子どもの貧困対策・自治体セミナー

「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク主催の「子どもの貧困対策・自治体セミナー」に参加してきました。

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最初は「あらかわシステムと荒川区の取り組みの現状~地域は子どもの貧困・社会排除にどう向かい合うのか」。
報告者は総務企画部企画担当の課長さん。福祉でも教育でもなく、企画の方であることに大きな意味があると思います。

以下、現場からのツイートをベースにメモを起こします。

荒川区の取り組み⇒・産後うつ傾向や育児不安等の症状を持つ親への精神科医による個別相談の充実・スクールソーシャルワーカーの配置・DVに関する知識や理解の醸成(職員向け講座等)・学びサポート事業の創設・家庭相談の充実等
担当課長さん談「関係機関の情報共有と連携がカギ」
「連携と言っても、単にシステムとしてつくるのではダメ。当事者にいかに親身に寄り添っていけるか。人対人、携わる者一人一人の対人スキルの醸成が重要」と。

うちの議会で「関係機関の連携」と答弁されるとき、しばしば課題の先延ばしや責任逃れを感じますが、「対人スキル」をどう高めるか、という明確な視点に納得。

続いて、足立区こども支援センターげんきの支援係・富山さんから「あだち・ほっとほーむ事業について」の報告が続いています。
これからのほっとほーむの存在意義とは、「最も不遇な児童の潜在能力を補償するため、オーダーメイドの支援を提供する」と。
そう言い切れるのは積み重ねゆえですし、本当に大事なことだと感じます。

参加者は約70名。自治体職員12名、地方議員11名、NPO関係11名、学生11名、省庁関係2名等…と報告。
質疑応答にうつりました。

質疑に答えて⇒
・要保護児童対策地域協議会に上がれば、個人情報の壁をクリアできるが、その手前のケースへの対応がむずかしい。
・かなり改善されてきたが、対策の一番の壁は学校であることが未だに多い。
・荒川区の「学びサポート」は年間約460万円の区単独予算で、希望する子どもたちが受けられる。

足立区でなぜ熱意が受け継がれているか?という問いに対して、
足立区では「チャイルドファーストドクトリン」が貫かれている。
虐待対応への緊迫感などから相談員のバーンアウトも課題だったが、チームとして乗り越えてきている。と回答。

若い区の職員さんがこんな風に話せるのはすごいと思う…。

荒川区から⇒義務教育を終えた後の子どもたちは誰もケアしていない現状。大きな課題と考えている。
足立区から⇒専門性を持った人材育成が重要かつ課題。
鹿児島ヒューマンネットワークの方⇒15歳以上の課題に、補助なしで通信制サポート校を始めた。不登校になった子どもたち20名通っている。

後半は「ひとり親家庭で育つ子どもへの支援~NPO等とつくる居場所づくり」について、京都府健康福祉部家庭支援課ひとり親家庭支援担当課長の白數さんから。
特に父子家庭の状況が厳しさを増している。お父さんは悩みを他人に言えない。特に娘とのことは難しい。
様々なツールで相談できる体制をつくってきた。子どもへの支援として「居場所づくり事業」を始めた。夏休み短期型(NPO法人等19か所)と通年型(NPO法人3か所)。
※京都府の取り組み

続いて「神奈川県:生活保護受給世帯の子どもの健全育成プログラム策定推進モデル事業について」。策定に携わった座長・首都大学東京の岡部卓教授から。

岡部教授の話⇒支援には3つのポイントがある。1.養育の支援 2.学習進学の支援 3.就労の支援(高校卒業の後)
基本は養育と教育。0歳から20歳まで。子どもを中心にして若者までを視野に入れ、すべての子どもを対象に考えている。
生活保護制度だけで子どもたちの貧困に対応するのは困難。高校中退した場合に教育扶助が受けられない等、制度上の問題も大きい。社会保障制度全体でゆるやかに支援できる方向が大事。

NPO法人山科醍醐こどものひろば」の村井さんからも発言。

質疑応答にうつりました。
白數京都府課長⇒我こそ、というNPOを公募して任せた。事業の推進に、地域に成熟したNPOがあったということは大きい。熱意を持った上司がいる、ということも自分にとっては大きな要素。

今日の集まりには、近郊はもちろん、鹿児島、京都、南魚沼…全国から強い思いのある方たちが駆けつけていることがわかりました。
率にしたら小さくとも、深刻な状況を抱えている子どもたちを懸命に支えている現場の方の話が続きました。

行政が学習支援に乗り出すことはもう必須、必然だと強く感じます。
特に、高校進学に失敗した子ども、高校中退した子どもへの支援については、現在は市はノータッチ。
しかし、引きこもりから生活保護へ進むのか、社会人として生きていけるのか、は大きな分岐点です.
その子が暮らす自治体として取り組みに責任を持つことがやはり重要なのだと確信を深めました。

岡部教授のまとめ
「子どもたちに選択の幅をどれだけ持ってもらえるか。
経済だけでなく、社会関係、文化等、いろんな選択ができるよう。
子どもたちに機会を提供すること。
全国各地で多くの実践、政策を知り合い、結集すること。
できることから一歩進めること。」

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