会議」が開催されて傍聴しましたが、この日示された計画素案は、既に実施している事業は具体的に記される一方で、当市が従来やっていないこと、取り組んでいないこと、組めていないことについては殆ど踏み込みが無いように読めました。せっかくそれぞれの現場で活躍する専門の方たちに委員に就いていただきながら、その力をどこにどれだけ活かせているのだろうか?豊かな議論を行っていただく運営になっていたのか?と疑問を抱きました。果たして策定の目的や目標が会議体として十分共有されて計画づくりはスタートできたのでしょうか?
本計画の重要性を鑑みれば、策定の目的・目標、そのための共通認識・共通理解の重要性、当市が従来得意としていない特に若者分野の取り組み方等、今からでもでき得る限りの補正、修正に取り組み、方向性や政策の具体化を行っていただきたいと思います。法が制定された背景にある厳しい現実に真摯に真剣に応え得る計画としていただきたいと切に願い、以下伺います。
①です。昨年6月議会における条例改正以降の進捗をご説明ください。
大西子ども家庭部長)令和5年6月の条例改正において、子ども・子育て会議の所掌事務と組織を、こども計画の策定・推進に対応できるよう改めて以降、8月に委員改選、10月の会議においてこども計画の策定についての諮問を行い、こども計画策定をスタートいたしました。令和5年度はこども計画策定に向けての基本的な考え方、こども計画基礎調査の設計、調査結果や国の動向等を踏まえた現状と課題の整理などについて会議を3回開催し、ご審議いただきました 。令和6年度は夏にかけて、様々な形で子ども・若者から意見を聞 取り組みを進め、その後いただいた意見や市の課題等を踏まえて、基本理念、基本目標、施策の方向性などについて、すでに2回の会議を開催し、ご審議いただいたところでございます。
年度内にあと2回の会議を予定しており、次回12月の会議で計画案の審議、第4四半期にはパブリックコメントの結果も踏まえた計画案の審議の後、答申をいただいた上で令和7年3月に計画書の発行公表を予定しております。
佐藤ま)②です。若者政策なんですけれど、これはうちのまちだけでなく自治体どこも得意ではありません。十分な知見がないところが多いという話は当時もしました。新たに選任する委員を含めた専門家の意見や力を十分借りて進めてください、と提起をしましたが、そうなっているのかどうか伺います。
大西部長)令和5年8月に委員改選を行い、中学校校長、若者支援事業従事者、若者支援に関する有識者、 若者枠の公募市民が加わったことで、若者を日頃から教育支援している立場での意見や、若者当事者の意見という、行政内部だけでは持ち合わせない目線からのご意見をいただけてるものと認識しております。特に若者支援の施策については、当市においては新たに課題として捉えて取り組んでいく分野であり、困り感を抱えている若者の状況を把握し、当市の施策に活かすため、他市において引きこもり支援をされている方や子どもの権利擁護等の経験を有する方に委員として参画していただき、現場の実情や取り組みの中で感じている課題など、生の声をご提供いただけていることは、計画策定においても有益であり、今後に生かしていけるものと考えております。
佐藤ま)具体的な事例として、西東京に一度ぜひ出掛けて行って学んで来られるといいと思います、と申し上げてきけれど、してくださいましたか?
大西部長)令和6年度において直接伺ってはおりませんが、委員に西東京から選出されている方からの勉強会というのを開催しております。
佐藤ま)③です。子ども・子育て会議の委員の方たちからは、現時点でどのような認識、見解が示されているのか確認します。
大西部長)令和5年10月以降、委員それぞれのお立場から、こども計画の策定についてご審議いただいたところでございます。一例として、令和6年11月に開催した第2回会議では、就学前の子ども、小中学生に対する子どもの権利の普及啓発、学習機会について及び若者支援の課題に対する施策について、を主な論点としてご審議をいただきました。
子どもの権利普及啓発、学習機会につきましては、教育・保育施設の従事者や保護者に対する普及啓発にも力を入れてほしい、子ども自身が現在どのように保障されているかを実感する必要がある、などの意見をいただきました。
若者支援施策については、子どもたちにとってニーズの高い居場所、例えば、みんなで集まって遊べる場所などが少ないと感じる、引きこもりや高校・大学などを中退した子ども若者が集まれる居場所があるとよい、施設としての場所でなくても例えばeスポーツのイベントの参加など、活動、コミュニティに参加する形での居場所もある、などのご意見をいただいたところです。
子どもの権利の普及啓発と若者支援は、当市としては今回のこども計画の策定に合わせて課題を整理し、計画期間の中で新たな取り組みを進めていく分野であり、その論点に対して各委員のご経験から大変有意義な意見をいただけているものと捉えております。
佐藤ま)私も何人かの委員さんを知ってるので、会議の後に意見交換したりしてるんですけど、やっぱりあのまま計画が走ってしまうとですね、私たちが関わったということ自体…いやちょっと何とかしてくれないとっていう結構強い意見だったんですよね。つまり、もっと皆さんの意見を聞きながら踏み込んだものにしてほしいという意見が…私はそういう風に聞こえるんですけど、これについては その後どのように11月1日以降どのような対応されてるでしょうか。聞こえてきてると思うんです、声は。
大西部長)今、議員からもあった通り、実際の委員の方から直接の所管の方にもそのような声をいただいており、また委員の方からの発案で新たな展開に向けて勉強会を開催したいというような声をいただき、所管職員含めて、3時間ですね、一緒に膝を突き合わせて勉強会というのを開催して、一定のご理解をいただけたものと認識しております。
