自治日報に掲載いただきました

★自治日報★の3面「議会」欄に「議会同士の切磋琢磨をエンジンに」と題した拙稿を掲載いただきました。

編集部から送っていただいた現物を開いてみると、1面には敬愛する松本武洋さんの稿。同じ号で光栄です。

さて、議会改革という言葉に出会った2007年。あれから15年~

4年毎に顔ぶれが替わる定めの中、改革のサイクルを継続できる議会なのか、うちのように瞬間風速は吹いたけれどいつの間にか後塵を拝す議会なのか。その違いはどこにあるのだろう?と考える日々の中、原稿依頼をいただいたので、そんな文章になりました。

論考などとはとても呼べない雑感みたいなものですが、自分の考えを整理するには大変ありがたい機会でした。お声がけをいただき、どうもありがとうございました。

掲載の許可をいただいているので、画像としてアップし、以下テキストで全文を掲載します。

議会同士の切磋琢磨をエンジンに (自治日報2022年12月5日 3面)

先日、「議会に関する視察」を久しぶりに中京と関西の議会から受ける機会に恵まれた。テーマは「議会報告会」と「政策提案」に関するものが多く、コロナ前から通算すると全国から50議会ほどをお迎えした。複数の議員で対応して説明するが、醍醐味は後半の意見交換にある。私たちよりよほど活発に活動されている議会も少なくなく、視察の受け入れは居ながらにして学べるありがたい機会であり、議会同士の貴重な外交の場である。全く先駆的な議会ではないが、学び合い高め合う相手として、ぜひ東村山市議会へお越しいただきたい。

○議会報告会を継続する意味

東村山市議会が2年半の議論と作業の上、議会基本条例を施行したのは2014年4月のこと。「市民に開かれた議会」を掲げ、傍聴の際の住所や氏名の記載廃止、傍聴席での録音・録画の自由化、請願者・陳情者の陳述の制度化等を行うと共に、議会報告会様々な手法やテーマでトライ&エラーを重ねて3か月ごとに継続してきた。(➡https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/gikai/katsudo/gikaihoukoku/index.html

2020年春にコロナで一度止まったが、休まないことが市民との約束と考え、8月からは手持ちの機材でyoutubeによる録画配信を、そして今年2月からはグループでの意見交換もzoomを活用して復活することができた。11月には久しぶりに会場で開催できたが、オンライン継続を望む多くの声に応え、併用とした。緊急避難的に始めたオンライン開催だったが、忙しい現役世代や、子育てや介護で会場へ出向けなかった、参集するほど熱心ではないが気にはなっていた…といった、それまでとは明らかに異なる層に参加を広げることに繋がった。

8年半前の開催当初、私たち議員は答える側に回ると途端に力不足が顕在化し、市長部局に日頃偉そうに求めている「説明責任」を果たすことが容易ではないことを学ぶこととなった。「議員数を減らせ」「給料が高すぎる」という参加者に定数や報酬を尋ねると、「知らない」と答えた。「責任者の市長がなぜいないのか?」と問われたこともある。地方自治・市議会の仕組みを説明する数分のスライド「ようこそ!議会報告会へ」を急きょ作成し、次の回から冒頭に上映することにした。

議会報告会の定期開催は、住民に議会や地方自治を理解してもらい共に考える大事な機会であり、私たち議員のコミュニケーション力を鍛えるために不可欠な場でもある。

○議会同士の切磋琢磨をエンジンに

 初の議会基本条例が北海道栗山町議会で誕生して16年、北川正恭早稲田大学名誉教授が三重県知事時代にマニフェストを提唱して来年で20年。この間、議会間での善政競争が伝播し、機能強化のサイクルを確立できた地方議会は、目的である住民福祉の向上へ一丸となって歩みを進めている。翻って私たちは…2012年に419位だった全国議会改革度調査(マニフェスト研究所)では、議会基本条例施行の翌年に32位まで評価を高めたが、以後は下降を続け、直近では300位手前となった。何かを後退させたわけではないが、改革マインドをビルトインした全国の議会に追い抜かれ続けた結果である。

 社会は刻々と進化していて、地方自治の世界も例外ではない。今年のマニフェスト大賞も、受賞者はいずれも圧巻の実践で、特に最優秀議会改革賞に輝いた会津若松市議会と、ローカルマニフェスト大賞「議員・会派の部」に輝いた自由民主党横浜市会は、今回も他の追随を許さない取り組みであった。審査委員の廣瀬克哉法政大学総長や江藤俊昭大正大学教授が講評で口を揃えておられたのは、「現状を維持しての受賞ではなく、高い改革意識ゆえのさらなる挑戦、進化の結果」ということだった。

○いつも「なんのため」に立ち返りながら

20年間ずっと完全な無所属として議員を務めてくる中で、4年ごとに顔ぶれが替わり、多様な考え方が共存する地方議会で、「なんのため」に議会改革に取り組むのか、というミッションを共有し、進化させる難しさを日々痛感している。

成功体験が重要ではないかと考え、ここ2年は特に、議員より議会として成果を上げることを重視し、所属する常任委員会では「投票率向上策」を所管事務調査に定め、オンライン市民アンケートの実施や、佐藤淳青森大学教授、可児市議会、取手市議会とオンラインで結んでの勉強会を重ね、選挙管理委員や教育委員会との意見交換も行ってきた。議会基本条例で定めた「政策研究会」を超党派で立ち上げ、市内にある国立ハンセン病療養所「多磨全生園」の将来構想に議会はどう関わるべきなのかをテーマに関係者との対話も続けている。

来春は選挙を迎える議会が多い。公共施設の統廃合や負担増など、厳しい選択が待ち受けているのに、「アレオレ詐欺(あれはおれがやった)」候補が増えないことを願うばかりだ。おいしい話ができる時代ではないし、そもそも議員一人で成し得ることなど、実はほとんどないのだから。「チーム議会」として、正義(Justice)より公平・公正(Fairness)を重んじ、考え方の違う議員同士が対話と討議を重ね、合意形成を図り、住民にとって少しでもベターな解を導き出す。そんな議会をつくりたい。議会のレベルが自治体の未来を左右する時代になっている。

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