例年よりも長丁場で、さらにいろんなことがあった9月議会でしたが、昨日19:40頃に閉会となりました。
全議員の賛否一覧や、最終日のゴタゴタ、請願・陳情の扱いの半歩前進等々、報告すべきことはたくさんあるのですが、今日は早速、佐賀県武雄市議会の議会改革等調査特別委員会の皆さんの視察を担当として受け入れたりしてあっという間に外が暗くなり…
まずは、昨日の本会議で行った厚生委員長としての報告について、その全文をアップしようと思います。
少し長いですが、お読みいただけると全容を掴んでいただけると思います。
尚、「委員長報告を議会事務局が書く」という議会がけっこうあることを知りましたが、東村山市議会では以前から委員長自らが書くことになっています。なので、当然自分でまとめました。
【30年9月定例議会 厚生委員会の報告】
去る9月20日(木)に開催されました厚生委員会では、付託された請願1件、陳情1件について審査を行い、それぞれ結論を出しました。また、所管事務調査事項1件について今議会をもって終了としましたので、順次ご報告いたします。
まず、「認可外保育施設保護者補助金増額に関する請願」です。
本請願は、国が平成31年10月に予定している幼児教育無償化に際し、認可外保育施設に関しては、保育の必要性が認められた3歳児から5歳児に月額37,000円を上限とした支給が予定されている一方、0歳児から2歳児では、課税世帯は対象外とされており、現在支給されている「認可外保育施設保護者補助金」が据え置かれると、子育て負担の世帯間による較差がさらに拡大することになる、とし、子育てをするすべての家庭が東村山市で安心して子どもを産み育てられるよう同補助金のさらなる拡充を求める、というものです。署名の要件を満たした685名は請願人と同列に、それ以外の219名は賛同者として扱いました。
各委員の質疑から
現在の同補助金は子ども一人月額1万円であり、都と市が1/2ずつの5,000円を負担しており、都の制度設計上は月額の上限4万円、都と市が2万円ずつ、としていること。
多摩26市では、当市同様の定額支給が12市、認可保育所の利用者負担のように所得に応じて階層別に支給している市が6市、認可保育所との差額分を支給している市が6市、独自の考え方による支給をしている市が2市あること。
31年10月から予定されている幼児教育無償化の詳細については国からまだ示されておらず、市としては情報収集に努めている段階であり、財源の負担含めてどのような影響が出るのかについては試算中であること
などが明らかになりました。
このあと討論にはいり、3人の委員から本請願の願意に沿った賛成討論があり、採決の結果、全委員の賛成をもって採択と決しました。
尚、本請願については、9月27日(木)に改めて委員会を開催し、会議規則第136条2項の規定に基づき、「執行機関に経過及び結果の報告を求める旨」の議決を委員全員の賛成をもって可決し、議長に報告をいたしました。
次に、「国民健康保険税のこれ以上の値上げを止め、誰もが払える国保税に引き下げることを求める陳情」を議題としました。
本陳情は、憲法に保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」と「平等に医療を受ける権利」を守る立場から、・これ以上の国民健康保険税の値上げを行わない ・繰入金の減額は行わない ・都と国へ補助金の増額を要請する ・過度な差し押さえは行わず、納税相談の機会を設け、生活支援も視野に入れる ・子どもの均等割りについて減額や免除を検討する という5点を求めるものでした。
今年度より広域化された影響、繰入金の推移、近隣市における多子世帯の負担軽減策の状況等について、質疑や意見が各委員から出されました。
討論は1名の委員が採択の立場で、3名の委員は不採択の立場で行いました。
採択すべしという立場の委員からは、年収200万円以下が8割を超える現状でこれ以上の国保税の引き上げは、市民生活を圧迫し、成り立たせなくしてしまう、というものでした。
不採択の討論はいずれも、国保税を引き上げないで済むのであれば誰しもそれに越したことはない、多子世帯の負担軽減策の必要性など理解する点もある、としながらも、国保財政の厳しい現状を踏まえ、将来にわたる国民皆保険制度の維持を考えれば、採択はできない、というものでした。
採決の結果、本陳情に対する賛成者は少数であり、不採択と決しました。
最後に、所管事務調査事項「障がい者への合理的配慮」については、昨年11月の兵庫県明石市への委員会視察や近隣市での動きなどを念頭に、昨年12月議会に調査事項とし、その後、鋭意進めてまいりました。
本年3月末には、議会全体の研修会として「地域共生社会と障害者差別解消法」を開催。講師には本市の障害福祉に関する市単独事業再構築検討会委員長や地域包括ケア推進協議会委員をお務めの永嶋昌樹日本社会事業大学助教をお招きし、障がい当事者や施設関係者、一般の市民にも参加いただき、共に学ぶ場となりました。
その後、6月議会では平成28年に障害者差別解消法が施行された際に策定された「東村山市における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」、本年4月に改定された「市民応対マニュアル」の内容や現状、この件に関する職員研修の状況、手話のできる臨時職員の配置、窓口でのコミュニケーションボードの活用等々、当市としての取組みを確認しました。
8月16日には、平成24年に「障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例」を制定し、28年に改正も行って各種施策を積極的に進めておられる八王子市へ出向き、条例の特色、条例制定による効果や変化、基礎自治体として条例を定める意義等について、ご担当の方からご説明をいただき、予定された時間を超えて質疑、意見交換をさせていただきました。特に、学校教育現場における積極的な展開や、誰にもわかりやすいハンドブックの作成、活用等、啓発、理解促進の取組みには大いに学ぶべき点がありました。一方、法律も八王子市の条例も事業者に対しては努力義務としている「合理的配慮」に関し、本年10月1日に施行となった(この段階では施行予定でありましたが)「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」では、「ねばならない」という義務規定とし、紛争解決の仕組みの中で「悪質な場合は勧告、公表を行う」と定めています。この不整合によって予測される影響については、都に先んじて仕組みを作り、周知・啓発に努力し、実際に市民からの声を受けて日々丁寧に対応されている自治体として困惑されている様子でした。
これらの経過を踏まえ、本定例会の委員会では、10月からの当市の対応、影響などを確認した上で、委員間の意見交換を行い、本委員会としての今回の調査については終了とすることで一致しました。
2006年に採択され、2014年に日本も批准した「国連障害者の権利に関する条約」、2016年に施行された「障がい者差別解消法」に加え、東京都の条例もこの10月1日に施行されました。これらはすべて「障害は個人にあるのではなく、社会にある」という社会モデルの考え方に立脚しています。当市においても、障がい当事者への支援拡充と同時に、周囲の理解促進と社会的障壁の除去へ向けた取り組みがいっそう進められることを願うとともに、私たち市議会自身も、内閣府及び日弁連に確認したところ、市役所同様に責務の対象であるとのことですので、このことを念頭に置いたさらなる取組みが求められていることを付言して、報告といたします。