佐藤ま)④です。「子どもの権利」を計画のいの一番に掲げていますが、当事者である子どもや若者からの相談を受け、必要に応じて権利擁護、救済へと繋ぐ公的機関を市の責任で公的機関を市の責任で設置することには言及していません。対策が人権擁護委員で足りるということではないことは明らかだと思います。こども基本法やこども大綱が希求する社会像を踏まえれば、計画に書き込んで設置を目指していただきたいと思います。これは市長の見解を求めます。
渡部市長)前回、佐藤議員からご質問いただいてですね、 私もちょっといろんな都合で1回しか子ども・子育て会議に出席しておりません…それもフルでなくて途中までだったんですが、その時、西東京の子どもの権利擁護委員を務められている当市の子ども・子育て委員さんから、強く、そうした制度、それから機関を設けるべきとのご意見いただいたことは覚えているところでございますし、これまでの間も度々議会でもご指摘、ご提案いただいてきたところでございます。
多摩地域でも今年度に入りまして、いくつかの市で、いわゆる子どもオンブズパーソン制度等も立ち上げているという風なことは伺ってますし、こども家庭庁でも11月26日付で子どもの悩みを受け止める場に関するプロジェクトチームを発足し、関係者間の意見交換や相談窓口の調査などを通じて課題を整理し、今年度末までに成果を取りまとめるという報道もあったところでございます。
当市としましても、やはり今回、こども基本法に基づいて、こども計画を初めて作るということなので、すぐにそうしたものが立ち上げられるかどうかは別としても、やはり子どもの気持ちをしっかり受け止め、一緒に問題を整理しながら、子ども自身が「これならできる」と思える解決イメージ、方法で具体的な改善、解決が図れるような相談体制…相談支援体制という方がいいのかもしれませんが、についてですね、今計画期間中に検討はするということは、何らかの形で明記をしていきたいとそのように考えております。
佐藤ま)「自治体としてみんなの声をちゃんと聴くよ」というのはずっと言っていますけれど、本当に大事だと思ういますので、踏み出していただきたいと思います。
⑤番です。求められる若者政策なんですけど、当事者に最も身近な自治体として、厳しい状況にある若者たちにどういうメッセージを発信できるのか、希望を持てる方向性や施策の可能性を示せるのか、が今問われていると思います。
今、市長が計画の中に…期間中に検討したいという答弁がありましたけれど、5年間の計画ですので、背骨です。触れないということは少なくとも5年は手をつけないという意味になってしまいます。様々なハードルからすぐに実現できない施策もあると思いますけれど、もう一度言います。私たち東村山市の大人たちが本気を示す計画となるよう、市が責任を持っているということで、子どもたちや若者たちに向き合える計画になるように全力を尽くしていただきたいと思います。市長には、計画策定に携わってくださっている方々の声に直接耳を傾けていただき、所管課の背中を押し、当市のすべての子ども・若者が今と未来に希望が持てる計画となるよう、号令を掛け直すというか、もう1回褌を締め直してやっていただきたいと思っています。お考えを伺います。
渡部市長)ここ数年やはり、引きこもりやニート、不登校といった、子ども・若者を取り巻く様々な課題・問題が深刻化したりして、引きこもりは15歳から64歳までと統計ですけど、全国に146万人引きこもっていると言われて、50人に1人の割合で引きこもっている人がいるというような状況が出ております。
そういう中で、子ども・若者の権利を擁護しつつですね、その方々が自分らしく生きれる、生きづらさを抱えてる若者に対してどのような支援をするのかということは、今回のこども・若者計画の中心的な課題であるとは認識をいたしております。
ただ、これまでも若者支援という形ではないにしても、例えば経済的に困窮されている世帯の子どもたちの場合、中学生ですけど学習支援をし、さらにそこを巣立った方たちの高校生になった後の居場所支援・居場所づくりという形での支援をしたり、引きこもりの相談窓口の開設や、全体的に就労の支援だとか、これは障害支援という形になるかもしれませんが精神疾患等の方、あるいは発達障害、知的障害者の方々の支援というのはこれまでもずっとやってきてるわけです。若者の定義と言うのは難しいのだけれど、1つ年齢の壁っていうのがあるように思っておりまして、義務教育期間を終了する15歳以上あるいは児童福祉法の範疇から外れる18歳以降の方達に対して、切れ目ない支援をより拡充していく体制を当市としてどこまで作れるかということは、十分議論をし、様々な専門家の皆さんの知見をいただきながら、より良いものを作り上げていく必要はあるものという風に考えておりますし、特段支援の必要でない子ども・若者に対しても、経験値を上げるような様々な支援、社会教育的な支援だとか、そういった学習の場・学びの場を豊富にしていくってことも、一方で必要なことだという風に考えております。
こうしたことをですね、今回のこども計画の中でどういう表現で盛り込んでいくのか、なかなかちょっと今の段階で具体的には書き込めないところはありますが、問題意識としては私としては 佐藤議員がおっしゃるようなご指摘は認識してるつもりでございますので、所管ともよく協議しながら何らかの形でこども計画の中にしっかりと位置づけられるように取り組んでいきたいと思っております。
佐藤ま)答弁ありがとうございました。時間が限られているとはいえ、子ども・子育て会議の委員さんたちだけではなく、関係者の熱意にもしっかり答えていただいて、納得いく計画にしていただいて、策定後のブラッシュアップも大事だと思いますので、そこも丁寧に重ねていただくことお願いをして私の質問を終わりたいと思います。