待機児問題と保育所のこと

おはようございます。春のありがたさを感じる朝です。
とても大事なことを扱った良い記事があったので、紹介し、私なりの考えを書きます。

2000年に国が行った規制緩和を逆手に取った「あらゆる基準ぎりぎり」の認可保育所開設をめぐって、東村山市でも大問題が起きたことを覚えている方はもう少ないかもしれません。児童福祉法をはじめとし、性善説でできあがっている制度であることと、待機児「数」さえ減らしてもらえるのであれば…という自治体の弱みを前に、それらを見透かしたような計画を進める事業者も実際にいるのです。
ギリギリまで子どもを詰め込もうが、保育士一人ひとりの実際の処遇がどうであろうが、経営者に意見した保育士を次々退職させようが、近隣とのトラブルを起こして居直ろうがが…、とにかく待機児を減らしてくれているのだから物が言えない自治体の担当者。
園庭がない、ホールがない、廊下がない、外が見える窓がない、昨日までいた先生が翌日登園したら退職していた、見学に行ったのに中を見せてくれない、送迎の時に園舎に入れてくれない…以前であれば、どれ一つとっても大きな問題になっていたことが、防犯や安全対策等に耳目が集まる中で、いつの間にか問われなくなってきたことの怖さを感じます。

記事に出てくるのは、おもに「民改費(民間施設給与等改善費)」の問題だと思います。本来は民間の保育所職員の給与を公立の職員並みに「改善」しようと加算されるもので、2000年に厚労省から出された通称「299号通知」ではその使途が厳しく定められていました。しかしその後、内部留保や流用が認められてきた結果、職員の処遇改善目的で多額の補助金が法人には流れているのに、個々の保育士は相変わらず低賃金のまま、という保育所が少なからずある、という話。

保育の「質」について厳しく議論を詰めていくと、「預かってもらえるのであれば助かる」というやむにやまれぬ保護者の事情と、「働かせてもらえるのであれば文句は言えない」という働く側の弱みもあるので、「待機児がそのままでよいのか」「働く場を奪うのか」と批判されることもあり、本当に難しい課題だと感じています。
それでも、幼少期にしかできない体験を豊かに重ねられることの大切さを考えれば、大人の事情だけで片づけてはいけないし、「質とはなにか」を問い続け、厳しく見ていくことが不可欠だと思っています。

※写真は数年前に市内の公園で偶然出会った子どもたちを撮ったもので、本文と関係するものではありません。

★知られざる「保育格差」…なぜ保育士の賃金は上がらないのか★  https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59760  #現代ビジネス

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