八王子市「特別支援教育シンポジウム」に参加して

先週金曜日の夜に開かれた八王子市「特別支援教育シンポジウム」。
第3次計画が完成したことを受けたもので、策定会議の委員を務められた5人の方が語り合う形で進められました。
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お話の中身はもちろん心に強く残るものでしたが、これだけの方たちがこれだけの熱量で語り合う姿に鳥肌が立つ思いがしました。
八王子市は東村山市の4倍近い人口(約56万人)の自治体で学校の数も圧倒的に多いので、司会を務めていた教育委員会職員の粟澤哲也さんが最後におっしゃていた「実効性」を上げていくことは並大抵のことではない、と思います。
しかし、市川奈緒子准教授がおっしゃっていた「教育委員会事務方の専門性の高さと努力」の差は、自治体毎で大きな差となって現れてくるであろうし、既に現れていると強く感じます。
個々の人材の力量の差とともに、人材育成、人事力の差を感じた2時間。
うちのまちと何がどう違うのか?
八王子市の計画をしっかり読むとともに、よくよく学び、考えたいと思います。
★八王子市特別支援教育については同市のホームページから見ることができます★

それでは、当日スマホからツイートを続けたものを並べ直し、少し整理して、自分のメモのためにも以下記します。
少し長くなりますが、関心のある方はご覧ください。

【スタート】
ディスカッションの最初は、市立高倉小学校校長の小島徹先生。25年近く特別支援教室の担任をされてきた、とのこと。
小島校長先生…学校は様々なことを求められるが、何よりも子どもたちにとって居心地のよい場所にしたい。
子どもにも保護者にも安心してもらえるようにと考えているが、簡単なことではない。なかなか教員一人では頑張れないことが多い。しかし、教員はとかく一人で頑張ろうとしてしまう。
弱音を吐ける職員集団にしよう、と年度当初に伝えた。弱音の裏側に子どものニーズが潜んでいる場合が多い。

続いて、NPO法人発達凸凹サポートデザインかたつむりの西村南海子さん。子育てをしてきた親として。
西村さん…通級ってどういうところなのかを私たち大人は的確に伝えられるのか。保護者会で支援が必要な子のことをどのように伝えるか。原点回帰が必要だと感じる。
私たち親は完璧な先生を求めてはいない。私たち親も、愛情で心が動く。先生たちと一緒に育っていきたい。まわりの親が子どもを理解し、つながっていけたらと思って活動してきた。

以下、ディスカッション。

小島校長先生…引き算を足し算に変えていける支援者の目をいかに育てていけるのかが、管理職としての大きな課題。

白梅学園大学の市川奈緒子准教授…その時その時に必要な支援を誰でも受けていいはず。

星山教授…特別支援は特別なものではなくて、誰でも受けられるのだ、ということを八王子市では大事にしていきたい。

市川准教授…教育委員会事務方の専門性の高さと努力がスゴい。学校目線だけでも当事者目線だけでもない市民目線が貫かれている。
計画づくりにあたった委員がみな対等に互いの違いを認め合っていた。会議自体がインクルーシブなものだった。他の自治体ではそうでない会議も多い。みな、真摯に二次計画を叩いて見直してを進めた。

続いて、島田療育センターはちおうじの小沢浩所長さんが医療の立場から。
小沢所長…専門家といわれる人たちは、悪気はなくてアドバイスすることが親を追い込んでいることが多いことを自覚を。まず誉める、は子どもだけでなく、親も先生も同じ。
我々はつい北風になりがちだが、太陽になってつながることが大事。怒らないで、太陽のような関係で連携したい、笑いの溢れる病院にしたいと日々思っている。

星山教授…人間は暖かい人の輪で育つ。子どもを支えようとがんばっているお母さん、お父さん、先生を支援することが本当に大事。

小島校長先生…推進計画会議では意見がぶつかることもあったが、安心して言いたいことを言える環境が大変ありがたかった。弱音を吐きながらも、学校としてできるアプローチを精いっぱいしたいと考えている。その上で保護者とともに次の展開を考えていこう、と教職員には話している。

市川准教授…苦労して育っている子どもたちが多いので、自分のことを信じて頑張ってくれる大人の気持ちは、たとえうまくいかくても必ず伝わる、と療育の現場で感じてきた。

小沢所長…医療や福祉では、何もなく穏やかに、が最善だが、教育はその子の能力を最大限引き出すことにある。この文化の違いを携わる者たちが互いが理解することが大事。その上でつなげていくことだと思う。

西村さん…子育てをするのではなく、子どもとの生活なのだと最近思うようになった。何か教えてあげるとかしてあげるということではない、と凸凹のわが子と生きて来て思う。

小島校長先生…教育の力でその子その子の力を最大限引き出す。その環境や支え方は一人ひとりみな違う。

星山教授…私たちが受けてきた教育は、いかに「普通」に揃えるかだったが、どれだけ多様性を認め合えるのかが問われている。特別支援は決して少数派のためのものではない。

小沢所長…喜んでほしくて最近は外来でマジックをしている。明るい会話が広がっていく。少しの変化が大きな変化につながっていくのではないかと思う。

小島校長先生…今、6年生一人ひとりと個人面談をしている。最初は緊張しているが、話し始めると表情が緩み、言いたいことを話し出す。15年前の子どもが手紙をくれた。卒業生の姿を見ながら、自分の指導の妥当性を問い直す。ネットワークは時間がたっても細く長くつながって、子どもも自分自身も支えられていると感じる。

小島校長先生…横と縦のネットワークをどうつくるのか。
学校を卒業した子ども達が、自分のよさが生かされて生きていく場は本当にあるのだろうか。そういう場を八王子市はどうつくれるのか、が今後の課題だと思うし、自分ができることはしていきたい。

西村さん…一人ひとりの子育ての経験は財産。若いお母さんにつなげていきたい。市内の様々な団体との横のつながりも大きな力。
「サポートとか支援とかいう言葉が大嫌い。ただ待っててくれりゃいいんだよ」と息子に言われた。金言だと思っている。一人ひとりが精いっぱい生きていることを大事にしていきたい。

市川准教授…どうしても発達障害が前面にでてしまうが、特別支援教育は発達障害の子どもだけのためではない。
誰もが複合的なニーズを持っている。生きづらさを抱えている人はたくさんいるので、本当の意味での連携を広げていくことが大切。

最後に司会の教育委員会の粟澤さん…特別支援教育は昔の特殊教育とは全く違う。実効性あるものにするために皆さんと一体となって取り組んでいきたい。

【以上で散会となりました。】

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