国による住民税非課税世帯への10万円給付に必要な一般会計補正予算(第6号)を1月6日付で専決処分した旨、市長名で全議員へ文書が配られました。総額22億3,200万円は、12月議会最終日に議決した補正予算第5号の子育て世帯への給付金とほぼ同額であり、大きな金額です。市としての事務作業がまた大変だと思いますが、速やかに必要な方に行き渡るよう取り組んでもらえるものと思います。
専決処分というのは、本来は議会に諮って議決により執行すべき事柄を、首長の一存で決めることを言い、地方自治法でその要件を限定しています。今回は「179条第1項(画像はe-gov法令検索より)」の中の「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」にあたる、と判断したものと思われます。
かつて、ある地方都市で市長が議会を開かずに次々と重要案件を「専決処分」し、大きな問題となったことがありましたが、一昨年からのコロナ禍では、国が決めて地方に実施を求めてくる事業が増えたこともあり、多くの自治体で専決処分が行われています。
一方で、専決処分を認めることは議会の存在意義そのものを否定する行為であるとして、全く認めない、あるいは極力認めない姿勢で臨んでいる議会もあります。これらを可能としている議会の多くは通年的な議会運営を行っており、いつでも議長の権限で議会を開けるようにしているところです。
東村山市議会でも数年前にその方向を目指していいところまで議論しましたが実現に至らなかった経過があります。
今回のコロナ禍で東村山市議会では、国が決め、必要な財源は100%国が持って全国一律に実施する事業に限っては専決処分もやむを得ない、というのが大枠のコンセンサスになっています。
今は市長が議会出身で議会の存在を重視する人なので紳士協定が守られた形になっていますが、今後どのような考えの人が市長になるかわからないことを考えると、議会の招集権を議長が握り、「緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がない」とは言わせない議会運営を目指すべきだと私は考えています。