一昨日&昨日と、81になった母(五女)を横に乗せて東名をひた走り、三重県桑名市に暮らす90歳目前の伯母(二女)を訪ねました。
ちょうど昨年の今ごろ、伯母ががんで入院していると聞いて出張帰りに見舞いに立ち寄った際、退院したら必ず母を連れてまた来るから美味しいもの食べよう…と約束したことを果たすことができました。
出迎えてくれたのは私より一回り上の従兄のK兄ちゃん。
伯母と母も、K兄ちゃんと私も、21年前に祖母が94歳で亡くなった時以来の再会でした。
K兄ちゃんは定年退職から4年がたった今、自らの母親の飯の世話も、下の世話もする日々を送っていました。
昨年来、自力歩行が難しくなりながらも、頭と舌の回転は抜群の自らの母を指して「この方ホントわがまま婆さんだから、もうたいへんだよ~」と言いつつ……
「プレミアムなウンチをしてもらうのが僕の役目だから、ご飯も一生懸命つくるよ。あ、昼は手を抜くし、横浜の自宅に戻る時はショートステイに預けるし、訪問看護士さんたちにもたくさんお世話になりながらだけどね」
「大変だね」と言うと、
「そりゃお互い大変だったよ。急に始まった初めてのことだから、全然うまくいかなくてね。ひどいもんだった。
だから、看護師さんやヘルパーさんのやり方を穴が開くくらい観察して、必死に覚えたよ」
「でもさ、真和くん。おむつ替えた回数で考えてごらんよ。1日3回として、まだ1年だから1000回くらいだろ?
ところが、おふくろは赤ん坊だった僕のおむつを何回替えたと思う?あの頃は今みたいに紙おむつなんかないから、全部手洗いだよ。1日10回としても1年で最低3650回…弟二人の分も考えたら、気の遠くなる数だよ。それ考えたらさ、何でもないよ」
「おふくろが、臭くて申し訳ないね、とか言うからさ、薔薇みたいな香りがしたら大変だよって言ってやるんだよ」
「最初はおむつかぶれがひどかったけれど、お湯で丁寧に拭いて、ドライヤーで乾かして、保湿クリーム塗ってやったら、きれいなお尻になったよ。思わずペチッと叩いちゃう」
「おむつ替えてるとね、死んだ親父が「俺の女に何しやがる!」って怒ってる声が聞こえるんだよ」
得意のオヤジギャグも織り交ぜながら日々の様子を語る姿に、伯母と母と3人で笑いこけ、でも胸がいっぱいになり涙をこらえるのに必死でした。
俺にはできないよ、K兄ちゃん。
ベッドの上から千切れるくらい手を振って見送ってくれた伯母。また来ることを約束して、昼過ぎにおいとましました。
帰路は伊勢湾を跨いでから新東名に入りました。想像以上の山ばかりで、前日の海沿いと違って風情は全然なかったものの、走りやすいので疲労感はだいぶ軽減された感じです。
駿河湾沼津SAでひと休み中に夕焼けのプレゼント。
7時過ぎに日野の実家に無事帰着しました。
車の中で母と二人きりで話すことなんか何もないんじゃないかと思って出掛けましたが、そんなこともないんですね。
四方山あれこれ話しっぱなしで、2日間で往復765kmの旅を終えました。
いろいろいろいろ考えることになった桑名行。思い切って出掛けて正解でした。