当事者の声の大切さ~障がい児保護者連絡会との懇談会

昨日(25・土)は、保育園と児童クラブの障がい児保護者連絡会の皆さんとの懇談会に伺いました。
出席したのは、保延、大塚、村山、島崎、福田議員と私の6名。

毎年ほぼこの時期に全議員にお声をかけていただくこの会は、障がいを持ったお子さんを認可保育園と児童クラブに通わせているお母さんお父さん方から実情を直接伺い、課題意識を新たにするという意味で私自身にとって大変貴重な場となっています。

昨日もまず、「公的なサポートを利用することのメリットと社会の役割~移動支援の必要性について」と題して、NPO法人きらきら星Sayamaの障がい児者サポート事業サービス提供責任者の山口玲子さんから、現場のお話を伺う機会に恵まれました。

山口さんはまず、「東村山市では移動支援が月4時間までと先ほど聞いて本当にびっくりしました。じゃあどうしているんだろう?と思います。月4時間ではどうにもならないはず。考えを変えていただきたい」とおっしゃいました。

これは↓お母さん方が9市の担当者に直接聞き取りをしてまとめられた「移動支援支給状況」一覧です。
移動支援の支給状況(近隣9市)

ご覧のように、たとえば小学生の場合の1か月あたりでは、武蔵村山市の50時間を筆頭に、清瀬市25h、武蔵野市20h、西東京市16h、東大和市13.5h、東久留米市・小平市・小金井市が10hときて、東村山市は4hとなっています。
これも実は平成22年12月議会に保護者の皆さんから提出された「地域生活支援事業の年齢制限の廃止に関する請願」を昨年3月議会初日に採択したことを受け、市がようやくゼロから4hにしたものです。

請願の要旨にはこうありました。
「障害者自立支援法の地域生活支援事業である移動支援に関して、東村山市の支援対象者は身体及び知的・精神障害児に対して原則満年齢16歳以上との原則があります。また、日中一時支援では就学前あるいは満18歳以上が利用の対象となっています。
この年齢要件を撤廃し、全ての障害者(児)を対象としていただくよう請願いたします。地域生活支援事業の利用要件に関しても柔軟に適用して下さるよう併せてお願い申し上げます。」

それまで東村山市では、平成17年2月に出された「支援費支給決定基準について」という報告書内に「義務教育期は親が子どもをみるべきもの」とされていることを盾に現状を肯定してきたのですが、保護者の皆さんが抱える厳しい現実や子どもたちの成長の可能性を阻んでいる実態を前に、ようやく年齢制限無しの月4時間支給に舵を切ったわけです。

昨日の会では、支給が開始された昨年10月以降の状況=「全く足りずに本当に困っている」実態をつぶさに伺うことができました。

講師の山口さんからは
・生活と仕事(学校)に加え、人間には「余暇」が不可欠。障がいのある子には難しい面があるだけに、育てることが本当に大事。しかしその子の特性がわからないと育っていかない。ただ外に連れ出せばよいということでもない。
・サポートを受けている人からは、「子どもが小さいときにそばで話を聞いてくれる人がいてありがたかった。家族以外の人と何気ない会話をすることや、自分の子を認めてくれる人がいるという安心感が大事で、そういう社会になってほしい」といった声を聞く。まわりが介入したりサポートできるシステムが急務。
・レスパイトとしての利用も、急にその日だけ預けようとしても子どもも親も不安になるので、予め慣れた場をつくっておくことが大事。その子自身が成長していくためにも、適切なサポートを受けることが大切。
・スイミングや買い物に行く、という行為の中に、一つ一つの準備ができるようになるという要素がたくさん入っている。電車に乗る際にも、文字情報と音情報が同時だと処理できなかったり、券売機に対応できなかったりと、私たちが何気なくやっていること一つ一つができるようになるためにも、サポートが不可欠。
・専門性を持った人がサポートすることで、日常生活のスキルが上がる。
等々、専門的な立場からのお話がたくさん聞けました。

