来週火曜日10時からの生活文教委員会で、「東村山市暴力団排除条例」の新設について審議します。
質疑通告を作成するにあたって条例案を何度も読み、自分なりにいろいろ調べました。
反社会的行為を繰り返す組織である暴力団という存在を、「よし」とする人は殆どいないでしょう。私もそうですし、警察が必要な取り締まりや捜査を徹底的に行ってほしいと思っています。
しかし、です。
この条例、読めば読むほどに引っかかることがあり、正直言って判断に悩んでいます。
条例案に対する質疑通告書を以下掲載します。
1.第1条(目的)について
「東村山市契約における暴力団等排除措置要綱」を定めてから1年。なぜ、条例化なのか。自治体としての主体的な動きか。条例提案までの検討経過を明らかにされたい。
「市民の責務」を条例で定める必要性とはなにか。
2.第2条(定義)
「暴力団員」「暴力団関係者」は、どこでどのように特定するのか。
そもそも「暴力団関係者」とは何か。
「暴力団と密接な関係を有する者」とは何を指すのか。誰が特定するのか。
暴力団を脱退した者は、いつまで本条例の対象となるのか。
3.第3条(基本理念)
「警察」を、「東村山警察署」あるいは「東村山警察署長」としないのは何故か。
「その他関係機関」とは何を指すのか。
4.第5条(市民等の責務)
「暴力団排除活動に資すると認められる情報」か否かは、どう判断するのか。
5.第8条(市が設置する公の施設における措置)
「暴力団の活動を助長し、又は運営に資することとなるものと認めるとき」かどうかは、何をもってどこで判断をするのか。
6.第10条(広報及び啓発)
「理解を深めるため」ではなく、「理解を深めることにより暴力団排除活動の機運が醸成されるよう」とした理由は何か。
7.第12条(青少年の教育などに対する支援)
「警察等と連携し、教育者等に対して情報の提供…」とは具体的にどのような中身を想定しているのか。
8.第13条(個人情報の収集及び提供)
・ 「暴力団の排除のため必要があると認めるとき」「必要な範囲内」を、誰がどう判断するのか。
・「警察等への情報提供」を可能とする規定としては、もっと厳密に文章化するべきではないか。「収集の目的の範囲を超えた個人情報の利用」とは、どのような内容を想定しているのか。
9.条例提案までのプロセスについて
・ 個人情報保護運営審議会へは事後報告で可としている。同審議会ではどのような議論がなされたのか。
・条例提案にあたって、市民からの意見聴取(含パブリックコメント)はいつ行われたのか。
以上
まだまだ問いたいことはあるのですが、持ち時間40分の中なので、これらの質疑を元にできるだけ本質に迫りたいと思っています。
一番引っかかるのは、市民の責務をわざわざ定めることです。警察だけでは難しいから、ということのようですが、相互監視社会にいとも簡単に踏み込むことに疑問を抱きます。
また、目の前の人が暴力団員かどうか、ましてやその関係者かどうか、なんて、どうやって私たちに判断しろというのでしょうか。「だからその都度警察に相談を」という話なのでしょうけれど、公民館のように事前団体登録が必要な会場はともかくも、市民センター、サンパルネ、スポーツセンター等々の受付時に、どうやって確認するのでしょう?全ての利用者にいちいち尋ねるのでしょうか?全くわかりません。それとも、何か見た目で峻別し、尋ねてみるのでしょうか?そっちの方がよほど問題です。
個人情報の収集を、殆ど超法規的にできるように定めることにも、強い疑問を感じます。
個人情報保護条例に「かかわらず」とし、運用したら「審議会に事後報告すればいい」と読めます。
そもそも、具体的なシーンを想像してみると、あらゆる場面で、「誰が」「何を根拠に」判断するのか?が見えてきません。運用次第でどうにでもなる、のではないでしょうか。
暴力団取り締まり強化に反対するつもりは全くありませんが、相手方が誰だかわからないままに接触した場合に一般の方たちが咎められるというルールは、本当に正しいのでしょうか?
いわゆる暴力団対策法を度々強化してくる一方、警察自身が暴力団と癒着したり、情報元として「活用」してきた事実は刑事ドラマの中だけなのでしょうか?暴対法強化で、暴力団の根絶への歩みは進んだのでしょうか?
異論を差しはさむことが憚られるような雰囲気が強いわけですが、どれだけ具体的な場面を想定して納得いく答弁がされるのか、を十分見定めた上で、当日は判断したいと考えています。
もしご意見いただけるようでしたら、こちらのコメント欄か、ツイッター宛 @sato_masataka にご連絡いただけると幸いです。
新宿や六本木を引き合いに出して、東村山でも街中に監視カメラをつけたらどうか、それが市民の安全安心につながる、西口100mビルの屋上はどうか?などと一般質問で提案する議員もいました。確かに、コンビニや街頭の監視カメラの映像がもとで重要容疑者の逮捕につながるというケースも記憶に新しいところであり、簡単に否定しづらい面があります。
しかし、です。店内やタクシー内に犯罪抑止や万が一の記録のために設置することと、街中に付けて回ることとは大きな違いがある、と私は考えています。
18日の委員会では、侵してはならない人権という視点、具体的運用に際しての課題という視点を忘れずに、できるだけ丁寧に質疑したいと思っています。