せっかく作るならちゃんとしたものにしてほしい「生涯学習計画」

行政には実に多くの計画があります。

現在の東村山市の場合は、最上位にあたるのが第4次総合計画であり、仕組み上はその傘下に各分野別の計画があり、それに沿って日々運営されています。

公が計画もなしに事業執行をすることはそもそもあり得ない話ですが、渡部市長も「政策(目標)なくして計画なし。計画なくして予算なし」と訓示したと先日ツイートされていました。

ということで、「東村山市生涯学習計画」です。東村山市としては初めて策定します。

 

私も所属する生活文教委員会で6月に「所管事務調査事項」と決め、実質的には9月議会(9月18日)で公式な状況報告がありました。

所掌する社会教育課長からはまず次のペーパー【資料1】で体系の説明がありました。

この図からわかることは、今回の計画は、従来の社会教育分野を指す狭義での生涯学習ではなく、40にも及ぶ市の分野別各個別計画を包含する、つまりは市の事業全般にわたる広義でのものだということです。

 

そして、次のような【資料2】に沿って説明は続きました。

課長は、「総合計画や各分野別計画との整合性をとる」「教育分野だけに着目せず、体系として網羅し、理念を示したい」とし、課題整理については「総合計画策定時のワークショップでの意見、社会教育委員からの意見、生活文化課が実施した男女共同参画についての市民アンケートの意見、行政経営課の市民満足度調査、等からヒントを抜き出してまとめた」と説明。

これに対し、自民党の石橋博議員が質疑の上で「あと半年で策定というのは厳しいのではないか。1年ずらしてはどうか」「説明からは、何が課題となっているのかわからない」「現状の課題と分析があってはじめて計画づくりになるはず。市民の学習ニーズの実態に照らさないと。市の現状と課題を踏まえたものでないと危惧を感じる」と発言。

石橋光明議員(公明)も何点か疑問を呈し、最後に私も様々な懸念を伝えました。

特に、各分野の計画をもとに、と言って策定作業を担う社会教育分野に自前の計画が存在しないことの問題点を強く指摘しました。

この間、東村山市において社会教育分野の拡充が進んだと感じることは私はありませんし、特にその中核をなすはずの公民館は、有料化以降の利用率低迷が続いています。なんでも無料がよいとは思いませんが、税金で建設してとっくに償還も済んでいる古びた建物の減価償却費まで使用料に含んだ有料化は東村山だけです。

障害者や子どもたちの団体等への減免措置も廃止されたままです。

顔となるべき中央公民館1階の展示ホールは、数日間借りると万単位となるために借り手が激減し、洞窟のように真っ暗な日がしょっちゅうあります。

4つある地区館での企画作業の取りやめによって地域の学習要求へのアンテナはさらに鈍りました。

それもこれも、自前の基本計画を持たずに行き当たりばったりとも言える施策展開を続けてきた結果だというのが私の見方です。

この日示された上記の資料は、コンサルタントではなく所管として作成されたものだそうで、それはそれで評価したいと思います。が、「知の循環型社会」などという聞きなれないフレーズは文部科学省の資料から引っ張ってきた後に、東村山市としてどう咀嚼し、自分のものにしたのかが見えてきません。

 

これに対して渡部市長は…

「総合計画策定時のワークショップから、生涯学習についての計画がないことに対して意見が出された。重いテーマと受け止めた。高齢化が進む中、いかに孤立させないコミュニティをつくるかという点でも生涯学習の担う役割は高い。

一方で施設の老朽化が進んでおり、全体の再生計画の中では各施設のあり方を再定義する必要が出てくるだろう。公民館等の社会教育施設以外にも、憩いの家、ふれあいセンター等様々な施設があるが、市民がどう意識し、どう利用されているかの調査をしていないので、基礎的資料の収集はあってしかるべきと思う。

多種多様な学習の機会をどう提供できるのか。協議会を立ち上げて具体的な議論にようやく入ることとなった。

残り半年で身のある議論ができるか、形だけの計画では意味がない、というご意見はもっともなので、進捗を確認しながら、今日のところはこのまま進めさせてほしいが、場合によっては軌道修正も考えるようかと思う」と答弁されました。(※会議録はまだないので、私のメモから起こした大意です)

 

あれから、ひと月。

私は、計画策定に重要なかかわりを持つ社会教育委員会議(9月26日)、公民館運営審議会(昨夜・10月22日)を傍聴してきました。

10月19日の会議は傍聴できませんでしたので、どれだけの進展があったのかわかりませんが、9月段階での社会教育委員会議での議論は、雑感程度の意見しかなく、甚だ心もとないものでした。

昨夜の公民館運営審議会は、第16期の最終日ということで、退任される川村会長から「公民館をもっと良くするために」という審議会委員による自主勉強会からの提言書が館長に手渡されました。

その中には、公民館の改善、刷新に向けた数多くの提案が示されており、直下の審議会がまとめられたこの中身を「生涯学習計画」に反映させようとするだけでも、市は間違いなく四苦八苦することになると思われます。

 

今週金曜日(26日)午後7時からは、まさにこの計画策定のために立ち上げる「生涯学習協議会」の第1回が、いきいきプラザ4階の教育委員会室で開かれます。

 

最後に、どうしても納得がいかないことを見つけたので、先ほど社会教育課長に連絡をしました。

それは、協議会立ち上げにあたっての「東村山市生涯学習協議会規則」です。

少なくとも9月の議会においてあれだけ各委員から策定スケジュールについて疑念が示され、市長も軌道修正の可能性を否定せずに終わったにもかかわらず、附則2で「 この規則は、平成25年3月31日限り、その効力を失う。」と明記しています。

この規則が教育委員会の議を経て確定したのは10月に入ってからです。

残念ながら課長からは明確な答えはありませんでした。もっと上の人に尋ねようと思います。

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)