レポート93号に掲載している記事のうち、3月議会で行った一般質問のハイライト部分をテキストでも以下アップします。
▶保育を必要とする人が増え続ける中、東村山市では待機児童解消にあの手この手で取り組んできました。しかし同時に、国が制度変更を重ねて自治体も追従した結果、保護者の利便性は向上した一方で、何より重視されるべき子どもたちにとっての「保育の質(中身)」の視点が置き去りになり、議論されることさえなくなってきていました。
幸いこの間、当市では保育中の死亡事故は起きていませんが、心配される事例は見聞しています。平成15年には個人立の保育園計画をめぐって大きな問題が起き、市はこれを教訓に自ら「私立認可保育園設置ガイドライン」を定め、量の拡大と共に質の維持・向上に取り組むとしました。
しかし実際にはガイドラインは表舞台から消え、開設へのハードルは下がり、施設長会議は形式化し、指導検査や市保健師の巡回等も激減。コロナ禍での困難さを差し引いても、憂慮される状況にあると感じてきました。
保育の現場に携わってきた経験からも、3月議会の一般質問は、保育所の問題に絞り、これまでの経過を確認すると共に、児童福祉法における保育の実施主体である市の姿勢を質しました。
質問と答弁(抜粋)
佐藤) 武蔵野市、流山市、世田谷区等では、近年になってから保育の質のガイドラインを策定している。先駆けて作られた当市ではいつの間にか無くなっているが、子ども・子育て会議等には諮ったのか︖
子ども家庭部長) 平成29年、子ども・子育て会議で「積極的な認可行政を進めていく」という中、ガイドラインの改正を諮ってはいないが、趣旨をご理解いただく手続きは済ませている。
佐藤) 変えるのならちゃんと変えるべき。骨抜や勝手な解釈につながりかねず、取り扱いとしておかしい。 内容と共にそのやり方が問われたのが当市の教訓であり、オープンに進めて公の議論にかけることを決めたはず。 市は保育の実施主体として、質の向上に強い責任感を持って取り組むべきだ。
子ども家庭部長) 待機児童対策として0~2歳児の受け皿整備を進めてきたが、保育の質の維持向上は、地域の事業者と共に考え、共に決めることが肝要。 道半ばだが少しずつ形になってきている。 一方、地域の事業者と作り上げた保育に関する合意事項について、見える形で示せていない面がある。利用者にどうすれば還元できるか、エリアの枠組みも活用し、市総体としての保育の質の向上を進めていきたい。
佐藤) 保育園は今後、子育て支援の核として、親が働いていなくても預けられる施設になっていく可能性がある。 小規模認可にも子ども・子育て会議に入ってもらい、同じ場所で議論していくべき。 保育園を地域の子育てインフラとして機能させることが重要であり、そのためには横の繋がりを作り、みんなでレベルを上げる取り組み市として手掛けてほしい。
渡部市長) ガイドラインの精神は活かし、市のベテラン保育士が地域担当としてエリアの民間園を巡回しながら保育の質の維持、底上げを図る枠組みは作ってきた。 「保育施策の推進に関する基本方針」を作って施策展開してきたことは間違いではなかった。 多様な保育施設があるので、一定の考え方を整理しながらまとめていきたい。 保育施設をつなぐだけではなく、ご指摘やご提案の点も含め十分検討させていきたい。