生きていて良かった、と思える死を迎えられるように…

土曜午後に開かれた市主催の「自殺対策シンポジウム」。

NPO法人自殺対策支援センター ライフリンクの清水康之さんのお話を地元の公民館で聴ける日が来たことには込み上げるものがあったけれど、これを機に東村山市が本気で対策に取り組むのか否か、それはまだわかりません。

第2期の対策計画のサブタイトルにも、今日のこの舞台上の看板にも書かれた「地域で『生きる』を支え合うまち」。

これを本気で進めるなら、 担当の健康増進課や健康福祉部、という話ではなく、「すべての政策の土台」を全庁的に築き直すくらいの覚悟が無ければできないと思います。この日の大義と言えることは、「自殺対策は、自治体にとって目的ではなく、命を支え合うまちをつくるために欠かせない手段だ」ということだと私は受け止めました。

基礎自治体が本気で取り組めば自ら命を絶つ人が減ることは足立区や荒川区等に学べば明らかで、それは掛け声や気持ちも大事でないとは言いませんが…

対策を着実に進める仕組みとそれに見合った人の配置、市附属機関のレベルアップ、政策サイクルの確立等々、具体的な仕組みやルールを整えることなしに進むはずがないのです。

この日、清水さんのお話を聞き漏らすまいとメモを取りまくりましたが、特に首がもげるほどに頷いた点は…「連携・ネットワークは性悪説で考えるべき」という指摘です。他の附属機関と同様、「いのち支える自殺対策推進協議会」も「連携・ネットワーク」を繰り返すだけでお題目に留まっていることが、実質的な動きに繋がっていないことの大きな要因だと考えてきました。

「言葉だけに留まるリスクを常に踏まえながら検証し、できていないならしっかり進めていく。停滞していないかチェックを繰り返し行っていくこと。市長が旗振り役を担って地域づくりとしてやっていくことが重要」という清水さんのご指摘が、市長、教育長、座長の胸に深く刻まれたことを祈る思いです。

清水さんはパネルディスカッションの最後にこんな話をされました。「ポイントは、生きるを共に支え合う、ということ。誰もがいずれ死を迎えるが、大切な人との別れは避けられない。誰もが限られた命を生きている。一瞬一瞬がかけがえのない時間。生きていて良かった、と思える死を迎えられるように…というのが自殺対策の本質。支援を通じて地域を支援し、支えられる地域を創っていきましょう」。

また市長は、「市でこのような自殺対策のシンポジウムを開いたのは初めて。平成27年に49人が自ら命を絶ち、その後も減ったとはいえ20人台後半が毎年続いている。救える命を何とかしたい。めぐりめぐって自分だって「助けて」という立場になるかもしれず、固定的な関係ではない。素直に助けてくださいと言い合える、そんなときは何とか助けてあげられる地域づくり社会づくりを進めていきたい」と締めくくりにおっしゃいました。

東村山市は今年1月、ライフリンクと「自殺対策SNS等地域連携包括支援事業における『連携自治体事業』協定」を令和7年1月15日に締結しました。SNSを通じてSOSを出した方が、ご本人の承諾を得てということになりますが、公的な機関に繋げるルートができたことは大切な取組みですし、思いとどまる方が一人でも増えることを願って伝えていきたいと思います。同時に、相談が市に来た際にどう対応するのか、その仕組みや実際の動き具合が役所中で共有、理解され、実際に機能するまで落とし込まないとなりません。

第2期計画が画餅に終わることのないよう、どうすれば掲げた対策が進むのか、議会としても議論を深めなければいけないと思いますし、やれること、やるべきことがあると考えています。

入れ込んできた問題だとつい語気が強まってしまいますが、こうして開かれた場が設けられ、100名ほどの方たちが共に第一人者のお話を伺い、市としての決意を聴けたこと、対策の重要性を共有したことは大事な一歩に違いありません。ご担当には感謝したいと思いますし、私自身ももっと頑張らねばと思っています。

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