市の各種審議会や協議会には、「学識経験者」という枠がかなり用意されています。
今日の生活文教委員会で審議した「図書館協議会設置条例」や「公民館運営審議会条例」「ふるさと歴史館協議会条例」ではそれぞれの第3条(組織)に、(1)学校教育関係者 (2)社会教育関係者 と並んで、(3)学識経験者 とされており、図書館協議会では6人以内、公民館運営審議会では5人以内、ふるさと歴史館協議会では6人以内と定められています。
今日の議案は、それぞれの第3条に「家庭教育の向上に資する活動を行う者」という一項を入れることを含め、市の条例として改めて委員の要件を規定するというものでした。
「家庭教育の向上に資する活動を行う者」とは、2008年の社会教育法改正の時に初めて登場した概念のようですが、国は具体的には子育て支援NPOや子育てサークル、PTA、家庭教育相談事業に従事している方、子育て情報誌の編集者等を想定していて、今日の答弁でも、図書館では日頃より重点的に取り組んでいる子ども読書活動推進に携わっている方たちなどを念頭に置いているとのことでした。
条例改正としては、図書館協議会条例を例にとると、(1)学校教育関係者2人以内 (2)社会教育関係者5人以内 (3)学識経験者6人以内 であるところを、(3)家庭教育の向上に資する活動を行う者2人以内 を新たに加え、(4)学識経験者4人以内 と改めるということになります。
つまり、学識経験者という曖昧な枠のうち、2名を明確な中身に替える、ということになります。
他の審議会での話ですが、学識経験者の枠で委員となった方が初回のあいさつで「なにぶん畑違いの素人で何もわかりませんが、どうぞよろしく」などと言っているのを何度か聞いているので、「学識経験者ってナニ?」と疑念を抱くことがしばしばありました。
他にも、市の元幹部職員が「学識経験者」として名を連ねるということも少なくないのが実情です。
もちろん、押しも押されもせぬ学識経験者もいらっしゃるわけですが、今日の質疑でこのあたりを質すと、「確かにそういう面もないわけではない…」とある意味正直な所見も聞かれたりしたので、市の審議会や協議会、評議員会等、各種機関の状況を改めて確認しようと思いますし、見直しが進むことを期待したいところです。
ところで今回の条例改正は、国のいわゆる「第2次分権一括法」、正式名は「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」という長ったらしい名前の法律の施行を受けてのもので、これまで社会教育法や図書館法で規定されていた委員要件を、国の省令を参酌した上で自治体が条例で定めることになったためのものです。
なんて、やっぱり小難しいわけですが、要は各自治体が自分たちの判断で、より自分たちらしい委員の選定基準を設けてやってくれよ、ということです。
日野市ではこの際、「市民参画、市民協働の観点から」ということで「公募市民」をそれぞれの協議会に加えることを決めました。
国分寺市では、図書館運営協議会の委員構成を (1)公募により選出された市民 5人以内 (2)識見を有する者 3人以内 (3)国分寺市内の障害者団体の代表者 1人以内 (4)国分寺市立小中学校保護者の代表者 1人以内 と、特色あるものにしています。
この点で市の姿勢を確認しましたが、今後の検討は示されました。まあ、一概に公募が全てよしとは私も思いませんので、できるだけ15万市民の構成を反映した多様な顔ぶれを模索するよう求めました。
また東村山市では、図書館協議会がこれまで極めて大きな役割を担ってきたということがよくわかりました。
東村山市の図書館は、単に貸出業務だけでなく、子ども読書推進計画を着実に進めて全国的に高い評価を得ていたり、子育て支援の観点からNPO等と連携して様々な取り組みを進めているのですが、これらを可能にしてきた他市に無い一つの大きな特長に、館長が図書館司書であるということがあります。
高い専門性を有した職員が一貫して館長を務めてきた図書館ですが、平成12年に国は司書を必須としない法改正を行いました。しかしそんな時も、東村山市の図書館協議会は「館長は司書資格を有する者」であることの継続を明確に打ち出したそうです。
その後も、指定管理者制度の導入が行革の観点から検討された折には、質的な議論を深め、東村山方式とも呼べる運営方法を示したり、ネットでの貸し出し業務開始にあたって開館時刻を10時にするという提案には従来の9時半厳守を打ち出したりと、当市の図書館について継続的かつ専門的に追い続けてきた組織ゆえの高い見識を示し続けてきたことも、今日の質疑で確認できました。
ぜひとも公民館でも運営審議会に利用者代表や幅広い市民が入れる仕組みを模索してもらえたらと思いますし、停滞気味の運営が続いてきた現状を、今の館長のもとで転換できるよう期待したいところです。