「実効性ある受動喫煙対策」を求めて~議会から市長・教育長への提言

4年間の議員任期が間もなく折り返しとなるため、来月5月21日(金)の6月議会初日までには、正副議長以下のすべての議会人事を一新して後半2年間に臨むことになります。
そのため3月議会では、所管事務調査事項を設定していた生活文教委員会(土方桂議員)と厚生委員会(私)が本会議場で委員長報告を行ない、議長に提出、終了しました。さらに今回は、両委員会とも市の施策への反映を求める内容であったことから、議長と共に委員会全員で、渡部市長と村木教育長に提言書を手渡しました。今後の施策に反映されることを願っています。

生活文教委員会は「誰もおきざりにしない教育環境整備のために」として、外国にルーツのある子どもと保護者への施策拡充を求めた内容でした。

では遅くなりましたが、3月議会最終日に行った厚生委員会の委員長報告「実効性ある受動喫煙対策について」を以下記します。

厚生委員長報告 「実効性ある受動喫煙対策について」 

厚生委員会では、令和2年3月議会において、「実効性ある受動喫煙対策について」を所管事務調査事項に定め、調査研究を重ねてまいりました。今般、一定のまとめを図ったことから、この場でご報告申し上げ、本件について終了といたしたく存じます。以下、ご報告いたします。

1.経過

▶令和元年9月定例議会において「東村山市受動喫煙防止条例の制定を求める請願」が当委員会に付託されました。願意は、「市民の理解と協力のもと、受動喫煙による健康への悪影響から市民の命と健康、とりわけ通学路での受動喫煙などから子どもたちの命と健康を守るため、受動喫煙防止条例の制定を求める」というものでありました。

▶請願はその後、請願人の都合で取り下げとなりましたが、2年2月開催の議会報告会の中で、当委員会は「どうする?受動喫煙対策」をテーマとして、参加した市民と意見交換をしました。

そこでは、施行から10年以上が経過している路上喫煙防止条例の検証、都条例がカバーしきれていない通学路や学校敷地に近いところでの禁煙の徹底、子ども達への配慮区域を決めた対策、東村山駅東口の喫煙所周辺の問題点、菖蒲まつり等のイベント時の分煙対策の徹底、健康増進の観点からの禁煙啓発の強化、たばこ税の医療費増や分煙対策への活用等が参加者から提起されました。そこで厚生委員会では、直後の2年3月定例議会で、本件を所管事務調査事項に設定しました。

▶4月、5月はコロナ禍で委員会を開催できませんでしたが、7月の委員会での意見交換の結果、受動喫煙防止条例を制定している多摩市の取組みに学ぶことが集約されました。当初は現地への視察を検討しましたがコロナ禍で難しかったため、多摩市の所管に対して書面での質問をお願いし、丁寧な回答をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。

多摩市は、環境美化条例からスタートし、議会の決議が引き金となり、受動喫煙対策を包含した条例として令和元年に受動喫煙防止条例を施行して現在に至っています。条例化によって市民の健康への意識を高めることが大きな狙いであり、都条例が触れていない市内の公園や学校周辺の道路を全面禁煙としているほか、喫煙者に対する禁煙治療費の助成、学校教育や多方面での啓発活動等、目に見える政策、予算化を行っていることがわかりました。

▶9月定例議会中の委員会では、当市の公園や通学路での対策状況や市民からの喫煙所設置要望の状況、健康増進の側面からタバコ対策の必要性、禁煙治療への助成制度へのニーズなど、所管に確認すると共に、市民の声を改めて聴くべきとする意見が大勢を占めました。

11月、そして12月定例議会中の委員会では、路上喫煙防止の所管である環境安全部環境住宅課にヒアリングを行うとともに、さらに意見交換を重ね、市民アンケートを実施することを集約し、コロナ禍の対応としてオンラインで行うこととしました。

▶年明けの本年1月12日~2月1日まで実施したアンケートには、141件の回答をいただきました。この場を借りて、ご協力に感謝申し上げます。

その内訳を見ると、20代から70代以上まで幅広い方が回答くださり、男女比はほぼ7:3、タバコを吸わない方が46.8%、吸っている方が31.9%、かつて吸っていたが今はやめている方が21.3%となりました。全国平均の喫煙率が18%くらいなので、吸っている方がかなり答えてくださったことになります。

東京都受動喫煙防止条例の認知度は87.9%で、効果が上がっている、ある程度上がっているとした方が54.6%、上がっていないとした方が12.1%。受動喫煙対策が不足している場所はどこだと思うか、という問いには、駅前が最も多く、次いで公園、学校の周辺や通学路、と続きました。

喫煙できる場所については、「適切に整備されている」と答えた方が16.3%、少ないとした方が56%。喫煙所の整備が必要な場所を尋ねたところ、駅周辺、大きい公園、大型商業施設、これ以上は要らない、という順になりました。 「受動喫煙対策として必要なこと」という問いに対しては、公共の喫煙所の増設がトップで、次いで禁煙教育や啓発の取組み、禁煙外来への補助制度、公共の喫煙所の廃止、と続きました。

▶本年2月と3月定例議会中の委員会では、これらの結果も踏まえ委員間で協議し、次のようにまとめました。

1.公共の場所における安全の向上及び美化の促進を目的とした「路上喫煙防止条例」制定から13年余りが経過し、一定の成果を上げていることを評価しつつ、これまでの取組みの実効性や課題についての検証を行い、さらなる深化に繋げていただきたい。

2.現在、市が主体となった健康増進法を土台とした対策は、地域保健計画の中で「たばこによる害を受ける人の割合を減らす」と記されるに留まっており、「取り組み内容」も具体的な目標を伴わないものになっています。また、都条例による取組みは徐々に進みつつありますが、それだけでは市民の健康増進、健康被害防止には十分とは言えない状況です。 

当委員会としては、約1年間の調査、検討を踏まえ、具体的な施策として、以下4項目の実現が図られることが必要と考えます。

1)市民に対する受動喫煙による健康被害についての啓発と、学校教育における早期からの禁煙教育の強化。

2)都の受動喫煙防止条例や市の路上喫煙防止条例がカバーしていない公園や通学路における受動喫煙対策の強化。

3)喫煙者と非喫煙者が共存できる地域社会の実現のため、分煙対策の充実・強化と、それに必要な財政措置。

4)市民の健康づくりを一層進めるため、禁煙治療への補助制度の創設。

▶市民の健康を守り、つくる立場である基礎自治体として、国や東京都任せにすることなく、さらに主体的に健康増進法に基づく受動喫煙対策に取り組んでいくことが肝要と考えます。

以上、当委員会として、本報告を議長に提出すると共に、市長部局におかれましては今後の当市の施策の拡充にあたり、ぜひ参考にしていただくよう要望として申し上げ、報告といたします。

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