その後、保育園と児童クラブそれぞれについての現状と課題について、お母さん方から報告がありました。

保育園では、私立園が、つぼみ6名、第八・久米川・ふじみ・ほんちょうが各4名、花さき・東大典・わくわく各2名、りんごっこ0名という各園の障がい児受入れ体制に対し、市立が各2名であることによって、全体として待機児童が増えている中、これまで叶っていた4歳児以降の療育的側面からの受け入れができなくなっているという実態を初めて知ることとなりました。働いていても預けられない人がいるのだから…という現実の前に、どこでも受け入れてもらえずに全く行き場のない障がいをもった4歳児が今年度は少なくとも4名いるとのこと。子ども家庭部は実態をつかんでいるのでしょうか?大変気になるところです。

また、障がいがあるから、という理由で「慣らし保育」が延々と続けられたり、中には保育時間を不当に制限されたりするケースもあることがわかりました。人員加配を受けているはずなのに、です。

保護者連絡会から市に対する要望書やその回答書も見させていただきましたが、回答書はどの設問に対してもほぼ同じ文言が並び、一見してコピペだな、と思わせるものですし、「昨年と一字一句変わらないんですけどもう慣れました」と聞くと、何とも情けない思いに駆られます。
できること、できないことは現実いろいろあるだろうけれど、どうしてもう少し寄り添えないんでしょうかね…。

児童クラブでもこれまで様々な問題やハードルがあったのですが、かなり対応も内容も改善され、「課題はあるけれど、当該の親と所管である児童課の話し合いはできるようになっています」とのこと。ぜひ継続を願いたいところです。

一方で、市内在住で重度の知的障がいを持っていて清瀬特別支援学校等に通っている子どもたちの放課後の活動を自主的に行っておられる「るーとこどもクラブ」のお母さん方からは、補助対象となっている他のグループとせめて同等のサポートをお願いしたい、と切々とお話がありました。
実情を伺ってみて、あまりの格差に驚きますし、説明がつかない話だと思います。同じ東村山の子どもとして、一日も早く適切な支援が行われるよう、お話を伺った議員超党派で動けたらと思うところです。

その他にも、全く知らなかった厳しい現実や、「市は障がい支援に対するビジョンをしっかり持ってほしい。部分部分の改善ではなく、子どもたちの自立のために、トータルで何が必要で、いくらかかるのか、という点について、行政と議会はタッグを組んで継続して取り組んでほしい。私たち自身ももっと勉強して参画しなければならない」「移動支援の現状分析を所管はやらないと言うので、自分自身でアンケート調査を行いました」「ゼロだった移動支援が4時間出ればいいじゃないですか、という所管の対応にがっかりした」「東久留米市や清瀬市では毎年実態の聞き取りがあって、改善すべき点について当事者と話し合いがあるのに、東村山では…」等々、知らずにいた話が次々と出され、必死にメモを取りました。

最後に、それまで発言のなかったあるお母さんが
「保育園でお世話になっているのですが、今は自分自身いっぱいいっぱいで、何を話したらよいかわかりません。早く学校に入りたい、と思う毎日です。学校に上がったら、あの時はこんなことで苦しかった、と言えるかもしれません。今日も話を伺っていて、たくさんの先輩の方たちが動いてくださってきたことがわかり、本当にありがたいです」と声を詰まらせながら話してくださいました。

市もできることは少しずつやっている、と思います。
でも、何かが足りない。それも担当所管として決定的な何かが。

私自身も決して継続して丁寧に向き合えているわけではなく、反省するところ多々です。

「子どもの1年は大人の5年にも10年にも匹敵する。そのうち、では困るんですよ」とあるお父さん。
その通りだと思います。
まずは出席した議員同士よく話し合い、議会として正確な認識を共有できるようにしたいですし、優先して解決すべき課題については動き出していきたいと思います。

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