説明責任と納得感

7月2日(火)の6月議会最終日に審議予定の「一般会計補正予算1号」には、大きく3つの要素が入っています。
①情報化推進事業費…法改正に伴うシステム開発委託料(約1,250万円)
②幼児教育・保育無償化に関連する予算…主に認可外保育施設利用支援事業補助金の拡充。対象者が減り、金額が増えるため、総額では殆ど変わらない。 
③クールチョイスを推進するための予算…市のグリーンバスにラッピングをして普及啓発に資する。補助金57万円ほどで行うので市の持ち出しはない。
④運動公園のSLを解体撤去するための予算…アスベストが確認され劣化も著しいので、約2,030万円かけておこなう。

このうち、市の単独予算で行うものは④のみです。

一般会計補正予算が年間通じて頻繁に提案される自治体も結構あるようですが、東村山市では9月と3月議会で出され、時折12月。年度始まってすぐの6月というのはかなり珍しいことです。
これは毎年3月に審議して決定する1年分の当初予算の中に、計画されている内容はほぼ収められているということであり、災害対応などを除いては計画的でない出費や、声の大きな議員等からの横車や思い付きで計上されることはない、という点で正しい姿だと考えてきました。
今回、この時期に市費のみの負担で新たに2,000万円というのは、よほど急がないといけない差し迫った事情がある、ということだと考えるべきなのだと思います。

私は20年弱前に他市から移り住んできたので、このSLが今から43年前の昭和51年10月、東村山市の強い要望を受けた当時の国鉄から貸与という形で設置され、その後は多くの市民が運転席に乗り込んだり直接触れたりして大変親しまれたことや、老朽化から周囲に鉄柵が設けられて立ち入り禁止になって久しいといった経過については、後で知ったに過ぎず、自分ゴトとしては承知していませんし、特段の愛着もないというのが正直なところです。

そもそもは、維持補修の方針も決めずに誘致、設置したことが問題だったと思いますし、一度塗り替えたことがあるらしいのですが、その後は朽ちるに任せてきた代々の市当局の姿勢も無責任であったと言わざるを得ないと思います。

今日も実際に改めて見てきましたが、このまま放置しておいてよい状態でないことは明らかですし、「アスベスト含有材料が露出しており、飛散の危険性がある」「線路枕木が劣化し、地震時に脱輪する危険性がある」「補修する場合には1億2千3百万円かかる見込み」と6月7日の施政方針で市長が述べている状況を考えれば、「撤去することも視野に入れて早急に結論を出したい」とその時に述べていたことも理解できると思っています。

しかし…です。
「緊急調査の結果、アスベストの飛散はない」とも述べており、地震はいつ起こるかわからないということもありますが、ことの進め方として本当にこれでよいのか?という点がいくつか気になって仕方ありません。

それはまず、市として積極的に誘致、設置し、ある時期までは市民…特に地域の方たちには大変親しまれた歴史があり、愛着を持っている方も少なからず居ることがわかっている施設を「たたむ重さ」を、もう少し真摯に受け止めるべきではないか、ということです。
これは今後、公共施設を整理統合・廃止したりしなくてはならなくなることを考えても、悪しき前例にしてはいけないのではないかと思うのです。
今回のケースは、長年放置してきた責任への言及や、今速やかに解体撤去することがベストの選択であるならば、その根拠となる調査結果の公表や、市民への説明や意見聴取等、理解を得るための努力が不可欠だと思います。

もちろん、一定の金額を掛けてでも保存すべき、とか、金を掛けずに保存する手立てをもっと考えるべき、という方もいらっしゃるでしょう。
現状と今後の維持を考えたら速やかに撤去を、という意見も多くあるでしょう。
時間の制限はもちろんあると思いますが、それらを市がどう受け止めて、今回のこの異例ともいえるスピード感で解体撤去を政策判断として議会に提案してきたのか?

廃止や撤去に反対する声に乗っかって騒ぐだけであれば大衆迎合ということになると思いますが、私たち議員や市長は政治に携わる立場ですので、「納得感」というものも大事にしなくてはならない、ということではないかと思います。

そして、もしこの予算を可決させるのであれば、「決めたのは議会」ということになって説明責任の主体は市長から議会に移るということを、私たち議員一人ひとりが肝に銘じて、最終日の審議に臨むことは最低限の責任だと考えています。

皆さんはどうお考えになるでしょうか?
私ももう少し考えてみます。

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