ヘイトスピーチ(憎悪の煽動)に反対し、根絶のための法整備を求める意見書

11月28日から続いて来た12月定例議会が先ほど閉会しました。

今議会に提出された市長提出議案16件、議員提出議案2件、委員会提出議案2件、請願1件は全て可決、陳情16件のうち採択11件&不採択5件となりました。
いつも速報的にお伝えしている各議員の賛否一覧については、ただいま整理中ですので、後日急ぎアップします。

ここでは、私が提起させてもらって各会派に検討いただき、最終的に議員提出議案として提案、本日の本会議で全会一致で採択された「ヘイトスピーチ(憎悪の煽動)に反対し、根絶のための法整備を求める意見書」について書きます。

新大久保のデモや京都朝鮮人学校での事件を挙げるまでもなく各地で深刻化しているヘイトスピーチ問題であり、同様趣旨の意見書を国立市議会が9月に採択して話題となりましたが、私が意見書提案を思いついたのは、ヘイトスピーチ問題が決して東村山にとって他人事ではないという強い思いがあってのことです。

というのは、最近では昨年の今日、12月議会最終日に可決成立させた「みんなで進めるまちづくり基本条例(いわゆる自治基本条例)」制定の過程において、自治基本条例に反対だとする方々が条例担当の所管や議会へあしげく来られたり、街宣車を出して「条例は危険だ」と喧伝を重ねたりということがありました。市が募集したパブリックコメントには、中国人や朝鮮人に国を売るのか?等という意見も含め、大変多くの意見が全国から寄せられました。

また議会基本条例を施行した東村山市議会として開催している「議会報告会」の8月の会に来られた10名ほどの方たちが、「市民の定義を明確にしないのはおかしい」と重ねて質疑をされ、「東村山市議会は朝鮮人でも意見を聴くのか?」等という発言を盛んにされるということも起きました。

もちろん、これまでもこれからも参加も発言も自由ですが、威圧的な空気で排他・排外的な発言を繰り返すことに対しては、誰の発言も参加も保障するという議会の当たり前の使命として、誠実かつ毅然と対応することが必要だと考えています。

さらに加えれば、今から6年前の2008年9月1日の東村山駅東口駅頭に、その後の外国人排斥、ヘイトピーチ活動で中心的な存在となった在特会や主権回復を目指す会、政経調査会等の団体の有力者の方たちが一堂に会するということが起きました。

人権派をかたり、アムネスティや市川房江さんとのつながりを自称する現職の市議会議員2名を囲むように、行動する保守と言われる方たちが並び、日の丸が立つ中でかわるがわるマイクを握って演説をされていました。大きな音がスピーカーから流れ、近くにある洋品店は怖い思いをされる等、駅前は東村山とは思えないような不穏な空気に包まれました。

今では別々に活動されている方々も多いようですが、行動する保守オールスターとも言える方々でしたし、ヘイトスピーチの原点の一つになったのではないか、と思えてなりません。

私は、この東村山から、人権を無視した差別的な言動の一切がなくなることを心の底から願っています。

排他・排外主義からは何も生まれないと思っています。

日本人も外国人も、男性も女性も、子どもも大人も、富める人も貧しい人も、障がいのある人もないと言われる人も、住所を有する人も他市から通勤や通学をされている方も、どのような職業にある人も職のない人も…一人ひとりが大切な市民です。

誰も排除しない、のけものにしないで、力を合わせてまちをつくっていく。

一人ひとりが当事者であり、主体であるわけで。

ということで、自治基本条例にも議会基本条例にも反対した先に述べた2名の議員も今日は起立して賛成の意を示したことはよかったなぁ、と思いつつ、意見書全文を以下アップします。

 

ヘイトスピーチ(憎悪の煽動)に反対し、根絶のための法整備を求める意見書

全国で蔓延するヘイトスピーチ(憎悪の煽動)は、それ自体が暴力であり犯罪であって、国連人種差別撤廃委員会は本年8月29日、日本政府に対する最終見解の中で以下のことを勧告している。
(a)集会における憎悪及び人種主義の表明並びに人種主義的暴力と憎悪の煽動に断固として取り組むこと
(b)インターネットを含むメディアにおけるヘイトスピーチと戦うための適切な手段をとること
(c)そうした行動に責任のある民間の個人及び団体を捜査し、適切な場合には起訴すること
(d)ヘイトスピーチ及び憎悪煽動を流布する公人及び政治家に対する適切な制裁を追求すること
(e)人種差別につながる偏見と闘い、異なる国籍、人種もしくは民族の諸集団の間での理解、寛容及び友好を促進するために、人種主義的ヘイトスピーチの根本的原因に取組み、教育、文化及び情報の方策を強化すること
政府においては昨年5月、安倍首相並びに谷垣法相(当時)が相次いでヘイトスピーチに対する懸念を公式に表明している。
しかしながら、我が国の現行法で対処できるのは被害者が特定できる場合に限られており、不特定多数に向けられたヘイトスピーチに対する法規制はない。実際、その後も全国各地で繰り返し行われるも、何ら対策は取られていない。
これらの状況を踏まえ、東村山市議会は、政府が全国で蔓延するヘイトスピーチに毅然とした態度で臨み、一日も早くヘイトスピーチを根絶するための法整備を進めることを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成26年12月18日

東村山市議会議長 肥沼 茂男

総理大臣殿
法務大臣殿
外務大臣殿
国家公安委員会委員長殿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)